第23話 社会的信用

お金は幾らでも くじを買えば手に入る。


だけど、遊んでいるような姿をご主人様、京子には見せられない。


だから3時まではしっかりと投資をする。


2台のPCでご主人様の投資と同じく自分の投資もしている。


白百合製薬の株は両方とも5%を越えない様に気をつけながら購入した。


多分、2人合わせて全株数の9.5パセーント。


まぁ大株主と言えなくもない。


正直、こんな会社潰れてしまえと思う事もあるが、ご主人様は家族に認められたい。


そういう感情もあるように思えるから、株を保有している。



すこし前まで、何かしてやろうと思っていたが、今は、この会社に何かするつもりはない。


京子が、家族を嫌いになってない以上は、うん現状維持だ。


株主総会で、現状を見せたら、株は手放すつもりだ..


『京子は凄いんだぞ』


その姿を見せたらもう関わる事は無いだろう、既に京子は水城で、白百合ではないんだから、それで良い。


もう縁が切れている。


怖いのは「子供だから」と言って何かあった時に尻ぬぐいが来るのが困る。


未成年の場合は親がかなりの権限がある。


そこを付け込まれない様に「僕と結婚して」法的に成人扱いにした。


これでもう、京子を縛る物は無い。


これから先、どれだけの資産を得ようがそれは京子の物、親や兄弟になんて分けてやる必要は一切ない。


この状況を作りたかったんだ。



次にしなければならないのは、社会的な信用だ..


既にお金はあるが、社会的には2人とも無職だ!


お金が幾らあっても信用がないのは問題がある。


例えば何か揉め事が起きた時に只の無職と会社員なら、会社員の方が信頼性がある。


だからといって、勤める気はない。


だから、僕は会社の社長になる事にした。



「合同会社 ドラゴン予想研究所」


宝くじの数字を予想する研究所を経営する形にした。


会社の登記など、簡単にできる。


そして、小さなビルのワンフロアに事務所を借りてセキュリティだけはしっかりして、ハイおしまい。


謎のそれっぽい機械を用意した(宝くじのルーレットモドキや ボールモドキ)


これらは電気で動くが...実際はただの飾りだ。


これで、これからどれだけドラゴンくじに当たっても「予測出来た」で済むだろう。


だが、この会社だとくじを購入したのが個人と法人の区別という話がそのうち出る。


だから、これからはドラゴンくじは会社で購入する。


その代り、僕の給料を年収で10億にする。


これで、世間的にも、社長で通用するはずだ。


恐ろしい事に年収で10億でもこの国は手取りにしたら3億位になる。


つまり、1か月あたり1人2500万位の収入にしかならない。


本当は京子も社員や役職にしたいのだが、多分、京子にお金があると解かるとクズ母がお金を借りに来るかも知れない。


そして、京子は優しいから、捨てた親でもお金を貸したり、あげたりするかも知れない、だから今はしない。



「京子、はいこれ」


「これって名刺! 翼が会社の社長になっているわね」


「はい、会社を作りましたから」


「会社って、そんな簡単に作れるの?」


「簡単ですよ、税務署や区役所に届けだして登記すれば出来ます..ただ儲かるかどうかは解りませんが」


「だけど、どうして急に会社なんて作ったの?」


「世間的には僕たち無職ですから、信用の為です」


「だけど、それじゃ私は、無職のままじゃない!」


「うん、京子は社長夫人じゃない? 僕の奥さんだから」


「そそそそ、そうよね..社長の奥さんなんだから社長夫人よね..うんそうだわ..うん」


「それじゃ、これ通帳、来月から家計のやりくり宜しくね」


「うん、頑張るわ」


これでようやく地盤が出来た、かな。




◆◆◆



「嘘、翼2500万もはいっているわ。給料はいったい幾らなの?」


「年収で10億円です!これ位あれば一応、胸を張って、社長、社長夫人って名乗れると思います」


「ねねねね年収10億ね!10億、凄いわね」


会社の規模は解らないけど、多分これはお父様個人の収入を越えているわね。


「上場企業役員と考えたらTOPクラスではありますが、まだ僕たちには資産がありません!だから大した事ありません」


「へぇ、そうなの?」


「そうですよ、例えば白百合家には代々からある家や土地や自社ビルがありますが、まだ僕らにはありませんから、まだまだです」


考えるレベルが違うわよ。


「そうなのかな、充分だと思うけどな」


「目指すは個人資産2兆円です、まだまだ遠いです」


「それって、日本一を目指しているって事よね?」


「はい、僕の奥さんは日本一いえ、世界一の奥さんなのでそれ位目指さないと..」



翼にとって私ってどんだけなのよ


才能が無くて実家から300万持たされて捨てられたのに。



「翼にとって私ってどの位の価値なのかしら?」


「世界中の全てのお金以上としか言えませんよ」



「そそそうなんだ...うん...そう...ありがとう...」



そう言うと思ったけど、直接聞くと凄いわ、うん、300万の私が、世界中のお金より価値があるなんて...うん、そんなの翼だけだわ。



「そういえば、株主総会の案内がきてましたから、一緒に行きませんか?」


「へっどこの総会?」


「白百合製薬です」


「行くの?」


「はい、一度ご挨拶を兼ねてうかがいましょう」


「解ったわ」



翼が言うから行くけど、あまり行きたくないわ...




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