第2話 ヒト漁解禁日

「東京湾が見えてきました」

「よし、上陸するぞ」

東京港に蟹が乗っている船が何の前触れもなく現れて、気にしない人はいないだろう。

「なんだあの船」

「オモロ」

「なんかのイベントかねぇ?」

セトカンブリアが船から出てきた。

「我々は日本語を覚えた。なので会話することができる。いきなり驚かせてすまない。しかし、我々は日本人に恨みを持って来た」

蟹たちは水鉄砲を人々に向けた。

「ウケる」

「なるほど…」

「水鉄砲向けてね?」

「お前ら蟹のくせに生意気だなぁwww」

チャラついた人が出てきた。

セトカンブリアはいきなり水鉄砲をその人に向けて撃った。

「ッッ!冷てっ、おいなにすんだよ」

「それは毒だ。皮膚を溶かす成分が含まれている」

「はあ?ん、あああああ⁉︎⁉︎」

人の掌から血が大量に出てきた。

「だ、誰かぁぁぁ、助けて」

人々はその人の掌や垂れた血を見て、悲鳴を上げたり、気絶したり、逃げたり、写真を撮ったりした。

「皆さん、ヒト漁解禁日です。いってらっしゃい」

そう言った瞬間、蟹たちは船から飛び降りて、人々を追いかけた。

「装甲車出動」

まな板やフライパンの装甲車が出てきた。

「これで人間側に勝ち目はありませんね。博士」

「はい。我々甲殻類の勝利です」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る