第6話 アルバイトとコーラ

気が付くと50万円も使いこんでしまったわ。


既に全財産の1/6も...失ってしまったわ。


はぁ~直ぐにでも働かないと...ジリ貧だわ。


仕方ないわね、明日は学校を休んでバイトを探さないと、本当に不味いわね。


だけど、少し寝苦しいわ...



えっ...嘘、顔が近いわ...私もしかして、抱きしめられているの?


うん、これは仕方ない事だわ...起こしちゃうのは可哀想よね...うんうん、これは不可抗力だわ!暫く、このままでいるしかないわね。


べべべ、別に下心がある訳じゃ無いわよ。



◆◆◆



「おはようございます!ご主人様」


「おはよう...」


全然眠れなかったわよ、絶対隈が出来ているわね。




昨日の残り物で牛丼を作ったのよ。



「ご主人様、今日も美味しそうですね」


本当に嬉しそうだわね。


「残り物を掛けただけよ! 頂きましょう」



「「頂きます」」


全くもう、凄く可愛いいわ。



「今日は翼はどうするの?」



「ご主人様の用事が無いなら、もう少しネットで知識を深めようと思います」


うん、まだ、まだ知識不足だからその方が良いわね。


「そう、だったら頑張ってね、お腹が空いたら冷蔵庫の中の物好きに食べて良いわ」



「ご主人様はどうされるのですか?」


「私も今日もちょっと出かけてくるわ」



「そうですか? 行ってらっしゃいませ!」



なんだか少し寂しそうだわね..くっ、此処は我慢よ!


「行って来るわ」




色々考え、バイト先を選ばなくちゃね。


家から追い出されたとはいえ、変なバイトをしたら実家に連絡が入るかも知れないし...


接客も愛想笑いも苦手な私の出来る仕事は少ないわ...だけど翼の為にも頑張らなくちゃ。



「若い女の子で此処のバイトは珍しいですね!うちは人手不足だから歓迎だけど?本当に良いの?」


「はい、お願いします」



面接で落ちる事、3件目どうにか仕事が貰えたわ。


私がするのはパソコンの解体のお仕事。


壊れたパソコンが運び込まれてきて、メモリやCPU、液晶等を分解して仕分ける仕事よ。


これなら接客や愛想笑いもしないで済むし...固い仕事と言えると思うの。


まぁ女の子らしいとは絶対に言えないけどね。


時給は夜間なのに980円と低いけど仕方ないわ。



だけど、暫くは翼と一緒に居たいから...仕事は1週間後からにして貰ったわ。


これでどうにか仕事も見つかったし、うん良かった。


さぁ帰ろう。



だって、家には翼がいるんだから...急いで帰らないとね。



仕事も見つかったし、翼にお土産でも買って帰ろうかしら?



たこ焼きが良いかな? フライドチキンにしようかな?そうだあれも買って帰ろう...翼、驚くだろうな。




「お帰りなさい!ご主人様!」


あれ、喋り方が少し、変わっているわね...どうしたのかしら?


顔も笑顔だし、少しは緊張が取れたのかしら?



「ただいま、翼...今日はお土産買ってきたから一緒に食べよう!」


「ありがとう、ご主人様!」


結局、私はたこ焼きとコーラを買って来たのよ。


「これも、物凄く美味しいですね」


「でしょう? 私も好物なのよ...その飲み物も美味しいわよ!」


炭酸水は異世界には無いでしょう? これは驚く顔が見たくて買ってきたのよ...


「これも美味しいですねご主人様」


「....」


全然驚かないのね?



「あの、翼はこの味大丈夫なの?」


「ご主人様に会う前は、不味い物しか食べた事が無いから、ご主人様がくれる物は何でも凄く美味しいですよ」


「そうなんだ...」



思わず、憎しみが湧いてくるわね...翼にそんな不味い物を食べさせていたなんてね...



それにしても凄く不憫だわ。


「こんな物で良ければ何時でも買って来るからね...ゆっくり食べなさい!」


「有難うございます」



本当に天使の笑顔だわ。



「そうだ翼、明日はお出かけしない?」


「何処かに連れて行ってくれるのですか?」


「そうよ」


「楽しみです、有難うございます」



「ええっ楽しみにしていなさいね」


翼とお出かけかぁ~


また今夜も眠れそうにないわ。



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