第8話 スパイダー
「なんで俺の名前を⁉︎」
「ずっとスコーピオンで見ていました」
ハヤトの足元には、機械でできたサソリがいた。
「私はカブト・セトカンブリア。鋏角類界の発明家です」
「鋏角類って?」
「蜘蛛やサソリなどの生物ですよ」
「君は誰なの?」
「私はこの、人間撲滅プロジェクト[ヒト漁]の責任者です」
ハヤトははっとした。
「もしかして、お前が蟹の王だな⁉︎」
「いいえ違います」
「え、でも…」
「私は蟹を利用していただけ。クーラーボックスの中から聞こえていたでしょう。こんな話」
「そういえばそんなこと聞こえたような?」
「この鍋の中に入っているのは、生物を体の内部から分解し、殺せる薬品[カニナベ]、これで全生命体を支配することができます」
「自分たちに逆らう者は全員その鍋にぶち込むと?」
セトカンブリアは頷いた。
「はい」
「ふざけるな!鋏角類なんか!鋏角類なんか怖くねえよ」
「おやおや、我々の技術を甘く見られちゃ困る。元から先進国だった我々が人間の技術を盗んだのだぞ。すぐにこの星の生態系を支配できる」
「そもそもここどこ?」
「ここは私の城、スパイダー。この星の大気圏にある、超巨大蜘蛛型ロボットだ」
「た、大気圏⁉︎」
「誰にも気づかれないようにするには、ここしかなかったのさ」
「はあ…」
「お前はこのカニナベの威力を示すのにふさわしい。公開処刑して全生命体を怯えさせよう」
「いやだよそんなの」
ハヤトは逃げた。
「この私から逃げられるとでも?」
ハヤトは自動ドアのボタンを連打した。
「開いて開いて!ああ開いた」
セトカンブリアは歩きながらハヤトを追いかけた。
キョウが隠れていると、ハルとアキが飛んできた。
「うわぁ何⁉︎って、ハルとアキか。どうした?ハヤトはどこだ」
ハルは上を向いた。
「上に何かあr…ん⁉︎」
上空には、うっすらと巨大な蜘蛛が見えた。
「あれは、セトカンブリアの兵器。もう完成するとは。ハヤトはあの中に?」
ハルが頷いた。
「なるほど……。上空にあるのは想定外だった。どうやって侵入しようか」
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