3 赤い目の犬

 てき!?

「ヘルハウンドが――おそらくですがさんたいいます!」

 ウィィィン! というけいこくおんはっしながら、ゴーグルのレンズがひかった。


 ハヤトのけいこくけ、いっきんちょうかんたかまる。シグマたちはいきをのんでがまえた。

 するとすぐに、のあいだからあかおおがたけんてきた。


「あのあかひかってる、マルスじゃないのか……!?」


 うん、そう思う。ジャンのうとおりだ。「シグマ、こいつらロボットだよ、きっと」

 ヘルハウンドのぜんしんはジュズまるおなじで、にぶいぎんいろ

 そのぎんいろのヘルハウンドたちがいっせいにびかかってきた。


「マルス・ボール!!」


 すばやくつえをかまえたローザがじゅもんを――パスワードをとなえた。

 そのつえせんたんがメラメラとほのおのようにかがやいている。

 ちょっけい三十五さんじゅうごセンチほどのあかいマルスのきゅうたいいちぴきのヘルハウンドへとはなたれた。

 せまるあかきゅうたい! ヘルハウンドはジャンプしようとしたけれど、よけきれない。

 ローザのほう、マルス・ボールのちょくげきらってんでいく!

 ヘルハウンドのりょうからあかひかりえうせた――そしてうごかなくなった。


「すっげえぇよ!」シグマはガッツポーズだ。「さっそくいったい、やっつけたな!」


 とよろこんだちょくのこたいのうちいったいがシグマにかってれっしゃのごとくとっしんしてきた。

 ナイフのようなつめで、シグマのかおっかこうとする!

 シグマはそのこうげきをさらりとかわしてみせるとどうに、ハヤトのつるぎをふりろした!

 ヘルハウンドのどうたいおのでわったまきのようにスパンッとわれる!

 これでたいめだ! なんだよ、がいらくしょうじゃないか!

 そんなふうに調ちょうりたいところだけれど、もんだいはジャンだ。


 バシュン、バシュンッと、ジャンはさきほどからマルス・ガンをちつづけている。

 でも……ちっともたってないぞ……。

 ジャンにはわるいけど、くそすぎるんだよなぁ……。

 ヘルハウンドはなんかいかにいっかいだけまともにんでくるマルスのだんがんかくじつによけている。

 そうやってこうげきかいしつつ、じりじりとかくじつにジャンまでせまりつつあった。

 そしてとうとう、「うわっ!」とあせるジャンのまえまでたどりいてしまった。

 ひくいうなりごえとともに、ヘルハウンドがおおきなくちをあける。


「わ、わ、わ、わっ! シグマ……たすけてよ!」


 そうしたいのはやまやまだけど――くそ! ジャンまですこしきょがある。まにわない!

 ヘルハウンドの、サーベルのようにとぎすまされた牙が、ジャンにおそいかかる!

 まずいぞ! ジャンがころされちゃうよ!


「ジャンっ!」と、シグマがさけんだしゅんかん


 くちをさらにおおきくあけたヘルハウンドが――え!? ズバッとじゅうりさかれた!


 ヘルハウンドをりさいたのは――ジュズまるだ!


 さんとうりゅうのジュズまるこしよっつのつつからマルスをふんしゃしている。それによって、ジャンとヘルハウンドとのあいだにこうそくどういっしゅんのうちにかたなほんじゅうにふりぬいていた。


「うおおっ! ナイスだぞ、ジュズまる!」

 にかっとわらって、シグマはおやゆびてた。


「たすかったよう、ジュズまる!」

 がおのジャンが、ジュズまるどうたいきついた。


 ジュズまるはキラリとひからせている。「どういたしまして」とったのかもしれない。


 シグマは、そこでふとがついた。

「そういやさ、なんでジュズまるはしゃべらないんだ? ゴーグルはしゃべれるのに」

じんこうのうぼうそうふせぐためにそうなってる」

 ローザがジュズまるを見て、それからシグマにせんもどした。

「マルスのやくさいぼうそうしたへいにはきょうつうてんがあった。こうせいのうじんこうのうそなえていたマルスへいだけがぼうそうしたってきょうつうてんがね。だからジュズまるのようなせんとうようロボットには、マルスがぼうそうしてからというもの、こうじんこうのうとうさいされなくなったの」


 ゴーグルはへいじゃない、だからこうせいのうじんこうのうとうさいされていたとしてももんだいない――ってわけか。

 なるほどね、とシグマがなっとくすると、「しかしなぜ、このだいにヘルハウンドがいるのでしょうか……?」とじんこうのうのハヤトがもんていした。


「ヘルハウンドは、かつてローザたちがたたかったマルスへいです。ローザがったように、マルスへいはふつう、こうじんこうのうそなえている。ところが、さきほどたおしたヘルハウンドたちは、ひとこともしゃべらなかった」

「だれかがかいぞうしたのかな? たいしてかしこくないじんこうのうに……」

 ぶんたおしたヘルハウンドのよこにローザがった。


 マルス・ボールをらったふくそうこうやぶれている。

 シグマにはかいできそうにないかいがまるえだ。


「ええ、そのようですね。……すこしかいぞうされています」

 ハヤトがった。「これはすいそくですが、マルスのやくさいのあと、せいぐんじんたちがまもるためのばんけんにしたのかもしれませんね」


「やっぱり……」とごえでつぶやいたローザが、きびしいひょうじょうせた。


ってなに?」と、シグマがきいた。

ゆうれい

 ゆうれいだって!? ローザはきびしいひょうじょうのまま、そうこたえた。

ようもりねむ五〇〇ごひゃくねんまえぼうれい。ヘルハウンドたちはきっと、そのぼうれいまもっているんだとおもう」

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