浮気サレ妻、離婚でキレる…これで良いなら一緒にいれば

石のやっさん

第1話 本文

私の名前は裕子。


今の旦那と22歳の時に結婚して今32歳、結婚10年目の主婦だ。


夫の和也に過去に2回浮気された。


そして今、和也に3回目の浮気をされ、離婚を申し込まれました。


「頼む、陽子との間に子供が出来た、済まないが離婚してくれないか?」


「そう、あの女とまだ続いていたんだ」


◆◆◆


陽子と言うのは夫の会社の部下で26歳のOL。


夫の最初の浮気相手で、その時は陽子も既婚者でお互いに再構築を目指すという話になり、向こうの旦那が夫に慰謝料を請求しない代わりに私も陽子に慰謝料を請求しないという事で話がついた。




そして2回目の浮気相手はよりによって未成年。


だが、相手の子が結構遊んでいる子だった為、話は直ぐについて50万の慰謝料で話が済んだ。

多分DQNの家族だった可能性が高い。

女の子もピアスを沢山つけ、ミニスカートを履いていて如何にも遊び人にしか見えなかった。


最初家族で乗り込んできた時は、焦ったが…慰謝料を払えという話だった。


しかも金額は30万円。


『良かった』本当にそう思った。


すぐに近くの弁護士に片端から連絡をとり、すぐに来てもらえる方を探した。


「お前、どこ連絡しているんだ! 殺すぞこら」


「まさか警察! 示談で済ませてやるんだから大事にすんじゃねーよ」


DQN夫婦が怒鳴って玄関の傘立てを蹴とばした。


「あの、ちゃんと払いますよ安心して下さい! ただ、払って解決したと言う証明をする為の書類を作る為の人を探しているんです」


そう伝えると、急に怖い顔が笑顔になった。


「なら良いや、金は貰えるんだな」


「約束します」


「そう、騙したら只じゃ済まさないけど、払う物払うなら待っててあげる…だけどお腹がすいたわ」


私は近くのそば屋の出前メニューを渡した。


「好きな物食べて下さい…こちらで払いますから」


「そうか…悪いな」


「あんた苦労しているんだね…まぁ良いわ、飯まで奢ってくれたんだ、待っててあげるわよ」


「そうだな、どうせ暇だから良いぜ」


このDQN意外にに優しい。


結局、若い弁護士の先生が来てくれて、話は終わった。


相手は30万円と言っていたが『口外しない』『訴えない』『もう会わない』その3つを強調した文面で、もし約束を破った場合は、私に1回につき30万払うという内容にして貰った。


凄く、そこで渋られたので『慰謝料50万円にしますから』そう話すと喜んでサインしてくれた。


「なんだか悪いな」


「これで話は終わり、もう安心して良いわ」


そうは言うが、相手はDQNぽい。


サインして貰い、安心した私は、弁護士を含む三人の前で服を脱いだ。


「「「なっ…それ」」」


「私も、貴方達や娘さんと同じで『昔は結構やんちゃしていたんですよ』そのつけがこれです…子供が産めて家族が居るって幸せでしょう? 私みたいにならないようにね」


そうちょっと脅しておいた。


私の体には、沢山の火傷や斬られた傷がある…まぁ見方によればかなり危ない人間に見える。


3人は「肝に銘じます」そう言うと帰っていった。


弁護士の支払いと慰謝料で80万円近くなったが…これで良かった。


『未成年の価値』が解る前に方がついたから。


例え同意があっても未成年に手を出せばここでは『青少年育成条例違反』簡単に言えばレイプ扱い。


旦那は固い所に勤めているから人生は終わる。


その価値をあのDQN達が知っていたら、恐らくこの金額じゃ収まらなかった。


これで済んで本当に良かった。


この時も旦那は土下座を私にした。


二回目の土下座だ。


私は体に傷がある…傷物。


その負い目もあり…この時も再構築を選んだ。


◆◆◆

そこからは金遣いは少し荒いが真面になったと思っていたんだけど…これだ。


「流石にこれはないわね、普通の浮気なら兎も角、まさか相手があの陽子しかも子供まで作るだなんて…まさかと思うけど続いていたわけ? まさか二人目の時も続いていて三股だったの?」


一応は反省した顔だけど嘘だわね。


そんなの付き合いが長いから解っているわ。


「それは違う…ちゃんと別れたし、最近まで会っていない。ただ陽子が旦那と別れたと聞いて…そのなぁ」


本当に馬鹿な男。


それで再燃しちゃったんだ。


「へぇ~陽子さん離婚しちゃったんだ、まぁ浮気女だから仕方ないわよね…旦那さんやさしくて良い人そうだったのに、もしかして慰謝料請求されていたりして」


「ああっ…」


図星ですか。


「それでどうするのこれ? 前回不倫がばれて会社で部署移動になったのよ、 2回目だから下手したらクビ、良くて左遷されるんじゃない? 2人して、そんな中で私に対して慰謝料払えるわけ! しかも通帳みたら定期も解約しているし、消費者金融のレシートまで出てきた、財産分与どころじゃなくて借金でマイナスじゃない、ほぼ一文無しじゃない」


流石に愛想も尽きた。


この怒りをどうぶつけて良いかわからないわ。


「ああっ裕子の言う通りだ…金は無い、出来たら慰謝料を請求するのを止めて欲しい…無理なら減額して欲しい」


「あのね…今回で3回目なのよ、しかも相手は最初の相手、どの面下げてそんな事言う訳? 悪いけど300万で請求するわ、勿論陽子さんにもね…悪いけど、これ本当に相場の金額なのよ払って貰うわよ」


「そんな、子供も生まれるのに酷いだろう! 大体お前がそんな体だから、他の女とするんだよ、そんな体じゃ出来ないからな」


そうは言ってもね。


結婚前にちゃんと納得して結婚したわ。


この人は何処まで私を傷つけたら気が済むんだろうか...


「それは結婚前に見せて、それでも結婚してくれって貴方が言ったんでしょう? しかも10年前の話だわ、今更何を言うのかしら?」


「それでも、だから」


「もう良いわ、陽子さんも連れてきなさい、別に怒ったりしないから、今後どうするか話会わないといけないでしょう? お金が払えないなら他に何か考えるから…まぁもう、離婚は確定ね」


「解った」


和也はスマホで陽子に連絡して1週間後に家に来るという事になった。


旦那の和也は、そのまま家を出て行きビジネスホテルに泊まると言うが…まぁ陽子の所に行ったのだと思うな。



◆◆◆


私は、もう離婚が確定なので部屋を引き払う準備をし始めた。


旦那だった和也の荷物は全て荷造りして実家に送ってやった。


私は元から物を余り持たない主義なので生活に必要な物以外は思い切って処分した。


部屋も来月頭で退去する、その旨を伝え不動産屋で手続きした。


「これであらかた終わったわね…そうだヤスゾンであれを買わないと」


私はヤスゾンに注文を入れた。



そして、その足で私は行政書士の先生の所に離婚同意書の作成をお願いした。


「多分、この内容なら問題なさそうね」


「随分と甘い内容ですが宜しいんですか?」


「ええっまぁ、どうせお金も取れそうもないですし…」


これで準備は十分だわ、あとは当日を待つだけだわね。


◆◆◆


当日お昼前に二人はやってきた。


二人は緊張しているみたいね。


「そんな緊張すること無いわ…さっ上がって」


「ああっ…」


「ええっ…」


「それでね、離婚には応じる事にしたの、だから安心して良いわ、お金も請求はしないわよ」


「本当か、助かるよ、本当にありがとう!」


「あの、本当にごめんなさい…まさか許して貰えるなんて」


「そうね、だけど無料で許さないわよ、二ついう事を聞いて貰うわよ」


「ちょっと待ってくれ、変な事させるんじゃないか」


「なにするつもりんですか? まさか暴力」


「あのね…私はそんな警察に捕まる事はしないわ…まぁ土下座した状態で頭を踏む位は考えたけど、今更よね…まぁ一つは身重の陽子さんには悪いけど、明日の朝までお酒に付き合う事、こんな洒落にもならない事したんだから、愚痴位付き合いなさい」


思ったほどの事でなく、今日で終わると考えたのでしょうね。


「それでお前が気が済むなら、それで良いよ」


「そうね…略奪したようなものですから、それ位はさせて頂きます」


あっさりと了承したわね。


私の願いは二つ…もう一つあるのに。


「それじゃ…書類にお互いにサインしましょう? 全部で2枚、離婚届け入れて3枚あるわ、ちゃんと慰謝料の請求もしない事も書いてあるわ…安心してね」


「ああっ」


「はい」


二人して書類に簡単に目を通してサインした。


こういう書類は小さい文字まで目を通した方が良いわよ…


サインしたわね。


「これで良いのか?」


「本当に慰謝料を請求しないと書いてありました…子供も生まれるし…助かりました」



「そう、それじゃお酒を飲もうか? 結構良いお酒を用意したのよ、飲もう!」


「ドンペリ…」


「キャビアにフォアグラですか?」


そうお酒もおつまみも最高の物を用意したわ。


「お酒も、おつまみも最高の物を用意したわ、どうせ貧乏な貴方達にはそう味わえないだろうからね…あはははっ私も同じだけど」


「酷いな…」


「それモラハラですよ…」


「馬鹿じゃない? 二人して600万の慰謝料をチャラにするんですからモラハラ、セクハラのオンパレード当たり前じゃない? 600万よ600万…にひひひっ」


「お前その笑い気持ち悪いよ」


「何をさせようって言うんですか?」


わざとおどけて見せる。


やりすぎもやらなすぎも駄目…


「そうね、まずは陽子ちゃん、下着姿でお酌でもして貰おうかしら」


「ふぅ、女の裸見て面白いんですか…まぁ仕方ないからしますけど」


あらっ抵抗しないのね…


「うん、私は解らない、だけど和也さん、私に内緒で『おっパブ』に行ってたみたいなのよ…だから経験したくてね」


「和也さん…そんな所に行っていたんですか」


「違うっ…行ってない」


「だ~め、ちゃんとカードの明細先にあったわよ」


「和也さん、後でお話しましょうね…まぁ良いわ、約束ですから」


なかなか思い切っりが良いわね。


「若いって良いわね、私もこの位大きな胸だったら捨てられなかったのかな?」


「あの同性に言われても…あのなんで触ろうとしているんですか?」


「言ったじゃない? 今日はセクハラ、モラハラオンパレードだって言ったじゃない…300万払うんだからこの位」


「目がすわってますよ…まさか裕子さん、女もいけるとか言わないですよね…ちょっと止めてくださいよ、そんな…ああっ」


「冗談よ、冗談…もう服を着ても良いわ…うんうん凄く良い体しているわね、これじゃ和也が寝取られちゃうのも仕方ないわ、そういう趣味は無いから安心して…可愛いしスタイル抜群、感度も良い、まぁ負けて当たり前、諦めもつくわ」


「…」


「なんだか、ごめんなさい」


「良いから、良いから飲もう、今日はトコトン突き合わせるわよ…ほら」


「仕方ないな」


「ハァ~仕方ありませんね」


アルコールは度が高くて口当たりの良い物を選んだ。


睡眠薬も結構入れたから…すぐに眠くなるでしょう。


馬鹿ね…私達はもう敵でしょう?


敵の前で油断するから悪いのよ…覚えておくと良いよ。


◆◆◆


私には和也に黙っていた事がある。


私の体の火傷や傷は…入れ墨を消した物だ。


事故に遭った怪我とかじゃない。


私は若い頃、本当にやんちゃしていた。


当時付き合っていた彼氏は、チンピラで入れ墨ジャンキーだった。


体中入れ墨だらけで、自分でも機械を買って彫るような人物だった。


入れ墨をカッコ良いと思っていた私は彼に彫って貰い、彼に彫る為に彫り方を覚えた。


その頃の私と彼の夢はTATOOショップを開く事が夢だった。


折角お金を貯めていたのに、チンピラだったからか、ある日刺殺されて死んじゃった。


彼が死んで目を覚ました、私は入れ墨を消して、真面目になった。


その入れ墨を消した代償がこの傷なのよ…


◆◆◆


しかし、ネットショッピングは凄いわね。


ヤスゾンで普通に入れ墨機が売っているんだから。


昔凄く苦労して買ったのにね…


今は簡単…

まずは陽子さんから…


背中に大きく『蛸に犯される弁天』を彫ろうかしら?


その横に大きく『淫乱女、エッチ娘』うん良いわね。


それに股には洋風の猫の顔を彫って、穴が丁度口になる様に…ああっこれじゃ可愛すぎ、やっぱりエイリアンにしよう。


お尻に蝶を彫って、面白いから男性器も入れて置こうか2本くらい。


胸が寂しいから此処に髑髏を入れようと…


手足にも入れても良いけど、子供が入るからせめてもの情け…


掛ける必要もないわね。


肩に『和也命』 反対側には『不倫上等』を花札みたいにしていれて


こんな感じでよいかな?


あらっ太腿があるわね。


太腿には可愛らしく『バラ』を入れて、そこにも同じく『男大好き』と入れて…


時間が無いからこんな物かしらね。


時間が沢山あるのだから…もっと図柄を考えておくんだったな。


元旦那の和也は


背中はやはり『女幽霊、しかも顔が潰れて怖い奴とそれを犯す男』


かなりヤバい図柄だわ。


胸はうん陽子と同じ髑髏にして肩には…


『陽子命』 『クズ男参上』 勿論札みたいに拘っていれるわ。


太腿には『遊び人孕ませます』 と陽子とお揃いで薔薇を入れてあげようかな?


股は…うんこれは象さんで決まり。


お尻にはめんどくさいから蝶々で良いかな…


さぁ、久々の入れ墨だから失敗しないと良いな(笑)


まぁ彼氏でも何でもないし…離婚すれば只の他人だから失敗しても問題ないから気軽に彫れるわ。


真剣に彫る時は時間を掛けて彫るけど…別に真剣に彫る必要は無いから、失敗しても構わず彫れば良いわ。


何年も針を握ってないから…余り上手くいかないわね。


機械もなんだかチャッチイ気がする。


もうどうでも良いわ…他は兎も角、女の表情が、随分下手だな。


妖艶な感じが出ないで、陶器の置物みたいな顔だわ。


蝶々もなんだか今一な気がするけど…仕方ないブランクがあったんだから。


世の中には振られた腹いせに『うんこと蠅を彫った人』もいるし、顔にまで入れ墨を入れた人がいるんだから、真面な物を彫ろうとしているだけ、私の方が優しいわよね。


大体プロに頼んだらこんなに沢山入れ墨をいれたら結構な値段するわよ。


それなのに、1人300万円、二人で600万の慰謝料も払わないで済ましてあげるんだから…うんうん、私って優しいわよ。


慰謝料無しで…高額な入れ墨をプレゼント。


うん、そう思うわ。


しかし、久しぶりだから結構な時間が掛かるわね。


手も疲れてきたけど…まぁ流石に未完成は可哀そうだから、頑張るわよ。


本当に疲れる。


起きてきたら怖いからさっき追加で睡眠薬飲ませたし、浣腸器でアルコールを肛門から注入したからまだ大丈夫よね。


睡眠薬とアルコールでも結構起きてこないものね。


結局此処迄頑張って、丸二日間掛ったわ。


出来は今一で細部は酷い物、特に女性の顔は最悪な位下手だわ。


だけど、落書きじゃなくて一応はちゃんとした彫り物に見えるレベルには仕上げたわ。


「約束だからこれで離婚で良いわ、慰謝料も請求しないわよ、だけど、そんな状態でお互いに愛し合えるかしら、普通の人なら抱きたくないと思うわよ…頑張って乗り越えてね」


酒瓶やその他のゴミを捨て、その足で部屋を後にした。


一応は訴えても無駄な様に書類は作ってサインはさせていたけど…


面倒事は嫌だから遠くに行こう…二人と会わない位遠くに。


私は爽快な気分で役所に離婚届けを出しに行くのであった。


◆◆◆


「これ完全に二日酔いだな…あたたたっ頭が妙に痛い」


酒を飲んで寝てしまったようだ。


裕子は居ない…出て行ったのかどうか解らないがこれで約束は守った。


俺はホッとした気分の中、少し寂しさを感じた。


彼奴とは長い付き合いだ、他に好きな相手が出来たとはいえ愛情が全部無くなったわけじゃ無い。


陽子を見ると毛布が掛かっている。


『相変わらず優しいな』


そう思い部屋を眺めた。


もう整理されていて家具も無い。


兎に角終わったんだ…これで。


後は陽子との生活を考えれば良い…


「う~ん、おはよう和也、あれ裕子さんは?」


「もう居ないよ」


「そう、結構悪い事しちゃったな」


「だが仕方ないだろう」


「こんな事で許してくれて…あれっ、ああっこれが裕子さんの最後のいたずらか、体中に落書きがされているよ…あたたた、かなり痛い」


「俺もだ…酷い事書かれているな」


「まぁ仕方ないんじゃない」


「そうだな」


周りを見ると机に手紙があった。


『私の二つ目のお願いは貴方達に入れ墨をする事です』


「嘘、これ消えないよ」


「真面目に消えない、冗談だよな」


「痛いのは、書いたんじゃなくて入れ墨だから? 嘘、そこにあるの入れ墨の機械じゃない」


「本当だ」


「これじゃプールも行けないし、子供と遊ぶ時に制限が掛かるよ…どうしよう」


「俺だって入れ墨がばれたらクビになるかもしれない」


「「うわぁぁぁぁぁー-っ」」


二人の悲鳴がこだました。



                  FIN

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