第2話 ゆうしゃはにげだした!


 勇者は魔王の消えた部屋で、改めて自分のステータスを確認してみることにした。


勇者「    」←好きな名前を入れてお読みください(4文字まで)

LV:87

HP:1/857

MP:0/248

攻撃:433

守備:388

装備:王者の剣・太陽の兜・光の鎧・水鏡みかがみの盾

道具:なし

残り:9分32秒


「うーん、これはまずいぞ」


 勇者は自分のステータスを見ながら、思わず呟いた。魔王との最終決戦で全てを出し尽くしてしまい、HPは1、MPはゼロ。脱出魔法もだが、回復魔法さえ使えないのは痛い。(瞬間移動呪文ルラー迷宮脱出呪文リミレトの消費MPが0というゲームもあるようだが、そんな生温い世界ではないのである)

 まあ、敵に遭ってしまったら逃げてしまえば問題ないだろう。すばやさは絶対といって良いほどこちらが上回っているはずだ。

 

 そんなことを思っていると、ステータスの一番下にどんどん減っていっている数字を見つけた。


「……残り? まずいぞ! あと9分ちょっとじゃないか!」


 魔王城が10分で崩壊する。それが実際に目の前に数字となって示されると、さすがの勇者でさえも若干焦ってしまった。とにかく、一刻も早くここから脱出しなければ!


 勇者は急いで魔王城最上階、魔王の間の扉を開けた。


「グオオオ!」


 さっそく骸骨がいこつ剣士が目の前に立ちはだかった。勇者は敵が攻撃を繰り出す前に、するりと横を通り抜け通路を走り去った。



 残り:8分3秒。



 階段を降りると、複数の魔物に遭遇した。ドラゴンにゴーレムに鎧の騎士。まともに戦えばそれなりの相手である。負けるわけはないのだが、今回は戦っている時間はない。とにかく逃げる! 逃げて魔王城から脱出しなければいけないのだ!


「すまんな、相手をしている暇はないんだ」


 ゆうしゃはにげだした。

 しかし、まわりこまれてしまった!


「なにっ!?」

 ゴーレムの攻撃。ほぼ最強の装備で身を固めている勇者にとっては大したことのないダメージのはずだったのだが……残りHP1だということを思い出したときにはもう遅かった。


 ゆうしゃはしんでしまった。


 ゲームオーバー。

 オートセーブされた場所、魔王が消滅した時点に戻ります。

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