第5話 【過去】奴隷
手鎖をつけられて馬車で数日。
奴隷商のお店に着いた。
それから私は、檻の中に閉じ込められて出して貰えなかった。
他の奴隷の檻には毛布があるのに私は貰えない。
こんな意地悪は慣れっこだから別にこたえない。
寧ろ、家で暮らしているより幸せだった。
ただ寝ているだけで…大きな声を出さなければ怒られたりしない…
一日パン1個だけど…前と変わらないよ…
だけど…辛い。
「幾ら何でもこれは無いな…化け物じゃないか?」
「この顔じゃ、性処理になんて使えないだろう..」
「若い女の奴隷が銀貨3枚で買えるなんていうから見に来たら…詐欺じゃねーか」
ただ、ただ馬鹿にされるだけ。
私を見るとお客様が不機嫌になるからと…一番奥に置かれ、シーツが掛けられるようになったよ。
ただでさえ暑いのに…風が一切入らないから…地獄…
きっと私は…このままパン1個死ぬまで食べながら、見世物として生きていくしかないのかな…
◆◆奴隷商人SIDE◆◆
偉い物引き取っちゃったな…
売れる訳ねーよ…
一つ一つのパーツは悪くねーがバランスが悪すぎる。
特に可笑しいのは目だ。
目の大きさが通常の人間の2倍いや3倍近く大きい。
頭も気持ち普通の人間より大きい。
鼻も口も小さくて、それ単体で見れば小さくて良いのかも知れねーが小さすぎだ。
鼻なんて穴が小さすぎて鼻があいているのか解かんねー。
口も小さすぎるぜ。
それに体だってよー体、本体は普通の人間より小さくて、そのくせ手や足は長い。
まるで呪われた人間かよっていう程だ。
あの村長、無理やり押し付けやがって…こんな奴隷誰が買うかよ。
店に置いていても売れないし、奴隷保護法があるから、最低下食事は与えないといけないし…完全、赤字だ。
いっそう、死んでくれないかな。
本当は無料でも良い位…いや貰ってくれるなら金すら払っても良いが…
奴隷販売法で銀貨3枚以下じゃ売れねーし。
本当に腹がたつわー。
仕方なく『奴隷市場』に連れていった。
今回の俺の仕事は奴隷の処分だ。
奴隷市場の使い道は二つあって価値のある奴隷を高く売る事と、要らない奴隷をオークションに出し処分する事とある。
だが、ここで問題が起きた。以前とは違い『出品基準』が厳しくなり出品すら出来ない奴隷が6人も居た。
仕方なく、俺は市場の方に行き、従業員に奴隷市場の外で売らしておいた。
奴隷市場の周りは『基準を満たしていない』奴隷を売っている者が多く居る。
これは、一応奴隷市場から見逃されているので…問題はない。
◆◆◆
「売れたか?」
「1人だけ売れました…」
「まぁ売れただけましだ…それで誰が売れたんだ」
「…化け物です」
「そうか…まぁ一応女だからな、よく考えれば、面でもつければ出来なくも無いか?」
「俺は無理ですね、体も妙にバランス悪いですから」
「まぁ良い…一番要らない奴が金になったんだ良かったよ…さぁ帰るか」
「はい」
テントを畳み、残り5人の奴隷を連れて俺は故郷に帰っていった。
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