第5話 黒い物体

ハヤトは避難所の学校に着いた。

「ふう、まさか蟹にあんなことを言われるとは」

「あれ?ハヤトくんじゃん。さっき今日は無理って言ってたけど」

「予定変更しました」

「ムササビ?モモンガ?飼ってたの」

「モモンガですよ。ハルって名前なんです。あ、このハエトリソウは、アキって名前です」

「モモンガかぁ」

お隣さんはしばらくハルを見ていたが、どこかへ行ってしまった。

「まあ、ここへ来れば安全だろう」

その様子をどこからか窺っている者がいた。

「ついに見つけたぞ。避難所だ」

「よし、報告するぞ」














夜。

怪しい黒い物体が避難所に入っていった。

「ふわぁぁ」

人が廊下を歩いていた。

「ん?なんか奥に」

先程の黒い物体が猛スピードで距離を詰めてきた。

「⁉︎」

逃げる間もなく、巨大なハサミで捕まってしまった。

「ぐわぁ、なんだなんだ」

黒い物体は、その人を口の中に入れ、捕食してしまった。

その様子を見ていた者がいた。

「(やばい。殺される)」

上手く隠れていたが、レーダーで見つかってしまった。

この人も捕食し、黒い物体は体育館へと向かった。







ドンドンドン

「ん?なんだ?こんな時間に」

おじさんが音のする方へ向かうと、なんと蓋付きタイプのグリルのような何かが、ドアを破壊しようとハサミで叩いていた。

「なんだこいつ!みんな!起きろぉ!襲撃だぁ」

「え⁉︎」

「あんだって」

「は?」

避難所にいた人々は、パニックに陥った。

「おいみんな必需品持って逃げろ」

「ヤマダさんとキムラくんは⁉︎」

「あ、あいつらトイレに行ったっきり。今は信じるしかない」

「おいハヤト起きろ」

ハヤトは目を覚ました。

「どうした?」

「襲撃きた!」

「え⁉︎早く逃げないとやばいな。おい起きろハル」

ハヤトはリュックを背負ってレジャーシートを巻いた。

「逃げるって言ってもどこへ?」

「知らん。とにかく安全そうな場所へ」

ハヤトはアキを持って、外へ出ていった。

「もしかして…」

ハヤトは自転車に乗ると、みんなとは別の方向へ向かった。

「あ、ハヤトくん」

「待って、こっちへ誘き寄せる」

「あのバカ!囮になる気だ」

黒い物体はドアを破壊すると、猛スピードで外へ出てきた。

「来た!」

しかし、人々の方へは向かわず、ハヤトを追いかけていった。

「あいつ」

男性が1人、ハヤトと黒い物体を追いかけていった。

「あの人誰?」

「おいそこのお前!そっち行ったら死ぬぞ」

しかし男性は人の話を全く聞かず、走っていった。

「なんだあいつ」

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