第57話 お金の増える石
「た、確かに師匠の言う通りです! 俺たちは今までと同じようにやっていきましょう!」
そういうと師匠は自信満々に答える。
「な? 俺はいつも正しいことしか言わないんだ」
「は?」
あ……心の声がそのまま……
「は? じゃねぇよ。俺が競馬予想とかにいくら使ってきたと思ってんだ?『これで絶対勝つ競馬予想』『これが馬券王の買い目』とか金が増える石とか金運が上がる金の船とか! そして俺は気づいたんだ。予想は当たらないとお金は増えない! お金は石や船じゃ増えないってな」
師匠はなぜか誇らしげ話をしている。
「……な、なるほど……参考までにその予想とかにいくらぐらい使ったんですか?」
「えっと絶対勝つ競馬予想が月3万だったかなあ? 馬券王とかひどいんだぜ? 入会金1000円なのに1000円じゃなんにも教えてくれない。1万円でプレミアム会員になると印をおしえてくれるんだけど印だけ。買い目も教えてくれるのは5万払ってハイパープレミアム会員になる必要がある。でもその買い目が3連単240点とかなんだわ……ハイパープレミアム会員になるのに6万もかかるのにさらに3連単240点とかさあいくら使えばいいんだよって話だ」
「し、師匠はそのハイパープレミアム会員に?」
「なったよ……ちょうどパチンコで3万発出た直後だったからな」
「そ、そうですか……でば、馬券はあたったんですよね……」
「ああ当たったよ3連単120倍。それで大的中とか言っちゃってんだもんなあ。 盛大にガミってんのに的中ってなあ……」
「な、なるほど……でも的中はしていると……」
「そう! そこなんだ。俺たちは的中率重視ではいくが、買い目が200点とか300点とかでガミってるのに当たりましたーとかはしたくねぇんだ!」
「なるほど……確かにそれで当たったっていってもなんか恥ずかしいですよね……」
「そう! 俺たちは安心安全で嘘偽りのない的中率でいこうぜ。あと△-△で的中とかもなしだ! 本命が連対してこそ的中だ!」
「そうですね! 俺たちの予想は損をしない! そういやあともう1個の方はどうだったんですか?」
「絶対勝つ競馬予想はな……馬券のスクショ加工して外れ馬券を当たり馬券って公表してたんだよなあ……俺が予想買っても全然予想が当たらないから不思議に思って的中馬券のスクショをじっと見てたら開催日がずれてた」
「うわ……それは絶対当たらないやつですね……」
「あと金が増える石は1万5千円、金運が上がる金の船は2万だったな」
「それ効果あったんですか?」
「ないよ。その金で馬券なり舟券なり買った方が期待値あったんじゃねぇかっておもっちゃった」
「そ、そうですよね……」
「まっそろそろ戻ろうぜ」
2人のいるところに戻る。
アカネが怪訝な顔でこっちを見ている。
「なんやこそこそしよってからに。なんかそっちのパドックみるあんちゃんの顔ちょっとすっきりしてへんか? なんややらしいことでもしてきたんか男二人で」
師匠がは?というような顔で突っ込む。
「あほか!」
アカネの言葉に今度は俺が真剣な顔で答える。
「違いますよ。俺たちの目指すべき方向性が決まったの負けませんよ!」
「へぇぇうちらも負けへんでぇ 次のレースとその次は新馬戦やからまあ勝負は5レースからやけどな」
師匠が口を挟む。
「新馬戦予想しねぇのか」
「新馬戦はうちの出番あらへんし、ザキの推奨通りにだすだけやさかいな」
「俺達は新馬戦全部当てるからみとけよ。むしろ新馬戦の方が得意まであるからな」
――4レース終了後
師匠が右手をあげて穴の龍の二人を見る。
「しゃあ!! 言った通りだろ!!」
俺達はこの力で3レース、4レースともに的中させることに成功!! 馬券も馬単を的中させることに成功!
するとアカネが答える。
「当てたっていうたって5頭立ての単勝1.5倍と6頭立ての単勝1.2倍を頭にしとるだけやんけ。うちらは期待値狙いで2着付けにしただけやし。ザキも1番手評価はしとったんやででもそれやと期待値ないからな」
師匠がしたり顔で答える。
「違うねんなあ。俺らはぶっちぎりで抜けてるって評価したから本命に推しただけだ! なんせ俺たちは予想家だからな! 圭一郎」
大きく頷いた俺はアカネに言ってやる。
「そうです! 俺たちは予想家です!」
「予想家でも勝てへんかったら意味ないやんけ。まあ。ええわ。バイアスも読めたし次の5レースうちら本気だすであとでほえ面かいても知らへんでぇ?」
「かかってこいや!」
ということで5レースのパドックが始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます