第6話 的中?
「それじゃ一緒に見る?」
教えてくれたお兄さんと一緒にレースを見ることになりついていく。
結果なんか見なくてもも7番が1着になるのは当然なんだけどね
観客席のまえに砂のトラックが広がっている。結構でかい。
「競馬場って大っきいんですね」
「一周1200メートル。左回り。競馬場としてちっちゃい方だよ」
「へぇぇそうなんですね」
そんな話をしているとファンファーレが流れ、高いところで赤い旗を振っている人がいる。すると馬を箱の中に入れだす。
場内アナウンスが流れる。
「浦和競馬第2レース、C3、1400メートル戦。ゲートイン完了!」 と場内アナウンスが言った。
スタート地点は観客席の奥。ガシャコン! という音が響き馬が箱から飛び出す。
スタートしました。7番メッチャエスケイプが好スタート! つづいて3番ゴールデンゴーレム。2番……といった実況が聞こえてくる。
ドドドドドドドドドという音ともに馬が目の前を通過していく。
12頭の馬が目の前を駆け抜けていくのは中々の迫力がある光景だ。
7番のゼッケンをつけた馬は先頭を走っている。
「ゴールはどこなんですか?」
お兄さんに話しかける。
「あそこ」
といって自分たちの目の前にあるURAWA RACE COURSEと書かれた板を指差す。
「1周もするんですねぇ」
「ああ1400メートルだからな」
向こう正面に差し掛かる。相変わらず7番は快調に先頭を走っている。
「ほら7が勝ちますよ。言った通りです」
「まあみてなって」
「3コーナーに差し掛かったとこで7番メッチャエスケイプ手が動いている。苦しいか?7番メッチャエスケイプ後退する。後ろから3番ゴールデンゴーレムが先頭に立つ」
……あれ? 7番抜かれた? いやいやゴールを1着で駆け抜けたらいいだけだし……
「4コーナーを周って先頭にたったゴールデンゴーレム。後ろからカラカラピスタチオが迫ってくる。直線に入って、先頭はゴールデンゴーレム譲ずらない。カラカラピスタチオも迫っているが、後ろからライブライブダンスが迫ってくる!! 3番ゴールデンゴーレム1着! 2着には5番カラカラピスタチオと6番ライブライブダンス!! が際どい争い!! 4着12番マジックガチャ 5着は9番ユニークドバイが入線!!」
あれ? 7番は? え……1着は3番?
「1着って7番ですよね?」
「掲示板の1番上は何の数字がでてる?」
「3って書いてあるような」
「はい3番が1着です。俺の3-5が当たりました」
「おめでとうございます」
「ありがとう」
「この馬券は……」
「ただの外れ馬券」
え……俺の1万が……そ、そんな……でもなんで? どうしてすばやさが一番高い馬が1着ならんの? そんなのおかしい!! 八百長だ! こんなの八百長だ!! 俺に100万をあげたくないばっかりに!!
アタッシュケースの持ち手に力が入る。
「なんで! どうしてですか!! 7番が一番すばやさが高かったんですよ!! 一番速い馬がなんで勝てないですか!! 八百長ですよね!! 俺に100万あげたくないから!!」
周囲の人が怪訝そうな視線を俺たちに浴びせる。
やれやれといった感じでお兄さんは紙を広げて俺に見せる。
「そんなことをおっきい声でいうなよ……お前さんがなんであの馬が1番速いって言ってんのかは分からんけど、7番の馬柱みてみ?」
「うまばしら?」
お兄さんは紙を指差す。そこには馬の名前書かれ◎〇などととその馬の名前の下に書いてある。ちなみに7番は無印。
「これが7番の5走前までの戦績」
そこには10、11、9、9、10と大きく書かれている。
「これは10着、11着、9着、9着、10着って意味ですか?」
「そうだよ。その下にも文字が書いてあるでしょ?」
確かに小さな文字で1、1、5、8と書いてある。
「その数字はコーナーでの位置。7番の馬は最初は速いんだけど、持たないんだよ」
「……つまり最初だけ速い馬ってことですか?」
「そう、そういうこと。ちなみに後ろから行ったこともあるけどその時は後ろのままいいところなくおわったからね」
「じゃあ! どうやって馬券当てるんですか!!」
「どうやってってこっちが聞きてぇよ! 血統やらレース展開、騎手の駆け引き、馬の調子そんなの要素が絡んでるのをみんな推理して馬券買ってんだよ!! ただ速い馬が勝つなら持ち時計が一番速い馬買えばみんな金持ちだ!」
お兄さんの言ってることはほとんど分からなかったけど、ただ速い馬を買うだけじゃ当たらないってことらしい……
「でも馬柱の見方すら分かんない素人なのに7番が一番速い馬ってなんでわかったんだ? スピード指数とかか?」
「スピード指数? なんですかそれ? 自分、馬を見るとステータスが見えるんですよ。ゲームに出てくるステータスみたいなのが」
そういうとお兄さんはキョトンとしている。
「そ、そうか……がんばって馬券を当ててくれそれじゃあな……」
お兄さんはそういうと踵を返して向こうに行こうとしている。
多分お兄さんは俺が頭のおかしい人間だと思ってるらしい。
「あ、そうだ。俺ステータスと一緒に名前も見えるんですよ。トミタさん。トミタタケヒロさん」
そういうとお兄さんは振り返る。
「俺、お前に名前教えてないよな?」
「ですね。トミタさん」
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