第18話 自信度★5

 俺の馬券は15万ほどになり13万プラス。師匠はというと……


 師匠はニヤニヤしながら発券機から戻ってきた。


「馬連5.2倍、3連単23.1倍。合計38万! 33万勝ちだああああああ」

 そういってお金をバンと地面に置いてスマホで写真を撮っている。


「それもしかしてSNSに?」


「ほんとは帯の方がインパクトあるけど。まあ33万勝ちならそこそこのインパクトはあるだろ」

 スマホを操作する師匠。


 その投稿には……


 異世界馬券師を信じろ! の文字のあとに38万の現金の画像が添付されている。


 まあ下品な気もするけど……


 師匠だったら物凄い馬券をとったら現金の風呂に入ったり写真を投稿しかねないな……そんなことになったら流石に止めるけど……


 その投稿にいいねが2個つき、そしてフォロワーが3と表示されていた。


 しかしその後……7Rは能力上位で決着せずにハズレ……8Rも1着は能力最上位で◎の馬が来たが2着、3着ハズレ。


 その結果からから師匠は難しい顔をしている。


「むむ……連敗か……連敗はいかんな……信頼が下がる……」


「フォロワー減ってませんよ? 増えた1人しかいませんが……」


「俺はその増えた一人に申し訳がないんだよ!! 俺たちを信じて7Rと8Rにぶっこんでたらどうする?」


 1レース毎に10万も入れてたのは師匠でしょ……


「どうするって……そんなの自己責任じゃ……」


「いーや予想屋たるもの信じてくれた人を裏切るわけにはいかーん!! 次のレースから全部当てるつもりでいくぞ!! 全部当てるつもりだぞ!!」


 そりゃそうだろうけど……俺の力はステータスが見えるだけだし、未来予知ができるわけじゃない。予想の仕事は師匠でしょうが……


 思わずそう口に出そうになったが飲み込む。


 そして9Rの予想は◎が5番チヨノアキタ、〇15番フジサンニノボッタ、▲3番バナナボート、△9番スターシャイニング。


 しかしこのレース馬の力がほとんど拮抗していてどれが来てもおかしくないレース。なんで◎5番にしたのか師匠に聞くと勘といった。



 いつもの異世界馬券師を信じろを添えてSNSに投稿している。


 そして9Rは案の定というか……1着が12番ソフラチュール。2着が11番アーケードナイト。3着がイデソンソードという結果で予想全て外れるという結果になった。


 その結果を受けて師匠は身体を震わせながら俺に向かってこう言った。

「圭一郎!! お前やる気あんのか? なんでこねぇぇんだよ!! お前、ちゃんとステータス見えてんのか?」


 ……いくら師匠でもその言い方はねぇぇんじゃねぇぇかな……


 腹立つ感情を抑えながら師匠に話しかける。


「そんなこと俺に言われても……ちゃんと見えた能力伝えてますよ……だいたいステータス見えてもちゃんと予想しなきゃ当たらないって言ってたの師匠でしょ! だいたい俺も師匠の予想に乗って馬券外してるんですからね!!」


「あーーん? お前、俺の予想にケチつけんの?」


「……そんなわけじゃないですけど……」


 一瞬、間が空き変な空気が場を支配する。


 ツンツンしていた師匠はパンッと顔を叩く。


「……すまねぇ。予想は俺の仕事だよな……予想屋としてフォロワーがついたからちょっと舞い上がっててたわ。圭一郎も馬券を外してるし俺も馬券を外してる。それにさっきのレースは能力がほとんど拮抗してたからな……」


 急に冷静になった師匠。


 ……確かに師匠の言うようにさっきのレースは全員の能力が拮抗してて予想を出すのは難しかったような気もするな……


「すいません。師匠俺もいいすぎました。予想が難しいときは予想だすのやめますか?」


 俺の提案聞いて首を横に振る師匠。

「いや。予想は見れるレースは全レース出そう……というか予想の出し方を変えるわ。レースの自信度を★で出すわ。自信のあるレースは★5、自信のないレースは★1。こうしたらフォロワーさんも参考にできるだろう」


「確かにそれはいいですね!」

 ということで10Rのパドックで馬を見てステータスをPCに入力。


 それを見た師匠はニヤリと笑いスマホに入力を始める。


 SNSには京都10R


 2番ビュンビュンマル ◎!!

 と書かれこのレースの信頼度は★5! 


 独自のアルゴリズム解析によると2番のスピードは圧倒的でこのレース2番が圧勝する。


 推奨馬券は2番の単勝のみ


 異世界馬券師を信じろ!!と書かれている。


 スマホを見ている俺に師匠が興奮気味に話しかけてくる。

「圭一郎。この馬バレてないぞ。今なら3番人気で単勝5倍つく。今回昇級初戦で前走あんまりいいタイムじゃなかったからこの馬の本当の力がバレてない。この馬の力なら単勝1倍台になってもおかしくない。そう圭一郎の力があるからこそ見つけられた馬だ」


「あ、ありがとうございます」


「しいていうなら馬連や3連単を買い目にいれたいがあとは能力がドングリの背比べだからな。単勝のみで勝負。俺は全財産をこの馬に入れる。この馬来なかったら俺は東京まで歩いてかえるわ」


「……そうですか……」


 俺は歩いて帰りたくないから1万円だけにしとこ……


 10RはSNSに投稿したとおりに2番がぶっちぎりで1着になり、俺は4万9千円。師匠も結局歩いて東京までは帰れないと悟ったのか10万だけ単勝にいれて49万になっていた。


 そしてパドックが人だらけになり身動きが取れなくなった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る