第30話 フリー枠
ピロピロとスマホから目覚ましの音が流れる。スマホの時計は朝5時と表示されている。
今日はエリザベス女王杯の朝。そうSNS予想家馬券対決の日。
俺の力は実際の馬を見ないとステータスが表示されない。ということはエリザベス女王杯が行われる京都競馬場まで行く必要がある。
一応馬券対決は3レース。新馬戦、エリザベス女王杯、あと自由の3つのレースで5万円を一番増やした人の勝ちということ。
10番以内に入れば年末の有馬記念?とかいうレースで決勝戦を行うらしい。
とりあえず俺たちは10番以内に入ることが目標。
朝一から京都競馬場に行こうということでこの時間に起きた。正直眠い。前乗りすればよかった……
ということで着替えて東京駅に向かう。
◆◇◆
東京駅で待つこと数分……
「おはよー圭一郎くん」
いつもと変わらないスタイルの師匠が現れる。
その目が血走ってギンギン。
「ど、どうしたんですか師匠。目血走ってますよ……」
「き、緊張して一睡もできなかったんだよ……」
「な、なるほど……もうすぐ新幹線きますから行きましょ」
師匠に切符を渡す。この間預かった5万で買っておいた切符だ。
「あ、そうかそういや圭一郎がもってたな俺の金」
「どうせ昨日の儲けたお金はもうないんでしょ?」
一応昨日の競馬は3万円ほどのプラスで終わっていた。
「何で知ってるの? 眠れなくてオンラインカジノですちゃった」
ほらね。お金預かって良かった。
ということで俺の金で駅弁とビールを買って新幹線に乗り込む。
並びで座る師匠と俺。
座るなりビールを開けカンパイと俺に缶を持ってくる師匠。
朝からビールという背徳的な感じになりながら師匠と乾杯をしビールを飲んで弁当を食う。
スマホをみながら少しだけ頬が赤い師匠が口を開く。
「この馬券対決、肝はこのフリー枠だな」
「エリザベス女王杯じゃないんですか?」
「エリザベス女王杯はもう決まってて買わなきゃならないから予想力が問われてるレース。総合力が問われるてるのはフリー枠だよ。フリー枠。これってレースを選ぶセンスと馬券センスが問われてるってことなんだよ」
「レースを選ぶセンスと馬券センス……」
「そう。荒れるレースで回収率をいっきにあげるか堅いレースで堅実にいくか。しかも前日までに運営にどのレースを買うのか報告しないといけないから前日オッズと馬柱をみて決めないとダメなんだ」
「え……前日までって……」
「あれ言ってなかったっけ? 参加しますってDM送ったら細かいレギュレーションが送られてきたんだよ」
そういうと師匠は俺にスマホ見せる。
そこには割と細かくレギュレーションがか書かれており
・レースの5分前に運営に購入馬券の写真、もしくはスクショをDMすること。
・フリー枠については前日にレースを選定し運営にDMすること。
とさっき師匠がいったことも書かれている。そして5万円がなくなったものは即失格とも書かれていた。
「5万円負けた時点で終了なんですね」
「ああ。手堅くいくか一発狙うか難しいところだな」
「そうですね。でそこまで考えている師匠はフリー枠なんにしたんです?」
「秘密。ついてからお楽しみ」
「はいはい……」
…………
『きょうと~きょうと~』
……ん……は!! え!! ついてるし!!!
「ぐごーーーーすぴぃぃぃ……ぐごぉぉぉぉぉぉ」
隣では師匠がめっちゃ気持ちよさそうに寝てる。
朝っぱらビールとか飲むから寝ちゃった!!
身体をゆすりながら声を掛ける。
「師匠!! 起きてください!! つきました!! 京都です!! 早く!!」
すると目を閉じたまま口を開く。
「……次は……勝つから」
「いやいや次は勝つとかじゃないですから早く起きてください」
「……ああ……慌てんなって……ええ!! もう京都じゃねぇか!! 早く起こせよ圭一郎! 1R目に間に合わなかったら俺たち失格だぞ!!」
そういって師匠は飛び起きて新幹線から出て行った。
俺も師匠と一緒に降りたのだが、なんか師匠が言ってたの気になった。
なんで1R目に間に合わないと失格になるんだ?
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