第17話 デートの前に切り離し
※この作品はかなり前に書いた作品です。
その為、この当時は条件を満たしていれば16歳で女性が結婚出来た時代でした。
ご了承下さい!
ご主人様が結婚してくれるって言ってくれた。
凄く嬉しい。
ご主人様との結婚だけど、実は簡単に出来る。
『16歳じゃ結婚できない』それは両親が反対した場合。
ご主人様の両親の片親が保証人になってくれれば出来る。
僕は戸籍上成人しているから、ご主人様の両親のどちらかの同意と、誰でもいいから保証人1人を用意すれば大丈夫。
保証人は代行業者で2万円の所があるからそこに頼んで書いて貰えば良い。
実はもう既に準備はしていたんだ、「結婚」は夢だから。
【日にちは少し遡る】
「はい、これで良いのよね...約束の300万、を早く頂戴!」
この女の名前は恵子、ご主人様の母親だ。
しかし、本当にご主人様の事なんて眼中に無いんだな。
それがこの態度で解る。
だって、僕はこの女にご主人様と合わせていない。
しかも、まだご主人様の欄は空欄なのにサインして判子まで押すんだから。
天下の白百合製薬の社長夫人、れが表の肩書。
だけど、その裏は浪費癖のある馬鹿女だ。
高級バッグに、時計に、裏カジノ、挙句にホストにまで手を出していた。
実際には旦那は不自由ない位の小遣いとして月に200万以上は渡しているし、ブラックカードまで持っている。
だから普通は困らない。
だが、几帳面な旦那はちゃんと領収書の提出を恵子にさせていて、カードの明細書もしっかり確認していた。
その為、高級バッグやブランドには困らないが、裏カジノやホスト代の支払いに困っていた。
今までは、買った物を質屋に売りさばき工面していたみたいだがそれももうばれ掛かっている。
正直、こんな情報はどうでも良かった、ご主人様の為に白百合製薬になにかしてやろうと思い調査した結果、たまたま知っただけの情報。
だが、つけこむなら今だ。
多分、そのうちバレてこっぴどく怒られるが、多分それだけだ。
外面を気にする白百合家なら、立場は悪くなっても離婚は無い。
だからこそ、今が数少ないチャンス。
ご主人様を白百合から切り離す、良いチャンスなのだ。
例えば、頑張って資産を築いても未成年を理由に親が管理すると言われれば取り上げられる可能性もある。
だが、結婚してしまえば、この国の法律では成人したとみなされる。
ちゃんと独立した扱いになる。
選挙権も無く飲酒や喫煙は出来ないが、立派な成人。親が手を出せない、存在になる。
そして結婚すれば『僕とご主人様を引き離せなくなる』
そう考えたらよい情報だった。
「ありがとうございます」
一応、お礼は言って置く。
「別に良いわ、もう要らない子だしね、白百合の姓を名乗らなくなるなら寧ろ有難い位だわ」
「そうですか」
「正直、あの娘はあまり好きじゃないのよ!百合子と違って出来が悪いから、本当に恥さらしだわ!私の子とすら思いたくないの!まぁ本当に嫌いだから嫌がらせ位しようと思っていたけど、貴方が全財産くれたからこれでいいわ、貧乏人を虐めても仕方ないからね」
「ありがとうございます、京子さんと結婚するために貯めたのに、ご実家と揉めていると聞いて困っていたんです。結婚資金にと貯めた300万ですが結婚できなければ元もこうもありません」
「そうね、私の所にきて正解だわ、主人だったら許さないでしょうからね、まぁ最後に300万私にくれた、これがあの子の唯一の親孝行ね!」
「だけど、何でそこまで京子さんを嫌うんですか?」
「だって、能力がないんだもの、白百合の恥さらしだわ!もう良いわよね?貧乏人なりに幸せにね」
僕と同じだ。
ご主人様も捨てられたんだな。
さてと、これで、ご主人様と白百合はもう関係ない。
白百合には何やっても構わないよね。
◆◆◆
「おはようございます、ご主人様」
「ううん、おはようって翼!」
「あのさぁ、もしかしてかなり前から起きていたの?」
「はい」
「もしかして、私の寝顔を見てたりしないわよね?」
「見てました、いつも、凄く可愛いですよ!特に熟睡してよだれを垂らして寝ている顔が一番好きです」
「恥ずかしいから、余り見ないでよ!ちょっと待って!今いつもって言わなかった?」
「はい、いつも見ています」
本来は怒るべきよね?
だけど、翼は私が好きで好きで仕方ないんだから、仕方ないわ。
「余り見ないでね、恥ずかしいから」
「気をつけます」
絶対に守らないわよね。
明日からは早く起きるようにしよう。
「それで今日は何処に連れてっていってくれるの?」
「今日は、ご主人様の服を買って、それから遊園地に行きませんか? その後はサプライズを考えています」
本当のデートだわ...うん凄く楽しそう。
「凄く楽しみだわ...サプライズって何..」
「今はないしょです..」
「まぁ、良いわ..それじゃ支度して行こうか?」
「はい」
せっかくの翼とのデートなんだから...少しでも長く楽しみたいもの。
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