第6話 王の苦悩
教皇様からの連絡を受けた儂こと王、クライスラー三世は頭を悩めていた。
エリクラ―11本の代金の弁済を求められたからだ。
責任の元になったローゼット伯は既に死んでしまって居ない。
その日のうちに自殺してしまった。
召喚状を届けに行った使いの者が見た物は燃え盛るローゼット伯のの屋敷だった。
『儂に迷惑を掛けおって、貴族の癖に責任も取らず、王も守らぬのか』
幾ら考えても案が浮かばぬ、家臣も皆、目を伏せておる。
エリクラ―は1本でも王城に匹敵する価値があると言われている。
しかも、これは置いてあるのが、教会の総本山がこの国にあるからというだけであって
この国だけの物ではない。
強いて言うなら「本当に困った時に使う」と決めた世界の物だ。
弁償となると下手したらこの国を手放しても足りないかも知れない。
共同分割という形で他の国でこの国を分け合う...何て事になりかねない。
忌々しい..
聖女に罪を着せようにも、今回の話は「魔熱」絡みだ。
この伝染病に掛かった者は 最初微熱だが、徐々に体が溶けていき腐る。
恐ろしい病気だ、これを治すには、普通に考えてエリクラ―しかない。
しかも、感染率は高く、あっと言う間に広まっていく。
これはこの国、いや世界の危機でもあった。
だから、今度の件は『罪ではなく、手柄』なのだ。
しかも、こっちではなく、教皇に先に話しが伝わったから、もうねつ造も出来ない。
既に詰んだとしか思えない。
そして、これから儂は教皇の元に行かなくてはならない。
どう考えても碌な事にはならないだろう。
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