第7話 冒険者登録

冒険者ギルドに来たわ。


「おや、マリルさん、今日も薬草の採取かしら」


本当にムカつくわね。


冒険者の階級はSから始まりFまであるわ。


私は…勿論…F。


その理由は、初心者冒険者は、2人以上のパーティじゃないと討伐は受けられないから。


ギルドから斡旋はしてくれたけど…女冒険者は足手纏いの私を嫌い、男の冒険者は受け入れてくれそうだったけど、どう見ても体目当てだったわ。


いきなりお尻を触られたから文句言ったら『お前みたいな奴、それしか使い道ないだろう?』だって言うから蹴飛ばして逃げたわ。


しかも自分達が斡旋した癖に『冒険者同志のトラブルは自己責任』ですって本当にふざけているわね。


「違うわ、パーティ登録よ」


「マリルさんが~良く組んでくれる人が居ましたね…って横の方ですか?」


「そうよ…それがどうしたのよ?」


驚くわよね…だってセレスは凄い美少年だし…伝説の銀嶺の勇者に似ているんだから。


「あの…マリルさん、騙しちゃいけませんよ? あの、貴方、この冒険者は出来損ないのマリルですよ…貴方が望むならもっと他の…それこそ大きなクラウンのマスコットにだってなれます! やめましょう」


「あんたね、ギルド職員が、そんな事して良いと思っているの? 職権乱用だわ」


「私はギルド職員として、いたいけな美少年が毒牙に掛かるのは見逃せませんわ」


「あの…僕はマリルが好きでパーティを組みたいのです。可笑しな事は言わないでくれませんか?」


「本当ですか? 貴方なら、ほらあそこのC級冒険者のお姉さんとかでも充分いけますよ? こんなのと組むなんて勿体ないですよ! なんでしたら、私が養ってあげても良いですし、専属」


「いい加減にしてくれる? セレスは私のパートナーなのよ? いい加減にしないと怒るわよ」


「マリル以外は考えていません」


全く、セレスが美少年だからってふざけているわね。


「それなら仕方ありません、此方の書類を書いて下さい。名前と職業以外は書かなくても大丈夫ですよ」


「有難うございます」


「セレス、大丈夫書ける?」


「ええっ、名前と…職業を書けば良いんですよね」


「そうよ…ボソッ職業は剣士って書きなさい」


「セレス…職業は、剣士…とこれで構いませんか?」


「構いません…それじゃこれで登録します…セレスさん、本当に後悔しませんか?」


「はい」


「あんた、いい加減にしないと怒るわよ!」


「はいはい…それで、パーティ名はどうしますか?」


「えーと考えてないわ…セレス、なにかあるかしら?」


「そうですね…エターナルラバー…永遠の愛っていうのはどうでしょうか?」


「ちょちょっとセレス、恥ずかしいわ」


なななな、なにを言い出すのかしら『永遠の愛』なんて…


「駄目ですか?」


ううっ、そんな目で言われたら断れないじゃない。


「うん、それで良いわ、私も…うんそう考えていたのよ」


「良かったぁ」


はぁ~男性に免疫の無い私には刺激が強すぎるわよ…全くもう。


「はいはい、エターナルラバーですね…はい登録終わり、これがセレスさんの冒険者証です。無くさない様に気をつけて下さいね…これで二人ですから今日から討伐依頼も受けても良いですよ…私はもう、やる気が失せたんで、詳しい事はマリルさんが説明して下さいね。」


しかし、何時にもましてこのギルド職員、やる気が無いわね。


まぁ、仕方ないから、後で冒険者のルールは私が教えるわ。


「それじゃ、行くわよ、セレス」


「はい、マレル」


「今日は何も依頼を受けないんですか?」


「うん、今日はこの後、セレスとデートだからね」


「…デート」


「それじゃ、明日から宜しくね」


「宜しくお願い致します」


「…はい解りました」


本当に気分が良いわね。


今迄、散々馬鹿にされてきたけど、今日は皆が私に注目しているわね。


だって、セレスって凄い美形だから女性の冒険者も受け付けも羨ましそうに私を見ているわ。


こんな事は初めてだわ。


◆◆受付嬢SIDE◆◆


しかし、凄い美形だったなぁ~


銀髪のあの髪に精悍な顔立ちの美少年。


まるで、銀嶺の勇者の少年時代にそっくりですね。


まさか、本物って事は無いでしょうが…子孫でしょうか?


それはそうと、マリルさんも良かったですね…


少しからかってしまいましたが、あの方は本当に不運ですし、不器用ですから…


まぁ、彼氏の居ない私には、目の毒ですが…


「ハァ~本当に羨ましいですね」


女冒険者に絡まれないと良いのですが…まぁ気に掛ける必要も、私には無いですね。







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