第4話 蟹にならないか?

ハヤトの身の回りの人も、みんな避難していった。

「家の親は仕事で1ヶ月間、帰ってこれないんです」

「そうか……どうする?まだここに残る?それとも避難する?避難するなら一緒に行こう」

「いやでも…、ペットもいるし、すぐには避難出来ないかもしれないです」

「そっか、え、ハヤトくんペットいたの?」

「いますよ?」

「じゃあ多分また戻ってくるから、その時乗せていくよ」

「ありがとうございます」

お隣さんは車に乗って行ってしまった。

ハヤトは家に帰った。

「ただいま」

ハヤトがドアを開けると、フクロモモンガが肩に乗っかってきた。

ハヤトはリュックを持ってきて、食料や飲料水を入れた。

「こんなもんか?ラジオと懐中電灯も入れておくか」

ハヤトはハエトリソウを見た。

「アキのエサは……、まあ光合成できるしいいか」

ハヤトはリュックや帽子を玄関に置いてトイレに行った。

ハヤトはトイレから出ると、玄関から物音が聞こえた。

「なんだ?」

玄関に続くドアを開けると、なんとそこには蟹がいたのだ。

「げ⁉︎」

「人間見つけた」

蟹はリュックの中を漁っていた。

「珍しい。リュックに蟹が入っていない」

「へ?ていうか、この蟹日本語喋っている」

「お前、蟹好き?」

「好きっちゃ好きだけど最近飽きてきたからあんまり食べてない」

蟹は動きが止まった。

「(やばいかな)」

「すんばらしい!まさか蟹を食べない日本人がいたとは!ぜひ我々の仲間になってくれ」

「え?」

「この企画の責任者が人を蟹に変える液体を作ったんだ。それでさ、蟹にならないか?」

「はぁ?なるわけないでしょ」

「は?」

蟹はリュックを投げ捨てた。

「お前今なんて言った?」

「なんでもない!」

ハヤトは蟹を蹴飛ばすと、リュックやアキを持って、出て行った。

「ハル来い」

ハルは肩の上に乗っかった。

「振り落とされるなよ」

ハヤトは自転車に乗って走っていった。

「逃亡者出現!蟹になることを拒否した!」

蟹はトランシーバーを片手に、大声で叫んだ。

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