2 少女の謎

 テンルウやまない、ソーサリー・タンクのちょぞうつけたかくからなぞのロボット――ジュズまるてきた。ロボットがまもっていたひつぎにはしょうじょねむっていた。

 シグマは、めたそのしょうじょかって、くびをかしげた。


 しょうじょまえは、ローザ・オロチ・バスカヴィル。

 かのじょはハマナスどうめいのメンバーだそうだ。でも、なんだ、そりゃ?

 シグマはハマナスどうめいなんて、はじめてきいた。


 ハマナスってのは……バラはなまえだったよな? あのピンクとか、しろの?


 ずっとずっとむかしからキタウミのしまにもいているはなだ。

 ってことは、ハマナスどうめいってのは、キタウミのしまにあるしきなの……?


 きいたことないけどなあ……。シグマはこころのなかでなんくびをかしげた。


 ありもしないしきまえをとっさにでっちげたのか? だとしても、なんで?

 ゆうはわからないけど、もしほんとうにそうだとしたら、あやしいおんなだ。


 そのあやしいおんな――ローザをテンルウやまのこして、シグマとジャンはいっしょにやまのふもとまでりていく。ローザのふくうために。ってこいってたのまれたから。

 えきまえふるどうでブーツとデニムのはんズボン、そでのないおりもののベスト、マフラーのようにくびけるみじかいマントをってやった。

 もどってくると、ローザはちくたびれたようで、あくびをしていた。

 シグマとジャンがふくわたすと、


「はあ……!? マント!?」


 ローザはそうって、こついやかおをしてみせた。

「なんだよ?」と、シグマもけじといやかおをする。


「……シグマ・ノルニルってったよね、きみ?」

「そうだけど」

「よくきいて。わるいけどね、わたしは、きみたちのファンタジーごっこにうつもりはありません。このせつはんズボンってのも……なんで?」

「おれたち、かねがないんだ。やすものはんズボンをうだけでせいいっぱいさ」


 シグマはぶっきらぼうにかえしてやった。


「それにさ、きみはもう、タイツをはいてるだろ」と、シグマがてきする。

 はんズボンだけなら、たしかにさむいとおもう。だけどローザは、あしくびまでタイツでおおわれている。シグマとジャンのにはあたたかそうにえた。


「そのマントだって、コートをうおかねがなくて……でも、さむいだろうとおもって」


 シグマもジャンもしょきんかえりのれっしゃちんのみ。ローザもいっしょにるとして、そのぶんまではらうとしたら、じょうだんなしでだ。

 シグマがそこまでせつめいすると、「……え?」とって、ローザはをまるくした。


「それならそうと、さきって。さっきは……ごめん。ふく、ありがとう」

 ツンツンしたかただったけれど、おれいまでってくれたのはがいだ。


 ローザはぜんしんみどりいろのタイツのうえからシグマたちがってきたふくてくれた。

 テキトーにってきたふくみあわせなのにがいっている。


 それからすぐに、さんにんいっしょにやまりて、えきった。

 それまでしずかにしていたローザが、かおさおにしたのはこのときだ。


「な、なにこれ!?」


 まだひるまえかんたいもくぞうひらたいいっかいてのえきと、そのまわりのふるどう、ひとのないこぢんまりとしたさかに、さんさんとまぶしいたいようひかりがふりそそいでいる。


れっしゃまるえきだけど」

 シグマはよけのをかざしながらおしえてやった。

 ジャンはローザのよこがおをじっとつめている。


「おれとジャンはマリナのまちもどる。ローザはどうすんのさ? きっだいならすぜ」

きっ……?」

きっらないのかよ?」


 シグマはあきれたようなこえした。

 ほんとうらないとしたら、とんでもないけんらずだ。


ってるよ。ってるけど……きっなんて、はくぶつかんでしかたことがなくて……」

はくぶつかんでしかたことがない?」

 なにってるんだ? そんなわけないだろ……とおもいつつ、シグマはくびをひねった。


「だって、そうでしょ! ぜんとうろくしておいたせいたいデータをかいさつみとらせて、それでじょうしゃする。ふつうでしょ、それが?」


 また、わけのわからないことをいはじめた。

 ローザがめたときとおなじだ。シグマはそうおもった。あのときもローザはたしか、ナノマシンがどうとか、わけのわからないことをっていたっけ。


せいたいデータのかくにんうんちんこうからどうとされる。きっなんてものは――」

「よくわかんないけど、ローザはどうすんの? れっしゃるの、らないの?」

 どっちだよ? シグマがうんざりしながらたずねた。


 ローザはすると、ゆうれいようかいにでもそうぐうしたかのようなつきになる。

 そんなつきのまま、ローザはさびれたなかまちようをながめていた。そして、こうった。「……しょかんく」と。ローザはいきなり、そうせんげんしたのだった。

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