第29話 これから作れば良い

オークマンが競りから帰ってきた。


「どうだった? 10人目は見つかったのかな?」


「今日も駄目だな、悩んだ末見送る事にしたよ、それで聖夜の方は…ああっ買ったのか?」


「まぁな、オークマンにやられた感じかな…結局は迎え入れてしまった。僕はこれで打ち止めにするよ、分不相応な程綺麗な女性に囲まれた状態になったしな。これで4人これからは少し地に足をつけた生活をしようと思う…あっ、オークマンの10人目までは付き合うからそれは安心して」


「ああっ、そうだな、だけど全く女の好みが合わない友人って言う者は良いもんだな、喧嘩にならねーから」


「本当にそう思うな、僕はそれが元で幼馴染を失ったからね」


「そうだな…(しかし、聖夜の美的感覚は、可笑しすぎるな…今日のは最早人間に見えない顔は兎も角体は、人の好みはそれぞれだ、完璧に見える聖夜の欠点、それはこの異常な美的感覚かもしれねーな)それで、幼馴染や勇者はどうすんだ…」


「もう恋愛感情は無いな、ガイアにしても友情と聞かれたら困る位色々と破綻した状態だ…だけどまたいつか、友達と呼べるようになれたら、その位は思っているさ」


「そうか…まぁそうだよな」


「今の方が楽しいからな、ちょっと変わった親友ができた。そして何時も自分を見てくれる女がいる…これで充分だ」


今の俺が毎日楽しいのはオークマンのお陰でもあるんだ。


「なぁオークマン、今迄仕事の事は余り話した事は無かったが、オークマンは何時も何を狩っているんだ?」


「うわっははははっ、なにを言っているんだ! 俺のあだ名はオークマンなんだぜ、容姿の事もあるが『オーク狩り』の達人だから、オークマンなんだぜ」


「成程、そうか」


「まぁ、流れてきた聖夜は知らなくても仕方無いか」


「そうだったのか…実はガイアの事情で暫くはワイバーンを狩れなくなったんだ。良かったら暫く一緒に狩りしないか? まぁ良かったらだが」


「おい、S級の聖夜が俺と狩をしてくれるのか?あり得ない話だが本当に良いのか」


「ああ、全然かまわない、そうだなオークマンがオーガマンに成れる位にはどうにかしてあげれるかもな」


「そうか、正直凄く有難い、もし俺がオーガが狩れる様になれば、更に嫁が5人増やせるかも知れないからながははははははっ」


「あのさぁ、オークマンは嫁とはプラトニックじゃないよな」


「当たり前じゃ無いか? 夜の方もビンビンだぜ!」


「大丈夫なのか? 体は? そんなに出来るものなのか?」


「俺は特別なんだ、性欲の塊みたいな奴なんだ。恥ずかしいから言えないが、まぁそういうジョブ持ちなんだよ。だからな、まぁ恥ずかしい話、夜は必然的に凄い物になるんだ。1日3人掛かりじゃ無ければ俺の相手は勤まらない…だからこそ、その相手をしてくれる嫁を大事にするんだ」


「そういう事だったのか」


「まぁな…それじゃあな、また明日な」


「また明日」


しかしアヤノは本当に凄いな。


さっきから三歩下がって歩いている。


本当に良妻賢母みたいだ。


「それじゃ、アヤノ買い物に行こうか?」


「買い物ですか?」


「そう、寝具に下着…洋服に日常用品が必要だろう」


「そうですね…ですが宜しいのですか? 私みたいな者にそんなにお金を掛けて、安物奴隷ですよ? 私…」


確かに、奴隷はそんな事をしなくても従順だ。


だが…それは僕が欲しい者とは違う。


それで手に入るものは『愛』とかじゃない…ただの従順なだけの感情の無い人形みたいな物だ。


僕が欲しいのはそれじゃない。


オークマンの嫁の様に、笑顔が素敵で家族の様な存在。


それが…僕の理想だ。


「アヤノさんは確かに奴隷だけど、僕が買ったのは家族、そして恋人、妻そういった存在だ」


「はい?」


今は解らなくても良い。


これから、一緒に色々な事を覚えて作って行けば良いんだ。



ガールズトーク


「この人が新しく仲間になった、アヤノさんだ皆宜しくね」


「新しい仲間が増えましたのね」


「えーとアヤノお姉ちゃんと呼んだ方が良いかな?」


「アヤノさん…覚えた」


オークマンから言われた事がある。


新しく奴隷を迎え入れた日は、暫く奴隷同志で話をさせた方が良いらしい。


◆◆◆


「お嬢様方、これからお世話になります、アヤノと申します、宜しくお願い致します」


「アヤノお姉ちゃん、間違っているよ」


「うん、間違っている」


「間違っていますわ…私達三人とも奴隷ですのよ?」


「はい?」


どう見ても奴隷には見えませんし…てっきりお嬢様か奥様だと思ったのですが…


違うようですね。


だけど、どう見ても奴隷には見えませんよね。


「ですが、皆さん、凄く綺麗な服着ていますし奴隷には見えませんが…」


「そうね、明かに奴隷とは違う扱いをされていましわ…貴族だった頃より今の方が良い生活なんですの」


「本当にお兄ちゃんには困るの」


「本当に困る」


これはどう言う事なのでしょうか?


お気に入りの性処理奴隷には優しくなる。


そういう話は聞いた事がありますよ。


だけど、それは道具としての筈です。


エルフ等の高級奴隷には優しく恋人みたいに扱う場合もあるとお聞きしましたが….


此処の皆さんは私と同じ醜女です。


「何を困っているのですか?」


「ご主人様には本当に困っていますの…何から何までして下さって、凄く幸せな毎日を過ごしていますのに、何も返させてくれませんのよ」


「私だってお兄ちゃんに何かしてあげたいのに、何もさせてくれないんだよ」


「ほんとにそう困る」


「はい?」


えーと奴隷ですよね…


何でしょうか?


確かに優しそうですが…これは異常です。


本当に家族が欲しいという事なのでしょうか?


困りましたね…私は家族の愛情は知りませんから..


そうだ…性処理、性処理かも。


「あの、性処理で皆さん頑張っていらっしゃるから、そのお礼で」


「ハァ~違いますわ。私が来る前にそちらの二人が試したのですわ、ニコリと笑って『そういう事は本当に好きな人にしかしちゃいけない』そう言われたらしいのですわ。 私も凄く大切にしてくれましたからお相手をしようとしましたら『心の傷につけ込む事はしたく無い』と爽やかに笑われまして…本当に困りましたのよ」


「はい?」


何だか幸せそうですね~ 心がほっこりしますが…


「お兄ちゃんって凄い美少年だよね…お兄ちゃんにされるなら寧ろご褒美なのに…」


「困る事に、何故かそうならない..それにこれ」


お財布に金貨が3枚入っていますが、それが何でしょう?


「一か月のお小遣いですわ…しかも無くなったらご主人様がまた足してくれますの…貴族の時より待遇が良すぎますのよ」


「あの、それじゃ皆さんは何をしてらっしゃるのでしょうか?」


「何もしないで遊んでいるだけですわ…まぁ私は少し二人に一般常識と勉強をさせていますがそれだけですわね」


「そうなんですか…凄いですね」


「貴方も、買って貰った服とか見て見れば解りますわ」


「見てみます」


買って貰えた嬉しさでぼーっとしていましたが。


全て高級なものですね、下着なんかシルクです。


ただ、随分派手なのはまぁ殿方ですから当たり前ですね。


オバサンなのにスカートが短いのは何ですが…全部高級品です。


これ…奴隷の物じゃありませんね。


「それで皆さんはどの様にご主人様に接しているのでしょう?」


「「「それは…えへへ」」」


三人の顔が赤くなりましたが…


ただ、甘えているだけなんだそうです。


ですが…私は彼女達と違いオバサンです。


同じでは無いでしょう。


取り敢えず家事と性処理辺りを頑張ってみますかね…


他にとりえも無いですし…

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