ある少女の日記
キノハタ
第1話
胸の奥が痛かった。
誰にも言ったことなんてないんだけれど。
ずっとお腹の奥に何かが溜まっているような感覚があった。
それを吐き出そうと必死に必死に、喘いでいたけれど、一向に何も出てこない。
皮膚の内側が痛かった。
だから皮を剥ぎたかった。
喉の中身が痛かった。
だから口から手を突っ込んで、全部引き千切ってしまいたかった。
理由はよくわからない。
なんでか、まったくわからないけど、私の身体はずっとそうして痛かった。
四六時中いつまでも痛みは止まない。
起きていても寝ていても、ずっとずっと痛みは止まない。
心が死んでしまいそうだった。
身体が壊れてしまいそうだった。
ずっとずっと。
そうやって痛みの中を生きてきた。
胸の痛みがたまらなくなったら、自分の腕を噛んだ。
歯形がついて、噛んだ部分が痣になるくらい、深く、深く。
皮膚の痛みが酷くなったら、ボールペンで手のひらを突き刺した。
黒いインクが滲んで赫に染まるくらい、酷く、深く。
喉の痛みにある日、耐えられなくなったとき。
私は包丁を口にあてがった。
大騒ぎになった。
なんでこんなことをしたのって親に叱られた。
もう二度とするんじゃないって引っ張叩かれた。
そんなことをしたら、周りの人も傷つくんだよって。
その身体は、その命はあなただけのものじゃないんだよって。
そう、言われた。
ー。
ーー。
ーーーー。
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じゃあ。
わたしの、いのちは。
いったい、だれの、ものなの。
わたしのじゃ、ないの。
じゃあ。
わたしの。
いたみは。
いったい。
いったい。
どうすれば。
いいの。
いたい。
でもだめ。
いたい。
こわして。
いたい。 きずつけて。
いたい。 もういや。
いたい。
いたい。
いたい。
ああ。
ああ。
ああ。
死にたい。
誰か。
ある少女の日記 キノハタ @kinohata
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