第3話 はじめての夜
なんと答えれば良いのだろうか?
さっきまで僕はY-139と呼ばれていた。
だけど、今の僕にはその名前も無い..廃棄されたから..
それより此処は何処なのだろう?
廃棄場所ではない..そしてこの子。
夢でみた少女だ。
◆◆◆
「聞こえてないの? あんた誰?」
「聞こえてはいるのですが...何て伝えれば良いのか解らないんです」
「何故? 名前も答えられないの?」
どうして? 何故そんな悲しい顔をするの?
「今の僕には名前はない...しいていうなら勇者に成れなかったクズです」
「クズ?、それはどういう事なの?」
この人の何処がクズなのか解らないわ..
銀色、いやプラチナブランドの綺麗な髪。
少し赤み掛かった綺麗な瞳。
整った顔立ち、ちょっと幼いけど此処までの美少年を私は見た事が無い。
「僕は能力無いから、廃棄、捨てられたんです」
ここまでの美少年なら観賞用でも価値があるわ。
多分この世界のお姉さんなら養いたいそういう人が山ほどいる筈だわ。
「そうなの?」
「はい、所でなんで僕はここに居るのでしょうか?廃棄されて死ぬのを待っているだけだったのに」
「私が召喚したからよ!」
「そうなのですか? 貴方は大魔導士様ですか?それで僕をどうしようというんですか?」
「そうね、貴方を呼び出したのは魔導士ではないけど、私だわ!だったら貴方を私の物にしても良いのよね?」
「廃棄されたクズ勇者ですから、所有者はいません」
「そう? だったら決めたわ、貴方は私の傍に居なさい...死ぬまでね!」
「良いんですか? 僕は能力が低い本当にクズですよ!」
これほどの美少年がなんでクズなのかしら?
解らないわね。
「良いわ、出来る事をしてくれれば構わない!いいわね、もう一度言うわ!私に仕えなさい!」
「はい」
良かった。
これで今日から一人じゃない。
だけど、これで、いよいよアルバイトをしないといけないわね!彼は私が養わないといけないわ。
「だけど、出来る事はして貰うわよ? うちは裕福じゃないからね!」
「はい、勿論一生懸命仕えさせて頂きます」
「そう、ありがとう! それで貴方は何が出来るの? 廃棄されたとは言え勇者候補だったのだから強いんじゃないの?」
「弱いです...よ」
『黒龍はどうにか素手で倒せるけど白竜になすすべもなく逃げる事しか出来なかった』
「そう、それじゃ...そう頭は良いんじゃないの?」
「余り良くないです...ごめんなさい...」
『本1冊覚えるのに10分も掛かる位だ』
「何か特技は?」
「多分、ありません」
「本当に使え無いわね!でも良いのよ! 私は寛大なご主人様だから、気にしないわ! これから頑張れば良いのよ!」
「はい、頑張ります、ご主人様!」
「さぁ今日は遅いわ、もう寝ましょう!」
「はい、ご主人様!」
ままま不味いわね、うちは貧乏だから、布団が一組しか無いわ...
「あの、そのね...布団が一組しかないの? 一緒に...」
「僕なら大丈夫ですよ」
「風邪引くといけないわ、それじゃ...毛布だけでも使って」
「有難うございます」
そう言えば、まだ名前を付けていなかったわ。
明日までに考えよう...うん。
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