第55話 当てる予想と勝つ予想
大井2Rここは4連勝中の断然1番人気の7番を買いたくなるところであるが独自のアルゴリズムで能力解析を行った結果、この中で4番手の能力であること明らかになった!
しかし能力差は小さく1Rの結果トラックバイアスは前傾向である可能性が高い。オッズ的には7番を切りたいところではあるがここはヒモには入れておかないと危険と判断する。
買い目は能力の高い順位で5番、12番、4番と7番をいれた馬連ボックスをお勧めしたい。
自信度は⭐︎⭐︎
異世界馬券師を信じろ!
SNSに予想の投稿を終えた師匠が呟く。
「ちょっと守りに入ってるよな……」
「仕方ないですってステータスはそれほど差がないですし、これがベターだと思います」
「だよな……あとは穴の龍の予想がどうなるか……」
パドックから馬たちがトラックに向かう。それに合わせて俺たちと穴の龍の2人もメインスタンドに向かう。
すると穴の龍のザキさんの声が聞こえてくる
「あかねちゃん。7番は切りでええよ」
「ほんまか。じゃあ遠慮なく切らせてもらうで」
その直後穴の龍のアカウントでSNSが投稿される。
大井2R、4連勝中の7番に目が行くが持ち時計は大したことがなく時計的には12番が1番速い。パドック、返し馬での評価は7番はテンションが高く入れ込んでいるということで嫌いたいという結果になった。
1Rでのトラックバイアスは前傾向の可能性が高いが7番はテンが12番よりも遅く出せない可能性もある。
ここはオッズ妙味もない7番はあえて切る。
本命は12番を推したい。買い目は12番から5番、4番、11番への馬連流し。まだトラックバイアスが判明しないため見推奨であることには変わりない。
それを見た師匠が呟く。
「まじか……思い切ったな」
アカネが話しかけてくる。
「ザキが入れ込んでるいうてるからな。7番は切らせてもろうたわ」
師匠がアカネに話しかける。
「いうてバイアス前っぽいだろ? 来たらどうするんだ? 予想はずれるだろ?」
「このレース7番を切るか、取るかの2択やねん。うちらはオッズ妙味がないしパドック加点もない。馬柱の加点もないとなれば切る方を選んだだけや。別に予想はずれるのは怖くあらへん。当たった時にいかに回収率を上げるかやねん。極端な話100回はずれても101回目に当たって回収率が100%超えるならそれでええねん」
「しかしそれだと今回の馬券対決に勝つのは厳しくないか?」
「難しいねぇ。当てに行く予想と勝ちに行く予想のバランスやね。ただどんなに予想の精度がたこうても100%の予想なんて不可能やさかいな。落馬もあるし故障もあるしな。なら勝ちに行く予想の方がええんとちゃう?」
アカネはさも当たり前というような感じであっけらんかんと答える。
師匠は今までにない真剣な表情でアカネの話を聞いている。
スマホを見ながらアカネは話を続ける。
「お! 異世界馬券師は7番切れんかったんかあ。まあ普通の予想ならそうなるよなあ。でもなおっちゃんならもっと攻めた予想するかと思うたわ。おもろないな。しっかし7番の能力は4番手なんかあ。いつも気になってたんやが独自のアルゴリズムってなんや? 教えてくれへん?」
師匠が答える。
「そんなもん企業秘密やでしかし」
師匠がそう言うとアカネは笑いながら答える。
「おっちゃん下手な大阪弁つかわんとってくれる? まあええわ。どうせ大したことあらへんやろー。馬の力順はうちの見立てと近いなあ。12番が2番手か。うちは1番手やとおもっとったけどな。そっちのあんちゃんがパドックでみてんやろ? ザキから聞いたで馬見始めて2か月やろ? 凄いやんけ」
急に話を振られてビクッとなりながら答える。
「なんか色々ありまして……」
「色々ってなんやし」
師匠が口を挟む。
「というかお前も25ぐらいでであんな馬券の真理みたいなもんにどうやってたどり着いたんだよ?」
「ん? さっきの話か? あれはうちの親の受け売りやねん。あとな競馬はな馬券購入者同士のお金の取り合いや。いかに人が買えないところを買って当てるのが勝つ秘訣や! ってのもずっと言われて育ってんねん。ろくな親やあらへんで」
そういって笑らうアカネ。
世の中には凄い親がいるもんだな……
「ってうちの話はどうでもええねん! あんたら馬券は買わへんの? うちらは見推奨してるから買わへんけど」
「あ! 締め切りになる圭一郎いくぞ」
「え? 師匠馬券買うんですか?」
「当たり前だ。俺たちの予想通りに買うぞ」
メインスタンド近くでマークシートと鉛筆を入手し大井2Rとちょっと慣れた手つきで塗る。
スマホを取り出し予想を再確認する。予想は馬連ボックス推奨だったから馬連ボックスを購入するように塗りつぶす。
そして4番、5番……7番どうしたらいいんだろ? でも予想は買えといってるんだから買わないとSNSで参考にしてくれてる人に悪いか……
ふと師匠の方をみると師匠もマークシートを塗る手が止まる。ちらっとみると7番を塗るか塗らないか迷っているようにも見えた。
すると意を決したように鉛筆を動かしているのが見える。たぶん7番を塗りつぶしている。
俺も同じように塗りつぶし金額は1点500円とし3000円購入することにした。
師匠の馬券は4,5,7,12馬連ボックス各1000円と印字されていた。
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