第24話 【最終話】 株主総会
京子は本当に質素な物を好む。
だから株主総会用に服からバッグから新調した。
PASSOKINGのバッグ2000万にELSISUのスーツ360万、GUSSSSの靴62万円。
時計はERLUGUSIS 280万円
こんな感じかな。
僕の方は
アドラーマのスーツに GUESISの時計に アイシクールの靴
こんな感じで良いだろう。
「京子ーっそろそろ行こうか?」
「そうね...うん」
どうやら緊張しているみたいだ。
これで良い筈だ、今回京子に用意した物は全て、あの男、高広(白百合製薬の社長、京子の父)ですら解るブランドだ。
そして、恐らく製薬会社の人間はある程度までの高級な物しか身につけられない。
大病院の院長等との付き合いがあるから自然とそうなるような気がする。
つまり、今の京子の姿は白百合家の者以上に着飾った姿の筈だ。
そして、白百合の株主総会にはある伝統がある。
今日で勝負をつける...
株主総会は今回は帝都ホテルで行われる。
廊下で、高広が家族と歓談していた。
まぁ義理の父ではあるから挨拶位はしておこうか?
「京子! せっかくだから挨拶をしに行こうか?」
「えっ、良いよ..」
ご主人様が乗り気でないのは解る。
だがここを乗り越えないと先に進めない。
「一応は家族でしょう? 挨拶位はしておかないと..」
「でも..ちょっと」
僕は手を引っ張っていった。
「初めまして、お義父さん..」
「だれだね君は? 私は君みたいな子供を持った覚えはないが.」
「私にも君みたいな弟はいないな」
「手順を踏むのであればお付き合い位はしても良いですが、弟はいませんわね」
「恵子さんから聞いて無いんですか? 私は水城翼と申します。この度、京子さんと結婚しましたのでご挨拶させて頂きました。 ほら京子」
「お久しぶりです、お父様、お兄さま、お姉さま」
「ほう、京子はまだ未成年の筈だが?」
「はい、ですが恵子さんが承認して下さいましたので。無事結婚出来ました!その挨拶です」
「そうか、それはわざわざだが、その子は、捨てたような子だから、挨拶は要らない!結婚したという事は学業すら学ぶチャンスを捨てたと言う事だ!もはや呆れて物も言えん!もういい顔も見たくない」
「そうですか? だけど、僕も京子もこの会社が好きだから結構株をもっているんですがね」
「株を持ってらっしゃるの? 何株? どうせ100株くらいでしょう?」
「私が全株の4.8%で京子も同じく4.8%..合計9.6%ですね、これは約1割ですよ? この会社の約1割は私達の物ですね」
「なっ..」
「高広君も大変だね、こういう無礼な娘を持つと!株主に敬意を称さないのが白百合製薬なんですか? 」
「すまなかったね、まだ妹は幼くて..僕から謝るよ」
「約1割、本当にすまなかった、大株主じゃないですか?」
「うん、東吾さんはちゃんとしていますね?ちなみに、さっきの話を弁解させて頂くと学業は要らないんです!私から言えば馬鹿やブスは大学に行かないといけないけど!天才で美人はそんな所行く必要はないですから」
「詭弁だ!それは学歴のない者の負け惜しみだ」
「高広くん、僕や京子さんが1週間でどの位稼ぐと思います? 大体3億~10億位です!この国の官僚になって生涯2億ぽっち、ほら大学なんて行くだけ無駄でしょう?」
「京子、それは本当なのか?」
「はい、お父様..」
「そうか、逆玉に乗ったのだな、それはそれで勝ったといえるのかもな」
「お義父さんとはいえ、高広くん、それは京子に対して失礼ですよ!彼女は私の仕事上でもパートナーですからね」
「えっ、京子がビジネスパートナーそうなのか?」
「はい、流石は白百合の家系、素晴らしい女性でした!彼女と一緒なら、私は1週間もあれば10万円を3億位には出来るでしょう!最高の女性です」
高広や東吾、百合子がこちらを値踏みするように見ている。
この為に全て一流品で着飾って来たんだ。
約3000万位掛かっている。
「そうか、京子はそこまで成長したのか、凄いな!撤回だ、お前は紛れもなく私の娘だった..私の目が曇っていた、素直に認めよう」
「良かったな、京子、お義父さんが認めてくれて」
「うん」
株主総会が始まる時間になった。
会場に行くと、前の席に案内された。
沢山の株を購入したのはこの為だったんだ。
白百合製薬の株主総会は、この位の株を持っていると最前列に座る事ができる。
つまり、大株主だと一目で解かる。
高広が色々な説明をしながら、こちらをチラチラ見ている。
自分が要らないと言った子供が僅かな期間で此処まで這い上がってきたんだ、驚きだろう。
その後は立食パーティーだったが、流石に社長が1人の所にずうっといる訳にはいかない、挨拶だけして離れていった。
そして、お土産を貰い、高広や役員に送られて会場を去った。
こうして株主総会が終わった。
◆◆◆
「どうでした京子?」
「そうね、正直、何でこんな家族に認められたいなんて思っていたか解らないわ」
「そうでしょう」
「これは、翼の仕込みよね? 私の劣等感を無くす為に、白百合製薬の株を買ったんでしょう?」
「はい」
「やっぱりね! 今迄、凄い人だと思っていたお父様が、大した人物に思えなかったわ、正直言うと認められてもそれほど感動しなかったわ」
「そのようですね」
「うん、翼の方が100倍以上凄いわよ」
「だけど、僕は全てご主人様の物ですから」
「うん、そうよね! その代わり私は全て翼の物だわ」
「ありがとうございます」
珍しく翼の顔が赤いわね..
二人は、その後も何不自由なく幸せに暮らしました....
FIN
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