第19話 結婚~結婚式


※ この作品は少し昔の作品です、当時は16歳で婚姻が可能でした。ご理解下さい。



 区役所に来ている。


「翼、これはどういう事なの?」


「はい、16歳で結婚したい場合は両親のどちらかが認めてくれれば可能なので説得して来ました」



最も、揉めるのが覚悟なら勝手に書いて出すという方法もある。


裁判になっても「婚姻」の事実は消えない。


一回戸籍上離婚にはされるかも知れないが「1度結婚した彼女は成人」だから改めて結婚すれば良い。


だけど、僕はご主人様の戸籍を汚すのが嫌なので正攻法にした。



「このお母さまの保証人、本物なの?」


「はい、少々手間取りましたが、何とか書いて貰いました」


「それなら良いわ...ここに私の名前を書けば良いのかー」


「ご主人様が、大丈夫なら!お願いします」



「白百合の名前に未練は無いし、何より翼が喜んでくれるなら何も問題ないわね!此処にサインしてハンコを押せば良いのね?」



うん、凄く幸せだ!



「せっかくだから一緒に出しましょう!」


「はい、ご主人様!」



書類はそのまま受け取って貰え無事に手続きは終わった。



「だけど、結婚って結構あっけないものなのね!これで、私翼の奥さんになったのね余り実感が湧かないわ」


「確かにそうですね、だけど、これでご主人様は、水城京子。僕の奥さんです」



「お客様、他のお客様の邪魔になりますので...その...」




「「スイマセン」」


だけど、他に人居ないんだけどな。




◆◆◆




「翼と一緒に居ると、本当にジェットコースターね」


「ジェットコースターですか?」



「だって、私、今日プロポーズされて、OKだしたら、もう人妻なんだから、そうじゃない?」


「そうですね、だけど、僕にとってこれだけがどうしても欲しい物だったんですいません..」


「別に良いわ、翼が私の事を凄く好きなのは解かっているから」



本当に翼は私が好きよね。


翼なら、多分誰だって好きになるわ。


それなのに私しか愛さない。


これ、嬉しすぎるわよ。



「はい」



「それで、流石にこれで終わりよね」


「まだ続きがありますよ」



「へぇー何処に連れていってくれるの?」


「ホテル、ハイアットワープです」


「えっ ホテル」



そそそそそそ、そうよね、私達もう結婚したんだもん、そういう事よね。


この間の続き、そういう事ね。


うん、私は翼の奥さん、それなら、そういう事してもいいんだし。


翼は私が大好きで、私しか好きにならないんだから、するのも当たり前だわね。


今度こそ腹を括らなきゃね。


今日は下着も新しいし、うん何も問題はないわ。



「はい、ホテルです..行きましょう」


「うん....」


私の手をとり、翼が歩き出した。


私は顔が凄く真っ赤だ..俯きながら歩くのが精一杯だ。


だけど、少しは緊張しなさいよ!


私がこんなにドキドキして真っ赤なのに平然として歩いているわね。


ちょっと憎らしいし、ずるいわね。



「着きましたよ、ご主人様...」


「う、ううん」



流石にこれからの事を考えると声がでない。


だけど、私凄く大切に思われているのが解る、高級ホテルをとってくれているんだもん。



「ご予約された水城様ですね」


「はい」


「それじゃ準備は整っていますので、こちらへ」



「はい、ご主人様、暫くお別れです」


「ええっ、お別れ?何?」


「ご主人様をお願いしますね」





「翼、これはどういう事なのかしら?」


私は、今白い純白のウェディングドレスを着ている。


そしてその前にはタキシードに身を包んだ凄く綺麗な翼が立っている。


「結婚式です」


「それは解るわ!だけど結婚式なんて私、聞いて無いわよ!」


「すいません、言い忘れました」


「全くもう!」


「すいません」


「だけど、翼にしては珍しく手順を間違えているわ、普通は式が先よ」


「そうですね」


「何か理由があるのかしら」


「それは少しでも早く、ご主人様を自分の者にしたかったからです。造られた僕にとって縁を結ぶという事は 事務的な事の方が重要なのです」


「そう、そうなんだ!」



結婚式と言いながらも、翼も私も呼ぶ相手が居ないから二人だけだわ。


神父さんの前で誓い合い、キスをして指輪を交換するだけの式。


終わった後はホテルの従業員の方がお祝いの声を掛けてくれた。


そして写真の撮影が終わり...これで終わり。



そして、翼は私を抱きしめるとそのままお姫様抱っこで部屋に運んでくれた。


そしてベッドに優しく寝かせてくれた。




いよいよ私は腹を括らなくちゃならない。


えーと、その、えーと



あれっ、何もしてこない...



「何で満足そうに寝ているのよ!」



まぁ良いか...もう結婚もしたんだし、翼も満足そうだから。


二人の時間は山ほどあるわ。


私はドレスを脱ぎ捨てると何時もの様に翼の頭を抱きかかえるようにして眠る事にした。


こうして眠ると私も落ち着くし、翼も何だか嬉しそうに見えるからね。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る