第18話 婚約



女神ストリート。


此処には高級品からお手軽な物まで色々な服が売っている。


此処を僕がデート場所に選んだのには理由がある。


此処にはショッピングモールの他にも遊園地やお洒落なお店もある。


ついでに言うと巨大ロボの実物大の模型もある。


「ここを選んだのね?」


「はい、此処なら今日一日のデートに必要な物が全部揃っていますから」



まだ、翼と会ってからそんなに月日はたってないわ。


それなのに、言葉や文字を全部覚えて、私が喜びそうな事まで全部.解るなんて


どれだけ凄いのかしら?


「ありがとう、翼、それで最初は何処にいくの?」


「最初は洋服を買いに行きましょう? 今日のデートで着る服から、これから着る服までこの際、全部揃えちゃいましょう!」


ご主人様の洋服は良い物かも知れないけど、古い物が多い。


今着ている服だって恐らく数年前に買った物だろう、それに比べて馬鹿女の恵子の服は新全部新しい物だった。


それなのに、ご主人様は僕には新しい物を用意してくれた。


今度は僕がご主人様を喜ばせる番だ。




「翼、そんなに無駄遣いして大丈夫なの?」


「ご主人様に使う、お金に無駄なんてありません」



「そんな顔で言われちゃ、要らないとは言えないわ」




「ここなんてどうですか?」


「ええ、良いわね..」



ご主人様の事だから、豪華な物を選ぶと断られるかも知れない。


だから、このお店をあらかじめ探して置いたんだ。


お店の名前は、マークスバウンダー。


大体、シャツ1枚が12000円位、上着で2万5千円位。


一応ブランド物だけど、高価過ぎず、安すぎない。


贅沢を好まないご主人様に丁度良いかも知れない。



「こんなのどうですか?」



正直僕には良く解らない、だからネットの受け売りだ。



「ちょっとスカートが短すぎないかしら?」


「ご主人様は足が綺麗だから絶対に似合います」


「そう? じゃぁこれにしようかな!」



「絶対に似合いますよ」


「そう?本当に」


「はい」




「それじゃご主人様、暫く服を選んで居て下さい」


「翼は何処に行くの?」


「ちょっとトイレに行ってきます」



「そ、そう」



店員さんにご主人様を頼んだ。



「似合いそうな服を、沢山選んであげて下さい、お金は気にしないで良いですから」


「解りました」



さてと急がなくちゃね。



僕はトイレに行くふりをして貴金属店に来た。


貴金属店もあるからこの、この場所を選んだんだ。


ジュエリー紬。


此処はお手軽な物から、高価な物まで色々な貴金属があるお店だ。


「あの、スイマセン、婚約指輪と結婚指輪を見せて下さい」


「はい、ただ今、こちらのコーナーに色々ありますよ?サイズは?」


僕はあらかじめ調べて置いたサイズを伝えた。



「この辺りは如何でしょうか?」


「そうですね、婚約指輪はもう少し予算をあげて頂いて、石は小粒で構わないのでルビーの良質の物にして下さい」


「ご予算は幾ら位でお考えですか?」



余り派手な物はご主人様は好まない。



高額な物だと遠慮されるかも知れない。


「予算は300万円位で、余り石は大きくなくて良いので石の品質に拘って下さい」



「解りました、今、予算に合うものをお持ちします」



『300万円って事は年収で1200万!この若さで、このイケメン..羨ましすぎるわ』



「どうでしょうか?」



「それじゃ、これでお願いします」



『嘘、これは一つだけ混ぜて置いた480万円の物..凄いわね、この人』



「あとは、結婚指輪ですね」


「そちらは安い物で考えています。そうですね二人で50万円位も予算でお願いします」



ご主人様は若いから、普段使いで嵌めるなら高価で無い方が良いだろう。



「解りました」



会計を急いで済ませてご主人様の元に戻った。



「トイレ随分長かったわね!もしかして体調が悪いの?大丈夫?」


「大丈夫です、お待たせしてすいません」


「そんなに待って無いから良いわ」


「それで洋服は決まりましたか?」


「うん、これにしようと思うの?」


「凄く可愛いですね、似合っています」



「ありがとう」




「それで、他は?」



「これだけで充分だわ」



本当は、もう数枚欲しいと思う。



だけどご主人様が言うならそれで良いか?


他の服は今度買えば良いな。



「そうですか、それじゃ今日は今着ている、それでデートしてくれませんか?」


「ええっ良いわよ!」



会計を済ました。


ご主人様が選んだのはコート2枚にスカート3枚にズボン1枚 セーター3枚。


正直少ないと思う。


今着ている物を除き、着ていたものも含んで家に送って貰った。



やはりご主人様にはミニスカートが良く似合う、うん凄く可愛い。


「どうしたの?」


「いや、凄く可愛いな...そう思って」


「そう、ありがとう...翼って本当に私が好きよね!こんなチビで胸もないのに、ここにはモデルみたいに綺麗な人も沢山いるのに私しか見えて無いんだから」


「僕にはご主人様以上に素敵な存在なんて居ません!」



「あの男の子凄く綺麗だよね..」


「あの横にいるの彼女かな」


「多分、妹じゃない? 彼女だとしたら釣り合わないわ」




「(ボソッ)幾らでも言っていいればいいわ!翼は私だけが好きなんだから!」



「それじゃ行きますか」


「うん!」



僕はご主人様の手をギュッと握った。









遊園地でのご主人様は凄く可愛かった。


ジェットコースターに乗っているご主人様。


お化け屋敷で怖がっているご主人様...


見ていて飽きない..幾らでも見続ける事が出来る。



「翼..幾ら何でも私を見過ぎじゃない..恥ずかしいわ」



「僕の全てですから」


解かっているけど、口に出されると凄い攻撃力じゃない..


目が合わせていられなくなる。



「知っているわ」


それが嘘じゃないのは知っている...生まれてから私を愛してくれた人なんて貴方しかいないんだから。





僕は片膝を突き、プロポーズする事にした。


「ご主人様、愛しています僕と結婚して下さい」


指輪を取り出した。




そうか、そういう事なのね? さっき居なくなったのはこの為か..


「わわわわ解かったわ、ふつつか者ですが宜しくお願いします。大体、私もうとっくにOKしていたわよ」



だけど、言葉にすると全然違うわ、思わず動揺しちゃったじゃない。




僕はご主人様の左手薬指に指輪を嵌めた。



「それじゃ行きますか?」


「何処に行くの?」


そうよね、これはちゃんとした婚約だわ..だったら、もう..


なななな何考えているの..私...



「区役所に行きましょう?」


「へっ! 区役所..何で」



まだ、私は気が付いていなかった、翼のサプライズはまだ途中だという事に....




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