第6話 そとのせかい

ようやく外の世界に来れたのに驚くほど落ち着いている。きっと心の処理が追いついていないんだろう。

「ねぇ!待って、、、」

後ろから声がする。リナだ。だけど僕は振り返らなかった。リナは続ける

「どうしていつも置いていっちゃうの?またなの?ねぇお願い置いて行かないでょっ。紫苑くん!!!!」




は?頭が混乱する。また、ってなんだよ。リナと初めて会ったのはあの施設だろ?紫苑くんって呼んだ事もないのに、。振り返ろうかと思った。だけど振り返ったらあの世界に戻る気がして。リナの声を背に僕は走り去った。



少し施設から離れたのでとりあえず着替えることにした。ジーパンと白Tシャツのシンプルなものだけど。早速着替えて大通に出た。僕の視界に飛び込んで来たものは衝撃だった。高いビル、オシャレな飲食店、スーツを着た人、僕と同じぐらいの年齢の子は同じ洋服を着ている。あれが制服ってやつか。




だんだん気持ちが高ぶってきた。ちょっと探索してみようかと思ったらグーとお腹がなった。なにか食べようと目の前にあったお店に入ってみた。いい香りが鼻を刺激する。とりあえずぱんけーき?ってやつを頼んでみた。しばらくしてお待たせしました〜と運ばれてきた。


やばい、めっちゃ美味しそう!!ふわふわの生地に生クリーム、ちょっとフルーツまでおいてある。早速シロップをかけて口に運んだ。ふわふわしてて甘い。世の中にはこんなものがあるのかと感動した。お店を出てしばらく歩くと琥珀糖という文字が目に入った。どうやらお菓子らしい。でも衝撃だった。これ宝石じゃん!気になったので買ってみることにした。



早速1個食べてみた。かもうとした瞬間ほろりと崩れる。外はカリッと中はゼリーのような感触でほんのり甘い。一瞬で好きになった。もう一個食べようとしたら目の前に警備員がいた。近くの人に僕の写真を見せて聞き回っている。一気に血の気が引く。ガタリと席をたって走り出した。







外の世界を知った紫苑くんでした(*^^*)それにしてもレナちゃんの言葉が気になりますね…


次回 駅

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