第12話 場外馬券売り場
明日ウインズ渋谷に来い
浦和競馬場で2万円儲かった翌日の朝、師匠からLIMEが届いた。
今日は競馬しないんですか?
今日はパチの激熱日だから競馬はお休み。明日渋谷な。
ということらしい。パチンコにいくから今日は競馬はお休みらしい。渋谷に競馬場があるとか聞いたことないけど……まあ師匠が言うならあるんだろう。興味を持ってなかったから知らないだけだな。
明日はどうしよう一人で競馬場にいくか? 俺一人で行って当たると思う?
うーーん当たらなさそう……
金がなくなるだけで勿体ないな……よし決めた今日は1日ゴロゴロだ! 昨日2万儲かってるから日当は出てる。
ということで今日は競馬場にはいかず家でゴロゴロすることにした。
日中TVで浦和競馬の中継してたから鑑定眼使ってみたけどステータスはやっぱり見えなかった。
――翌日
師匠からは朝9時にウインズ渋谷というところで待ち合わせと言われている。場所がいまいち分からないけどスマホの地図アプリ使えばすぐにでもつくだろう。
渋谷には1時間半もあればつく。ということは7時半に家をでて電車に乗ればいい。
会社に行くような時間に起きて
……ああ今日は土曜日か。
電車に乗る人の少なさで今日の曜日に気が付いた。
土曜日も仕事でよく電車に乗ってたけど、仕事以外で土曜日にこの時間に電車に乗るのは初めてかなあ。渋谷なんてそんなに近寄る場所でもないし……
1時間ほど電車に揺られ渋谷駅に到着する。
スマホにウインズ渋谷と入力すると新南口から徒歩3分と書いている。
ちょっと迷ったりしながら歩いていくとウインズ渋谷と書かれた茶色の建物が現れた。
師匠についたとLIMEを送るともうすぐ着くと返答が来る。
するとスマホ弄りながらボサボサの頭でスウェット上下の浦和競馬場でみたまんまの師匠が現れ声を掛けてくる。
「よう! 圭一郎。軍資金はあるか?」
その一声は明るい。
良かった……一昨日のことそんなに引きずってないみたい。
明るい声色で返事をする。
「おはようございます。ええ。昨日は競馬場に行ってないですからね。2万円もってきました」
「そっか。おれは昨日パチで5万勝ったからな。この5万で今日こそは帯を取る」
昨日パチンコで勝てたから機嫌がいいのか……よかった。
「それは良かったですね」
「それじゃもうすぐパドック始まるからいこうぜ」
ということで師匠と建物の中に入っていく。
師匠と一緒に歩きながら話しかける。
「渋谷に競馬場があるなんて知りませんでしたよ」
「ん? 何言ってんの? 渋谷に競馬場なんてあるわけねーだろ」
「え? でも馬券買えるんでしょここ」
「ああ。ウインズだからな」
「そ、そうですか……」
また師匠がわけわからんこと言ってる……馬券って競馬場で買うもんでしょ……
「じゃあパドックみるぞ」
そういうと壁についたモニターに馬が曳かれて歩いてる姿が映し出されている。
あれ? 本物の馬はどこにいるんだろ? キョロキョロと周囲を伺うが馬のいる様子はない。
「本物の馬はどこに?」
「競馬場にいる」
「え……馬いないんですか?」
「は? お前何言ってんの? ウインズに馬なんているわけないでしょ」
「……使えません……俺の力使えません……この力は本物を直でみないと使えないんです……」
モニターに映る馬を見ていた師匠が真顔でこちらを向き口を開く。
「え……どういうこと? それってステータス見えないの?」
俺はコクリと頷いた。
天を仰いだ師匠が「はあああああああああああああああ? そんなの聞いてねぇぇし!!」大声で腹の底から出したような声でそう言った。
俺は師匠に目を向けることができず、伏し目がちに答える。
「言ってなかったですね。すいません」
「今からやれ。見れるようにしろ」
「そ、そんな無理ですよ……できるならやってますよ……」
ぶつぶつと独り言を言い始める師匠。
「ここから府中まで1時間弱でつく。というとは10時半から11時。その時間なら新馬戦のパドックには間に合うはず。行くしかないか……」
「し、師匠?」
「行くぞ。圭一郎。今から府中に行く。今ら出たら新馬戦には間に合う」
そういって師匠は早歩きで歩き出し俺もそのあとついて一緒にウインズを後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます