第14話 翼の過去とご主人様のプロポーズ??
明日はデート。
駄目ね。
興奮して眠れないわ。
横を見ると翼も寝ていないわね。
そうだ...
「ねぇ、翼の事教えてくれる?」
「僕についてですか? 前にも話した通り 人造勇者のクズ...失敗作です」
「聴きづらいんだけど人造勇者って何?」
「良いですよ?人造勇者は...人造勇者って言うのは、過去の勇者の遺伝子や英雄の遺伝子から作られた人造人間です!僕の場合は万能型を目指して作られたY-139.という個体です」
何だか、化学なのか魔法なのか解らなくなってきたわね。
「それって凄いんじゃないの?」
「ええっ、女神すら恋をしたという美少年セレスに、たった1人で魔族に立ち向かい勝利したジェイク、その他にも優秀な遺伝子が組み込まれていると聞いてます!ですが、失敗作なので旨く能力が使えません」
「あのさぁ、私から見て翼は優秀にしか思えないんだけど?廃棄までする必要は無いと思うんだけど...」
「人造勇者は連合によって各国団体ごとに、所有人数が決められているんです」
「どういう事?」
「人造勇者は戦力としても優秀で、僕みたいな失敗作で無ければ驚異的な力を持っています」
「だから?」
「それこそ、優秀な人造勇者を10人も持てば世界征服も可能です」
なにそれ! 桁が違うじゃない..
「だったら、多少能力が低くても廃棄なんてする必要ないじゃない!」
多少能力が低くても貴重な筈だわ..
「暴挙を防ぐために連合組織では各国をはじめ、団体ごとに所有する人造勇者の数が決められています。例えばタルダロスという大国で12人、トリスタンという小国だと3名、他には、冒険者組合で10人、特別な手柄を立てた者に破格の計らいで1人下賜するという風に定員が決まっているんです」
「それって、もしかして...」
「そうです、手に入れられる数に制限があるから、質に拘り、より優れた人造勇者を欲する!そういう事になります」
「だからなの...そのごめんね!」
「良いですよ!気にしていませんから!その為、能力の低い者は処分される、そういう事です」
「ごめんなさい」
そう言いながら悲しい顔をしているじゃない...
「話しを続けますね、人造勇者として施設での成長過程で、優秀な者はお披露目にでられます」
「お披露目って何?」
「お披露目とは、年に一回行われる人造勇者を欲される方達との出会いの場です」
「何それ?」
「簡単に言うと、人造勇者が欲しい国や団体は、条件を事前に連合に伝えます。そして実際に人造勇者を見てどうするのか決めるのです」
「何だか奴隷市場みたいね」
「違いますね!選ぶ権利は人造勇者側にありますから」
「国や団体じゃ無いの?」
「はい、だからこそ選んで貰う為に破格値の待遇を用意する訳です」
「凄いわね」
「過去には、美姫1人に側室4人つきで次期国王を保証という待遇もあったそうです」
「本当に凄いわ..」
「だけど、人造勇者が選ぶのはこれ一度だけです。後は1人の方に一生を捧げます」
「それって...凄いわね」
もしかして、これって究極の恋愛じゃないの。
「はい、人造勇者にとってのパートナーは伴侶以上の存在です、だからこそ人造勇者と結婚される方も多いと聞きます」
うん、ちょっと待って!
私.、翼のパートナーよね。
「ちょっと待って!」
私はテレビをつけた。
「この子と私、どっちが可愛いかしら?」
「ご主人様に決まっているじゃないですか!」
この子 OKB28のセンターなのに..
「じゃぁ?この子と比べたらどうかな?」
「ご主人様です」
「だったら、この子、胸も大きいしスタイルも良いわ」
「幾ら見せられても僕にはご主人様以上の人なんていませんよ」
やっぱり、そうだわ。
いやだわ顔が...どうしよう、にやけてしまうわ。
「だから前に言ったじゃないですか? 僕の欲しい物はご主人様しか持っていないって」
「翼、それじゃ私が翼と結婚したいっていったら?どうする?」
「廃棄勇者の僕で良いなら喜んで!そんな嬉しい事なんて、他にはありません」
「そっ、そうなんだ」
これってもう婚約しているようなものよね。
というか、今のは、嘘..私プロポーズしたみたいじゃない。
しかも返事はイエス、そういう事よね。
今迄の運の無さが嘘みたい!
「あのさぁ翼、もうちょっとこっちに来なさい」
私は翼の頭を抱きしめるようにして寝る事にした。
翼を見るとなんだか嬉しそうに見える。
私は多分眠れない。
だって、だって..プロポーズを受け入れてもらったような物だもん!
こんなのって、眠れるわけないじゃない...
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