第7話 カニナベ

ハヤトはキョウと別れ、歩いていると突然目の前にクーラーボックスの蓋が現れ、中に入れられてしまった。

「なんだ⁉︎って、ハル⁉︎アキ⁉︎」

ハルとアキがいない。

「人間捕獲した!しかもあの子供!博士に褒められるぞ!」

アガニが喜んでいると、上空から網が降ってきて、連れていかれてしまった。


「いってぇ!ここは…?」

アガニは気がつくと、広間にいた。

「アガニさん。よく来ましたね。我が城へ」

セトカンブリアがエレベーターから出てきた。

「あ、博士!ここは博士の城なんですか⁉︎」

「はいそうです。そして、人間を蟹に変える薬品[カニミソ]の改良版も出来ました」

「そうですか!さすがセトカンブリア博士!」

「しかし人間を蟹に変える薬品ではございません」

「では何に変えるんですか?」

「死体です」

アガニはゾッとした。

「は、はい?なにを…あ、そういうことですか!人間を直接殺せる薬品を開発したということなんですね!」

「半分正解。けど人間だけではありません」

アガニにはわけがわからなかった。

「相変わらず、蟹は開発途上国ですねぇ。こんなにヒントを出してるのに…まだわからないなんて」

セトカンブリアはニヤけた。

「蟹に決まってるじゃないですか」

後ろのエレベーターから薬品が入った鍋が出てきた。

「蟹どころか…この世の生物全て殺せる薬品。その名も[カニナベ]」

「カニナベ…」

「流石にわかりますよね」

セトカンブリアはアガニを鍋の中に放り込んだ。

「な、何をするんです!」

アガニがもがきながら叫んだ。

「だいたい鋏角類とかいう嫌われ者が、素直に人気者の甲殻類に協力するとでも思います?鋏角類って、他の分類からもあんまり良く思われてないですからね。それを素直に信じてしまうあなたには呆れましたよ」

「お前は何者なんだ」

「私ですか?私はこの生態系という名の階級の頂点に立とうとしている者だ」

「なんだと?」

「我々鋏角類界はかなり先進国だが、独特の見た目などでかなり嫌われている。先進国首脳会議にも呼ばれない有様だ。哺乳類界と貿易をしようとしたが、拒否されたし。だから先進国である哺乳類界屈指の技術者[人間]の技術を盗み、我々をのけもの扱いした奴らを撲滅するために、直接人間の領土に侵攻する蟹を利用させてもらったのだ」

「そんなんだから嫌われてるんだよ」

「あっそ。でももうこの世から我々を嫌う者はいなくなる。なぜなら、嫌う者は全員始末しますからね。もちろんお前も」

「やめろぉぉぉ」

セトカンブリアはアガニの入った鍋に蓋を閉じた。

「さて、ハヤトさん」

セトカンブリアはクーラーボックスの蓋を開けた。

「な、なんで俺の名前を……、って、え、カブトガニ⁉︎」

「なんですか?いやですか」

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