第15話 異世界馬券師

 この日、俺と師匠は3レースを的中させることができ俺の資金は2万が6万4千円。師匠は5万が12万2千円になった。


 帰りに飲みに行こうということになり、師匠と居酒屋に訪れた。


 ある程度酒もすすむと師匠がこう言った。

「なあ、圭一郎俺と一緒に予想屋やらないか?」


「予想屋?」


 聞き返すと赤ら顔で真剣な表情を見せる師匠。

「ああ。競馬の予想屋で金を稼ぐ。競馬予想と馬券両方で稼ぐ。予想が当たるならそっちのほうが金を稼ぐ効率が良くなる」


「なるほど……」


 予想屋かこの力を使って安定してお金を稼ぐのはこの方法が一番いいのかもしれない


「どうだ? 圭一郎、予想屋やってみるか?」


「そうですね……面白そうですね」


「そうと決まれば……」

 そう言って師匠はスマホを取り出し弄っている。


「何をしてるんですか?」


「SNSに競馬予想アカウント作ってんの」


「競馬予想アカウント?」


「そう。最初は無料でやる。するとこのアカウントの予想は当たるってなるだろ? フォロワーが増えて話題にもなる。そこから有料に予想にシフトしていく。今まで俺たちが頼りだった連中は有料予想を買わざるを得ない」


「なんか麻薬の売人みたいなやり方ですね……・」


「確かにな」

 そう言って師匠は笑う。


 師匠はスマホを弄るのをやめ俺の方を向いてこういった。


「アカウント名は何にする? なんでもいいから言ってみて」


 アカウント名か……やっぱりこれかな……


「じゃあ……エルラインの予想屋で……」


「エルラインの予想屋? なにそれ?」


「俺がエルラインから帰ってきてステータスが見えるようになったんで……」


 面白くないというような顔をした師匠は「却下」と一言。


 なんだよ……なんでもいいとか言ったくせに……


 不機嫌っぽい語尾でこう言った

「じゃあなんにすればいいんですか?」


 師匠は別に気にもせずに続ける。

「エルラインの予想屋なんて言われて競馬予想アカウントとか思うか? もっとちゃんと考えろよ」


「じゃ、じゃあ異世界馬券師ってのは……」


 目を細めてなんだそれ? というような顔をする師匠。

「……それも意味がよくわからんけどまあ馬券師ってついてるからまあそれでいっか」


 ということでSNSのアカウント名は異世界馬券師となった。


 自分のスマホから異世界馬券師のアカウント見てみる。


 プロフィール

 異世界からやってきた馬券師。馬の能力を数値化する独自のアルゴリズムの作成に成功。このアルゴリズムを用いて競馬予想をする。


「独自のアルゴリズムってなんすか」


「ステータスが見えるって言っても誰も信じないだろ? こうやって書いておいたほうがすげぇぇ当たりやすそう! って思うだろ?」


「まあ確かに……」


「AIとかアルゴリズムとか書くと当たる気がするんだわ……俺も何度騙されてきたことか……」



 異世界馬券師の初投稿は『今までの予想を覆す全く違う当たる予想をがっつりお届けします』だった

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