第26話 過去の女より今の親友
これでガイアはもう大丈夫だな。
ガイアを連れていった奴隷商はシシリアの居た奴隷商。
つまり…隣町だ。
偶然だけどハイエルフの分割購入条件が『仕事以外でこの街を出ない』。
だから、此方迄来る事は最低1年は無いだろうし…まぁ実際に毎日狩りに出るのは無理だし、金利もあるだろうから顔をあわす機会は相当少ない。
隣だから全くという事は無いだろうが…かなり機会は減るだろう。
まぁ、それ以前に『もう勇者としての活動』はしないから誘われる事も無い。
奴隷を買う為にローンを組む事はどうかと思うが、これで魔王と戦う事が無くなったのだから一応はガイアの安全は確保できたことになる。
これでガイアのお父さんとお母さんへの義理は果たした事になるか。
多分、これでパーティも完璧に解散。
もう、余り関わる事はないよな…
◆◆◆
「同じ冒険者仲間としてこれからも宜しくな!」
「ヒーラーに成ろうと思ったけど二人に誘われてね、冒険者になる事にしたのよ」
「二人が心配だから…」
え~とランゼ達はなんで此処にいるのかな?
態々、僕と同じギルドに居る必要は無いよな。
「そう、何だ、宜しくね!」
「そうね、宜しく頼む…それでね、良かったらうちのパーティに来ないか?」
「いや、僕はソロの方が良いから今のままで良い」
「まぁ、急に言われても困るだろうから、ゆっくり考えてくれ」
「解かった」
そうだ、ガイアについて教えてやれば良いか。
隣町で冒険者をして事を伝えれば、あっちに行くかな。
「そう言えば、ガイアが今隣町で冒険者活動しているから誘ってあげたらどうかな」
これで良い…魔王を倒さないなら僕は要らない。
元々は好きあっていたんだから…向こうに行ってくれる…筈だ。
「ガイアは必要ないな」
「そうね、要らないわ」
「私達に必要なのは家事や雑用も上手く出来る仲間だもん」
なんだ、それなら別に僕である必要は無い。
幾らでもいるじゃ無いか。
「それなら、幾らでも居るから安心だね。聖女がいるんだから幾らでも募集掛ければ集まるよ」
「私は聖夜がつくる、魚料理が食べたいんだが」
「私は野草のスープが飲みたいのよ」
「うん、お肉料理も食べたいかな」
そんなに気に入ってくれたんだな。
「そう、それなら、今度レシピをあげるから作ってみると良いよ」
そう言い、直ぐにその場を後にした。
「いや、そうでは無くてな」
「ごめん、これから用があるから…」
「少しで良いから、さぁ話を聞いて」
「ごめん、これから約束しているから、また今度」
「「「そんな」」」
◆◆◆
「それでオークマンは10人目の妻は見つかりそうなのか?」
「それがなかなかな…幾ら俺が絶倫でも10人が限界だから、なかなか決められないんだ…がはははははっ」
「そうか、金とかなら貸そうか?」
「聖夜…一般の奴は奴隷といえば、エルフだダークエルフだ騒ぎ出すが俺は『人族』限定なんだぜ」
そう言えば、オークマンの奴隷にはエルフをはじめ亜人は居ない。
「確かにそうだが…何でだ」
「あのよ~エルフとかは1000年近く若いままで生きるんだぜ、これは俺のエゴだが、一生を面倒見れない相手を迎え入れる事はしない」
そう言えば外見が親父みたいだからつい忘れるがオークマンは15歳だから、殆どが姉さん女房という事だ。
しかもギルドには少しずつだが金も溜めている。
産んだ子供もちゃんと育てているし…15歳とは本当に思えないな。
「確かにそうだったな」
「ああっ、まぁ最後の1人だゆっくり探すさぁ」
「まぁ僕も暇だから付き合うよ」
「ほう、聖夜も、もしかしたら4人目が欲しくなったのか…」
「考えてはいないけどな、もし迎えるなら、そうだな、テルミさんみたいなタイプかな」
「テルミは俺の妻だ、幾ら聖夜でもやらないぞ」
うん、解っている、オークマンは奴隷、いや妻を大切にする男だ。
大切な幼馴染すら差し出そうとするガイアとは違う。
「そんなの解っているさ。僕は親が居なかった、だから母性溢れる人が居たらそう思っただけだ..だが別に必要という訳じゃないから、オークマンに付き合うついでに見るだけだな」
「そうか、安心したぜ。だがよう、本当にお前は俺に似ているな、テルミは27歳まぁ女の奴隷じゃ性処理にも使えないから安値だ。だが料理は美味いし気が凄くつく。俺の9人の妻のリーダーみたいな存在でテルミに甘える妻も多い」
「まぁ、理想の母親、そんな感じだな」
「そうだ、良く解っているな」
此の世界は男尊女卑に市民は近い。
そんな中で此処まで女を大切にしている男は少ない。
オークマンは本当に良い奴だ…だが。
「それじゃ、今日は東の奴隷市場に行くから付き合ってくれ」
「ああ、解った」
遊びに行く先が『奴隷』関係しかないのが…ちょっとな。
まぁ10人目が見つかったら…そこからは普通の趣味を一緒に探すか。
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