第8話 取り返した仲間

「俺は死んだ筈なのに、何で生きているんだ?」


「私も、死んだ筈なのに、しかも両手がちゃんとあるわ」


「魔王に殺された筈なのに、生きている、それよりも体が凄く軽いの?何でかしら」



「皆んな無事で良かったわ!ちゃんと生き返ったんだね...嬉しいわ」



「ロザリア、そこをすぐにどいて!悪魔神官ジャルダ、斬る!」


「待って!私の話を聞いて!ジャルダ様は命の恩人なのよ!それに剣も持たずに何を言っているのカルダ!」


「あっ...剣が無い」



「カルダ、リタ、俺の話しを聞いてくれ!俺もロザリアもあの後、酷い目に遭っていたんだ!お前達が死んだ後、何があったか話を聞いてくれ!」



これで大丈夫だわ。


二人も私と同じ、セイルが好きだからちゃんと話を聞いてくれる。



私は、今迄あった事、自分がした事を酷い事も含んで全部、正直に話した。



「ムカつく..本当に虫唾が走る..僕ちょっと王城に極大呪文ぶっ放してくる」



「片手になって迄戦ったのに、その仕打ち王家は皆殺しにしても良いんじゃないか?」


皆んなが怒り狂っていた。


多分、誰かが止めないと『本当にやる』そして二人ならそれが本当に出来る。



「二人とも落ち着け!まぁロザリアが敵を討ってくれたようなもんだし、これで良いんじゃないか?」



「300年後が、ある意味で本当の復讐みたいな物ね」


「だけど、他の勇者が召喚されるんじゃないかな? 僕はそう思うけど?」



「それだけど、邪神様とジャルダ様に聖なる武器は全部あげちゃったから、絶対に倒せるような存在にならないんじゃないかな?」


「流石、ロザリア、思いっきりが良いね!だけど、剣が無ければ、剣聖の私はタダの人だよ」



「武器なら新しく貰ったわ」



魔聖剣 グラムカイザー


魔剣 ユーグラシム


魔杖 無限の漆黒


魔杖 癒しの黒杖




武器が欲しい、ただそう願っただけで、まるで主と認めたように、それぞれの武器が手の中にに移動した。



「凄いな!この剣、聖剣より手になじむぞ」


「この剣なら、もう腕を失う事は無いだろう!素晴らしい剣だ」


「力が湧いてくる!僕に魔力を与えてくれるみたいだ」


「本当に凄いわね、この杖」


◆◆◆



「ジャルダ...本当にありがとう心から礼を言う、俺はもう女神何か信仰しない...邪神様を心から信仰する、300年後に魔王として戦うなら、魔族に味方する約束だ!」



「私の剣はもう人を守る剣ではない...次ぎ会う時、いや今から貴公の味方だ」


「そうだね、堅苦しいのは嫌いだけど?ジャルダが困ったら助けに来るよ」



「本当にありがとう、ジャルダ様」




「最大の敵が味方になってくれるのですね...何とも頼もしい...こちらこそ有難うございます」


「あっ!」


「どうしました?」


「僕らの能力は無くなっちゃうんじゃない?」



「それなら平気な筈です...神は与えた能力を奪う事は出来ません」



「本当に、聖女と違って、悪魔神官って何でも知っているのね」


「はい、邪神様は何でも教えてくれるので...」


「本当に素晴らしい神ね」


「私もそう思います」



その日、気を良くしたジャルダ様は食事まで用意してくれた。


今思えば、戦いばかりで碌な物を食べていなかった事が良く解った。



ジャルダ様の勧めで皆んなで泊まった。


用意されたベッドも凄くフカフカだった。



「ロザリア...苦労掛けたな」


「良いのよ、セイルの為だもの」


「そう?しかし、本当に落ちて見ないと解らないものだね」


「そうね...」


「もう、俺は魔族を前みたいに斬れないよ」


「それは私も同じよ。それはそうと出て来たら?」


そこに居るのはバレバレよ。



「邪魔しちゃ悪いかなと思って」


「今日くらいは僕も遠慮してあげようかと思ったんだ」



この子達もセイルの事を好きなくせに、遠慮なんてしなくて良いのに。



「私は、セイルが好き、自分の命よりもね」


「ロザリア、ずっこいよ」


「ほう、このチャンスに抜け駆け!まぁ今日は文句は言わない」


「だけど、自分の命と同じ位、貴方達も好きなのよ...二度とは言わないけどね」



「何だ、ロザリアも僕と同じなんだね」


「なんだ、全員、同じだったんだな」



「4人で楽しく暮らせる...それ以上の幸せは私には無いのよ...セイルと二人きりよりもね」


「「「そうだ(ね)(な)」」」


気がつくと私は涙が止まらなくなった。


それは他の三人も一緒だった。



次の日、目を腫らせてジャルダ様にお礼を言い、邪神様に祈りをして私達は王都へ旅立った。



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