エピソード10
「だから、なんで蓮さんが脱ぐのよ!?」
「あ?」
私達は蓮さんのマンションの脱衣場にいた。
◆◆◆◆◆
玄関に入ってすぐ蓮さんが「風呂に入れ」って言った。
昨日といい、今日といい、なんでこの人はすぐ風呂、風呂、言うんだろ?と思ったけど焼肉を食べたし、汗もかいたから素直に従うことにした。
着替えを取りに行こうとする私に「俺が取ってくる」って言ってくれたから、やっぱり蓮さんは優しいなぁなんて思いながら私は脱衣場に向かった。
脱衣場の洗面台でメイクを落としていると蓮さんが脱衣場に入ってきた。
……でも、いつまでも出て行く気配がない……。
不審に思った私は、泡を流して顔を上げた。
そんな私にタオルを差し出してくれた蓮さん。
私はそのタオルで顔を拭いた。
そして顔を上げると蓮さんは着ていた服を脱ごうとしていた。
「……蓮さん、なにしてんの?」
「は?服を脱いでんだ。見て分かんねぇーのか?」
「なんで?」
「あ?風呂に入るからに決まってんだろーが」
「あぁ、そう」
私は脱衣場を出ようとした。
「おい」
「なに?」
「どこに行くんだ?」
「リビング」
「なんで?」
「蓮さん、お風呂に入るんでしょう?」
「あぁ」
「だから蓮さんが出るまでリビングで待ってる」
「なに言ってんだ?一緒に入るぞ」
「あぁ、そう……一緒にね……はぁ?」
「さっさと服脱げ」
「ちょっと待ってよ!なんで一緒に入るのよ!!」
「なに興奮してんだ?」
「ちょっと待って!それ以上脱がないで!!」
ボクサーパンツ一枚になった蓮さんを私は慌てて止めた。
「なんで?脱がねぇーと風呂入れねぇーだろ?」
「そうだけど……って違う!!なんで一緒にお風呂入るの!?」
「あ?」
「一緒に入る意味が分かんない!!」
「はぁ?意味なんてねぇーよ」
「……」
「じゃあ、なんで一緒に入りたくねぇーんだ?」
「……」
「答えろ。俺が聞いてんだ」
「……恥ずかしいから……」
「なにが恥ずかしいんだ?」
「……蓮さんに裸を見られるの……」
「別に恥ずかしいことじゃねぇーじゃん」
「……恥ずかしいもん……」
「だったら、お前はこれから先ずっと俺と一緒に風呂には入らねぇのか?」
「……」
「……俺はお前と一緒に入りてぇーと思う」
「……蓮さんは恥ずかしくないの?」
「恥ずかしくはねぇーよ、でも……」
「でも?」
蓮さんは私の手を掴んだ。
その手を自分の左胸に当てた。
蓮さんの温もりと鼓動が私の手に伝わってくる。
いつもより少しだけ早い鼓動。
「……緊張はする」
蓮さんが照れくさそうに言った。
「……私の身体見ない?」
「無理だ」
「……じゃあ、服着たまま入る」
「入れるわけねぇーだろうが」
「……」
「お前は、これから先俺と一緒に風呂に入らねぇーのか、入るのか選べ」
「……」
……出たよ……。
恐怖の2択問題。
……しかも究極だし……。
どっちだろう?
他のカップルは一緒にお風呂に入るのかな?
……てか、他のカップルって言っても私には友達がいないからそうゆう情報とか入ってこないし……。
あっ!!そう言えばケンさんはどうなんだろう?
……。
……ケンさんは入りそうだな。
なんとなくそういう気がする……。
「ねぇ、蓮さん」
「なんだ?」
「なんでそんなに一緒にお風呂に入りたがるの?」
「……顔を見ときてぇーから……」
「……えっ?」
「俺、お前が去年の春くらいからゲーセンの前にいるのを知ってたって言っただろ?」
「うん」
私は昨日蓮さんに聞いた話とさっき焼肉屋さんでケンさんに聞いた話を思い出し頷いた。
「知ってたけど傍には行けなかった」
「……」
「離れた所から見ているだけだ……。しかも、お前はいつも悲しそうな顔していた」
「……うん」
「だから、初めてお前と話した日まで悲しそうなお前の顔しか知らなかった」
「……うん」
「でも、今は違う。俺に向かって笑ったり、泣いたり、怒ったり、困ったり……いろんな表情を見せてくれる」
「……うん」
「俺はいつも近くでいろんな表情をするお前を見ていたいんだ」
私をまっすぐに見つめる漆黒の瞳。
力強くて、自信に満ち溢れている瞳。
私は、いつもこの瞳に見つめられている。
私の顔を覗き込むように見つめる瞳。
気がつくと私を見守っている瞳。
……優しく穏やかに……。
「……一緒に入る」
「あぁ」
蓮さんは嬉しそうに微笑んだ。
「……でも……」
「うん?」
「……タオル……」
「あぁ」
蓮さんは私にタオルを差し出してくれた。
◆◆◆◆◆
大きなバスタブに湧き上がるたくさんの泡。
その泡を両手で掬う。
それを目の前にいる蓮さんに向かって息を吹きかけて飛ばす。
フワフワと浮かんだ泡は小さな透明の珠になって蓮さんの方に飛んでいく。
その珠は蓮さんの濡れている髪や大きな肩に触れては弾けていく。
私が寝そべってもまだ余裕がありそうなくらい大きなバスタブ。
綺麗な夜景を映し出す大きな窓。
目の前には両腕をバスタブの淵にのせ泡で遊ぶ私を楽しそうに見ている蓮さん。
「なんで声掛けなかったの?」
掌の泡を見つめながら私は口を開いた。
「ん?」
「私がゲーセンの前にいる時、なんで声掛けなかったの?」
「一緒じゃねぇーか」
「え?」
「俺が、あそこに座っているお前に話し掛けたらナンパ男と一緒じゃねぇーか」
「そうだね」
「ナンパする奴をお前がシカトするって分かってんのに声掛けるほどバカじゃねぇーよ」
そう言って蓮さんは笑った。
「そっか……もう1個聞いていい?」
「なんだ?」
「……さっき“マルボウ”の人が言っていたんだけど……」
「うん?」
「神宮って蓮さんの苗字だよね?」
「あぁ」
「じゃあ、神宮組って……」
「家業だ」
「家業?」
「俺ん家は先祖代々極道を生業としている家系だ」
「……もしかしてその組の組長さんって……」
「俺の親父だ」
「じ……じゃあ、さっき“マルボウ”の人が言っていた若頭っていうのは私の聞き間違いじゃないの?」
「あぁ、組での俺の肩書きだ」
「そ……それは下から何番目くらい?」
「下からは分かんねぇーけど、とりあえず親父の次だ」
「……!!」
「……?」
「……あっ!もしかして蓮さんのお父さんと二人でやってるとか……?」
「……その辺の商店じゃねぇーんだから……」
蓮さんが呆れたように溜息を吐いた。
「……ですよね……ちなみに何人位いらっしゃるんでしょうか?」
「末端の数までは分かんねぇーけど、100人くらいじゃねぇーか?」
「ひゃ……100人?!」
「あぁ」
「あの……蓮さん……さっきは『エロ変質者』とか言ってすみませんでした。あと、度々のご無礼をお許しください……」
「あ?なに言ってんだ?」
「……あ……イヤ……その……」
「美桜」
蓮さんの両手が私の両頬に触れる。
「は……はい?」
「お前、言ったよな?」
「……?」
「俺がヤクザでも気にしないって言ったよな?」
「……うん」
「ヤクザでも俺は俺だ」
「……うん」
……そうだった。
蓮さんは蓮さんだった。
蓮さんは私の背中に手をまわすと自分の方に引き寄せた。
蓮さんの温もりに包まれる。
私は瞳を閉じた。
私の耳に響く少し早い鼓動。
「……けぇーな」
「うん?」
私は瞳を閉じたまま聞き返した。
「やっぱ見た目よりでけぇーな」
……。
……!!
すっかりお風呂にいること忘れてた!!
私は蓮さんの腕から逃れようと身体を動かした。
でも蓮さんの腕は解けるどころかビクりともしない。
「諦めろ」
……はい!?
諦められる訳無いじゃん!!
「俺は離す気はねぇーぞ」
「……!?」
「別にこれ以上の事をしようとは思ってねぇーよ」
「……本当?」
「あぁ」
私はジタバタともがいていた動きを止め全身から力を抜いた。
背中に感じる蓮さんの感触。
女である私とは全く異なる感触。
その感触を私は心地いいと思ってしまった。
◆◆◆◆◆
バスルームを出た私はリビングのソファに腰を下ろした。
時計の針は0時を指している。
蓮さんはリビングの奥にあるキッチンの冷蔵庫からお茶とビールを持って来た。
「どっちがいい?」
私の前に差し出されるお茶とビール。
「こっち」
私は、迷わずお茶を取った。
それを見た蓮さんは鼻で笑って私の隣に腰を下ろした。
「服、着ないの?」
ハーパンだけ穿いてタオルで髪の滴を拭く蓮さんに声を掛けた。
「家ではいつもこの格好だ」
「ふーん」
髪を拭く蓮さんの左耳が光を放った。
私は蓮さんの耳に手を伸ばした。
耳に掛かっている髪を指で掬う。
「ピアスだ!」
「あぁ」
蓮さんの耳に光る3つのピアス。
ダイヤのピアスが1つとシルバーの小さなピアスが3つ。
「蓮さんずっとピアスつけてた?」
「あぁ」
「全然気付かなかった……」
「お前がどんだけ俺の事を見てねぇーか良く分かった」
「……すみません……」
蓮さんが笑って私の頭を撫でた。
「どうやって開けたの?」
「ん?針でグサっと」
「い……痛いの?」
私は蓮さんの顔を覗きこんだ。
「全然。なんだ?開けてぇーのか?」
身を乗り出す私を見て蓮さんは笑いを堪えている。
「うん」
「開けてやろーか?」
「いいの?」
「あぁ。でも、今日は酒を飲んでるから明日な」
「……お酒飲んでたらダメなの?」
「ダメって事はねぇーけどあんま良くはねぇーな」
「なんで?」
「血」
「血?」
「止まりにくくなる。お前貧血気味だろ?」
「うん。なんで分かるの?」
「お前の顔を見てたら分かる」
得意気な蓮さん。
「そっか」
「どんなのがいいんだ?」
「どんなの?」
「ピアスだよ。穴が出来上がるまでリングとか引っ掛けるヤツは裂けるから無理だぞ」
「蓮さんと同じのがいい」
「同じの?どっちだ?」
「『どっち?』って?」
「……お前、いくつ穴を開けるつもりだ?」
「3つだけど?」
「は?怖くねぇーの?」
「なにが?」
「穴開けんの」
「なんで?」
「痛かったらどうしようとか……」
「だって全然痛くないって蓮さんが言ったじゃん」
「まぁ、そうだけど……」
「蓮さんが痛くないって言うんだから痛くないんだよ。だから怖くない」
私の顔をマジマジと見つめる蓮さん。
あれ?
私、また変な事言った?
また、やらかした?
「……蓮さん?」
私の呼びかけにハッと我に返った蓮さん。
「悪ぃ、ちょっと違う世界に行ってた」
「違う世界?なにソレ?」
蓮さんの言葉にクスクスと笑う私。
そんな私を優しく穏やかな瞳で見つめる蓮さん。
「本当に俺と一緒のピアスでいいのか?」」
「うん。一緒がいいの」
「分かった。明日な」
蓮さんは嬉しそうに私の頭を撫でた。
ケイタイにピアス。
お揃いのモノが少しずつ増えていく。
理由は分からないけどそれが嬉しかった。
テーブルの上の蓮さんのケイタイが低い振動と電子音を発した。
私の身体は突然の音にビクッと反応した。
ケイタイに手を伸ばした蓮さんは液晶を見てボタンを押すと耳に押し当てた。
「……」
何も言わない蓮さん。
ケイタイから微かに聞こえてくる男の人の声。
「……あぁ」
蓮さんはそれだけ言うとケイタイを閉じた。
「今から人が来る」
蓮さんが私に視線を移した。
「人?」
「組の人間だ」
「……」
「昼間、買ったものを持ってくる」
蓮さんの言葉に私は小さく頷いた。
初対面の人に会うのは緊張するからできれば会いたくないけど私の荷物をわざわざ持って来てくれるんだから会いたくないなんて言えない。
蓮さんが立ち上がりクローゼットに向かった。
そしてTシャツ持ってきて袖を通した。
Tシャツを着た蓮さんは私の隣に腰を下ろしタバコに火を点けた。
◆◆◆◆◆
玄関からドアを開ける音が聞こえた。
こっちに近付いて来る足音。
リビングのドアが静かに開いた。
「失礼します」
リビングのドアの所に立ち深々と頭を下げる黒いスーツの男の人。
「入れ」
蓮さんが声を掛けるとその人はリビングに入ってきた。
坊主頭の厳つい顔のその人は両手に紙袋を提げている。
その後ろから入ってきた二人の男の人達も大量に紙袋を提げていた。
私は、それを見て申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
この人達はどんな顔をしてランジェリーショップに荷物を取りに行ったんだろう?
絶対にイヤだったに違いない。
紙袋を置いた坊主頭の人は私達が座るソファに近付いてきた。
そして、私に向かって深々と頭を下げた。
驚いた私はその人に負けないくらい頭を下げた。
他の二人はリビングのドアのところに直立不動で立っている。
やっと頭を上げたその人は蓮さんに視線を移した。
「頭、ちょっとお話が……」
「あぁ、座れ」
蓮さんが向かいのソファを顎で指した。
「はい」
坊主頭の人が返事をした後にドアの前にいる人に視線を送った。
「失礼しました」
一礼をしてリビングを出て行く2人。
それを見送った坊主頭の人は「失礼します」と言ってソファに座った。
「親父と姐さんが近いうちに顔を出すようにと……」
坊主頭の人が言い難そうに口を開いた。
「もう伝わってんのか」
蓮さんが呆れたように言った。
「はい」
「美桜の情報はどこまで流れてるんだ?」
突然、自分の名前が出たから私の身体は強張った。
それに気付いたらしい蓮さんは肩に手をまわし私を自分の方に引き寄せた。
「名前や歳などの基本情報はほぼ完全に伝わっています」
「相変わらず早いな」
蓮さんは鼻で笑った。
「それから、頭が動いている件も……」
「そうか」
溜息を吐いた蓮さんがタバコに手を伸ばす。
それを見ていた坊主頭の人はものすごい速さで立ち上がるとジッポを取り出し火をつけて差し出した。
あまりの速さに呆然とする私に火を点け終わった坊主頭の人が「失礼しました」と言って腰を下ろした。
「……面通しか……」
蓮さんがタバコの煙を吐き出した。
「そうですね。親父も姐さんも望まれています」
「伝達の事も伝わってんだろ?」
「はい。今日繁華街であったことも連絡が入っています」
「……だろうな」
「それと……」
「なんだ?」
「下にマルボウが張っています」
「美桜か?」
「……多分」
蓮さんが大きな溜息をついた。
私には話しの内容が全く分からなかった。
主語がない上に聞いたことのない言葉ばかりが飛び出してくる。
2人の会話が成り立っているのが不思議で仕方なかった。
「分かった。明日の夕方、顔を出すって伝えてくれ。それと、例の件も明日中に終わらせる」
「分かりました。明日ここを出られる時に何人か連れてきます。気引いときますからその間に……」
「あぁ、頼む」
「はい」
「美桜」
突然、蓮さんが私に視線を向けた。
「うん?」
「マサトだ。これから顔を合わせる機会が多くなる。覚えとけ」
蓮さんがマサトさんに視線だけ向けた。
私は、マサトさんに小さく頭を下げた。
マサトさんは立ち上がるとソファの横に立った。
「マサトです。よろしくお願いします、姐さん」
マサトさんが体を2つに折り頭を下げた。
……ねえさん?
今この人、私の事“姉さん”って呼んだ?
どう見ても私の方が年下なのに……。
蓮さんよりもこの人の方が年上に見えるのに……。
しかも私はこの人のお姉さんじゃないし!!
「……あの……」
「はい?」
頭を上げたマサトさんが私に視線を向けた。
「私はあなたのお姉さんじゃないんですけど……」
「……」
マサトさんの鋭くキツイ眼が大きく開いた。
「……」
「……」
「……ぶっ!!」
私の隣に座っている蓮さんが吹き出した。
マサトさんと私はほぼ同時に蓮さんに視線を向けた。
蓮さんは肩を震わせ、お腹を押さえて笑い出した。
「……!!」
「……?」
爆笑している蓮さんを驚いた表情で見るマサトさんとなんで笑われているのかが理解できない私。
2人に見つめられている蓮さんは一頻り笑った後に口を開いた。
「違ぇーよ。マサトはそういう意味でお前の事を呼んだんじゃない」
「え?」
首を傾げる私にマサトさんは少し困った様な笑顔を浮かべた。
「お前の事を“姐さん”って呼ぶのはこの世界の決まりみたいなもんだ。だから、あんまり気にするな」
蓮さんが私の頭を撫でる。
「……うん」
「まぁ、あだ名みたいなもんだと思え」
蓮さんが笑いながらそう言った。
「分かった」
そう答えた私にマサトさんは厳つい顔を崩して笑った。
◆◆◆◆◆
「それじゃ頭、失礼します」
マサトさんが蓮さんに頭を下げる。
「あぁ」
蓮さんが答えると、マサトさんは私にも頭を下げた。
「姐さん失礼します」
「……お疲れ様です」
私はなんて言っていいか分からなかったのでそう言って頭を下げた。
「……あの……」
リビングのドアに向かうマサトさんを呼び止めた。
「はい?」
足を止めて振り返ったマサトさん。
「荷物ありがとうございました」
「いいえ」
お礼を言った私にマサトさんがニッコリと微笑んだ。
「失礼しました」
マサトさんはそう言ってリビングのドアを静かに閉めた。
緊張感から解放された私はタバコに火を点けた。
「……そうだ……」
何かを思い出したように蓮さんは立ち上がるとたくさんの紙袋が置かれている荷物の方に行った。
そして、小さな紙袋を持ってきた。
ソファに腰を下ろしてその紙袋を私に差し出した。
「……?」
「開けてみろ」
私は蓮さんに言われるがまま袋を開けた。
中にはピンクの箱。
正方形の箱には“Baby Doll”と書いてある。
箱を開けると円錐形のビンが入っていた。
「香水?」
「あぁ」
それは、ピンクのダイヤのようなビンだった。
金色の丸い蓋を外し手首につける。
甘く優しい香りが広がった。
「いい香り」
「気に入ったか?」
蓮さんが私の顔を覗き込んだ。
「うん!この香り大好き!!」
喜ぶ私を嬉しそうに見つめる蓮さん。
「お前のイメージにピッタリだ」
満足そうな表情の蓮さん。
「え?」
……もしかして……。
朝の記憶が蘇る。
私が香水の選び方が分からないって言ったから?
自分に合う香りが分からないって言ったから?
「ありがとう」
「あぁ」
テレビの近くの棚に蓮さんと私の香水のビンが並んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます