付き合いましょう 6話【中3 冬】

 もともと檸檬はイチゴとの時間を一番に優先する予定を組むためにクラスメイトと放課後に遊ぶよりはイチゴと一緒に居る時間が格段に多くなっていました。そこにきてイチゴが卒業をするタイミングで二人は今後も友人付き合いを継続してゆくことが決まったこともあり。加えてイチゴの受験も終わり自由に遊びに来てもいいと許しを得たことで、檸檬はイチゴと時間が合えばスケジュール帳にハートマークを乱立させては顔を緩ませるのが日課となっていました。おまけに二人は遊びで恋人ごっこをしてもいるので、少し変わったやり取りが生まれ始めている。そうして今日も檸檬はイチゴの部屋で楽しく先輩を茶化して遊ばせていただくのでした。


「先輩と交際した人は変な性癖を求められそうですよね」


「エロゲネタはお腹いっぱいです」


「先輩がエロゲを一作買うたびに100回ネタにさせてもらいます」


「業が深いなオイ!? エロゲという禁断の果実はそんなに罪深いのかよ」


「先輩の罪が清められるだけマシです」


萌え罰も犬の散歩も始めたばかりであり、まだ二人の身体には減量が見られませんでした。しかしそれで遊びを中断していては本格的なダイエットもできやしないと、互いに自分の身体に危機感を抱いてもいるので自主的にも減量作戦が必要ではないかと個々に考えてもいました。そんなわけで成果が望めないまま楽しい友との時間だけが過ぎて行きそうな頃。そろそろ遊びでも本気でダイエットをさせてしまおうかと檸檬はイチゴの心を掴もうとしていたのですが、小悪魔な恋人の口から出る台詞は甘い言葉ではなく毒のある愛情であったのでした。


「その内に私も野外で脱がされそうです。初めての緊張感の次にはタイホされる覚悟までしないといけないとは・・・」


「野外プレイとはハードルが高いな!? ていうか初体験あとから、もう野外フェスティバルなの!? 補導される前に愚かなワタシを檸檬が止めてよ・・・」


「アオハルですね」


「青しかあってないぞ! そんなんで胸キュンされてたまるか!」


「先輩以外の男性にも沢山見られてしまうのですよね。恥ずかしいけど我慢します・・・」


「はなから観衆つきカヨ! やらないから! エロゲではありがちだけど強要はしないぞ!?」


これが本格的な恋愛であれば言えないことも「ごっこ遊び」なら冗談で言い合える。そうとなれば檸檬も積極的にイチゴを口説いてしまえばいいのですが、遊びとわかっていても大好きを言葉にしていくのは照れくさくて、いつも通りの関係性に落ち着いてしまう。しかしイチゴを想うなら、それこそ心を強く持ちキザな台詞を沢山言ってしまい。一つでも多くイチゴに罰を与えるべきでしたが、どうにも最後に尻込みをしてしまい結果としてイチゴは体重の減少は見られませんでした。その一方でイチゴも言い出しっぺの檸檬が本気に向かってこなければ、本気で対峙するわけにもいかないので二人は中途半端にダイエット計画は進行していたのでした。


「興味を抱く時点でアウトです」


「そもそも檸檬も際どいネタに詳し過ぎでしょう。さては兄貴の入れ知恵だな。アイツこそ大罪人だ」


「先輩のために勉強中です」


「それがどうして青姦になるのさ・・・」


話題が尽きない中学生同士の談笑で話が蛇足するなんてことはよくあることであり。しかし中学生にしては一風変わった話を切り出してもいました。それもこれもイチゴという中学生がエロゲをしていたからであり、それを賄賂という妹からの対価によって兄が見過ごすことを認めたことも罪になるのだろう。さらに自慰すらろくに経験してこなかった純粋無垢な檸檬は先輩に寄り添うために情操教育だけはしっかりと学んでしまい、いらない知識ばかりを学習してそれを披露してしまう。果たして誰が罪人であるのか同じ穴の狢といったところでした。


「うわぁ・・・先輩はそちらで考えていたのですね。私は水着で水遊びを考えていたのにハレンチです」


「何処にそんな要素があった!?」


「好きな人以外に裸体を晒すわけないじゃないですか。せめてハネムーンで海外の無人島に遊びに行ったときに大自然にて種付けしてください。先輩との子作りは毎年そこでしましょう♡」


「子作り段階で出費が高すぎて笑えない。ていうかツッコミどころが多すぎて追いつかないよ・・・いつからワタシは性転換したのさ」


「そうですよね。先輩は私に赤ちゃんが欲しいよ。女の子同士だけど先輩に孕まされたいよと言わせたいんですよね? どうして先輩は女性で生まれたのですか? 私に切ないエッチをしろと言うのですか? 切なくても幸せになれるから毎日でも抱かれてあげます。先輩も体力と精力を今から鍛えてくださいね。キャピ♡」


「おい、何処かで見たことがあるシチュエーションだぞ。まさかワタシの秘蔵コレクションも見たな!?」


イチゴもエロゲをそのまま棚に並べてしまうほど愚かではなく、大部分は兄の部屋に居候させてもらっていました。その上で秘蔵のコレクションだけは自室に隠して離さずにしている。それは何もエロゲだけでなく同人誌にも手を染めており、これも兄に通販させて手に入れた戦利品である。その一部には百合の花が咲き誇る内容もあり、檸檬にはまだ早い内容が沢山登場していました。それをあろうことに檸檬はイチゴの目を盗んで見てしまった。それが先程の百合カップルが「子作りが愛し合うだけではできない」と悩みながらも、愛し合うこと自体は幸せになれるのでやめられないという切ないラブストーリーを描いた百合大作でありました。


「てへペロ☆」


「18歳未満は観覧禁止です! 閲覧料は50円でございます」


「先輩も中学生ですよ。それにしても安いので払って見せてもらおうかな・・・」


「クスッ、興味があるなら貸すよ」


「いやいや、自室に持ち帰れるわけないじゃないですか」


「ならワタシの部屋で自由に見ればいいよ」


「恋人が居るのに部屋でエロ本を見る女子とかありえません」


「こっそり見たくせに今更興味がないとか抜かすな!」


痩せてモテる先にある交際についての好奇心は互いにあるので、しかしそれを大人の教材で学ぶのを理性と格闘しながらも誘惑に負けてしまう。その弱い心がダイエットにまで手を伸ばさないように、ようやく踏ん切りがついたのだから本格的に減量を始めるべきだと、檸檬はこの後イチゴに改めて本気でのダイエットをしようと持ちかけることになりました。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 水着の話題が出たので二人は海に遊びに行った思い出話をしていました。とはいえ二人は体型を気にする同類でもありイチゴに至っては運動が嫌いなので海で遊ぶにも限定された遊びになりました。つまり中学生までに海で遊んだ思い出も乏しく、それは檸檬も同じとなっていました。


「海かぁ・・・しばらく行ってないな。飯が美味かった記憶しかない」


「私もです。麺類が最高でした」


「カレーライスも絶品だぞ」


東北地方の海なし県に住む二人は自らの脚では海には行けないながらも家族旅行では何度か海には行ったことがある。しかしイチゴに関しては太り出す前でも海を嫌う理由があり、それが海なし県という磯の香りに耐性がないための海特有の磯臭さを嫌う「そもそも理論」でありました。一方で檸檬は体型を気にするあまり水着姿には抵抗が現れ始めてからは遊泳自体には興味が薄れて、海の幸や屋台飯ばかりに関心が向かい。あとはこれもそもそも理論で病弱な弟が健康的になるまでは小旅行も気軽に行けなくなり「我慢」していた時期があったのでした。


「海で泳ぐより食い気ですか?」


「特大の腹の虫を鳴かせた其方に言われたくはないぞ」


檸檬であれば何処だろうと食事を美味しく食べてくれますが、さらに真夏の海水浴場にて食べるビーチ飯が美味いのなんので思い出すと腹が空いてしまい腹の音で返事をしてくれました。乙女なら恥じらう場面でしたが気の知れた同類になら聞かれても恥ずかしくなく、それこそ今まで何度も聞かせてしまったので今更でもありました。そうしてイチゴは自分の体型が大きくなってからは海に足を向かわせなくなったことを白状してくれたのでした。


「弟くんも元気になってくれたし、いろいろな場所に行ってグルメを堪能したいなぁ♡」


「おう、我慢していた分を取り返せ。そして益々肥えてしまえ!」


「むう、先輩はイジワルです」


家族ぐるみといっても家族旅行には参加はできませんし、家族総出で遊ぶにも氷川家には長旅がしにくい理由が「最近まで」ありました。これまで二人は「外泊」をする旅行を一緒にしたことはなく、中学生でもあるので「二人きり」で長旅をすることもできずに、あくまで親の監視下での遊戯か近場にて二人で遊ぶことしか外出の経験がなかったのでした。そこにきて二人の体型もあり、海に遊びに行くという選択肢はとうぜんのようにありませんでした。とはいえ弟も身体が丈夫になってきたので、これを機会に二人から両親に提案して外泊の長旅も計画してくれそうではあるので長期休みが楽しみになりました。


「まあ、この身体だし。海以外にも遠慮したい場所は沢山あるかな」


「私まで仲間にしないでください。私は弟くんが病弱だからそもそも旅行に行けなかったんです」


「なら今は行けるね」


「嫌です! お腹を見られたら死にたいです」


「我が校にプールの授業がなくて助かった」


ぽっちゃりを隠すことなく大衆に晒すことには抵抗がある二人にとって小学生時代のプールの授業は「檸檬限定」で地獄の時間でした。しかし中学生となるとイチゴがぽっちゃり仲間になり、それなのにプールの授業は施設がないことを理由になくなってくれて「共倒れ」をしなく助かっていました。だからこそ体型に危機感が薄れてしまい増量を許してしまったとも言えた。


 そうして檸檬は病弱な弟が居たのでそもそも旅行にも気を遣い長旅は控えており、近場での日帰り小旅行ですませていました。今でこそ弟も身体が丈夫に育ってくれて旅行にも気軽に行ける様になりましたが、今度は姉の檸檬が身体を気にする条件が追加されて親は旅行先選びに四苦八苦をしていました。それを招いた一つの要因も旅行に行けないならと両親が子供を喜ばせようと地方の特産を買い漁り食卓を飾ってくれたのが幸せと不憫が両立してしまう愚策。幼い弟からしたら子供ぽい食べ物がまだ好物であり、大人味はまだ苦手であるので代わりに姉の檸檬が沢山食べてあげたのでした。そんな親の愛情をたくさん食べてきた檸檬はしっかりと肥えてしまい、今では食生活の見直しと継続的な運動をするために愛犬の散歩係は檸檬の専門となっていたのでした。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 マシンガントークをすると喉が渇いたと一旦キッチンに向かったイチゴはアイスを一つ手土産に部屋に戻ってきた。それを「一本」のスプーンを檸檬に手渡しながら踵を返してしまう。


「ワタシも食べるから食べすぎるなよ」


「ええ〜、一個だけ?」


「一個しかなかったの!」


「ところで先輩はまた何処へ?」


「ミニ炬燵を持ってくるから待ってて」


「は〜い♪」


イチゴの部屋は炬燵がなくとも春夏秋冬快適に過ごせる環境は整っている。しかし炬燵で食べるアイスの魔力を知っているだけにイチゴはわざわざ戸建ての階段を昇り降りしてまで炬燵を自室まで遠征させて、檸檬とぬくぬくしながらの談笑をすることにしました。しかしその手土産を食べるためのスプーンはアイスが一つでもスプーンは二本用意すればいいのに、わざわざ一本に節約してしまい間接キスに対しての抵抗はないことを無言で伝えていた。それでも恋人同士のように食べさせあい自体を楽しみにしていたわけでもなく、檸檬が「遠慮」する可能性も考えての大勝負でしたが、見事に瞳を輝かせながら両手を広げて「ちょうだい」アピールをしたのでイチゴはアイスを一旦預けて炬燵を取りに向かうことになりました。


「先輩はかき氷は何が好きですか? もちろんイチゴですよね?」


「そのネタは嫌いだからイチゴ味は選ばなかったんだよ・・・好きなのはブルーハワイかな」


(クソ、貧乳相手に爆乳を押し付けやがって。格差自慢か!? いつか腹いせに揉みしだいてやるからな!)


イチゴは暖かい床にあえて簡易マットを敷いて炬燵をセッティングした。ミニ炬燵ということで中学生二人が脚を両端から伸ばし合うとガチンコ勝負になってしまい、そこは遠慮しあったり、くすぐりあったりしながら暖まるのを待ちながらアイスを食べては先程の会話の続きを始めていた。イチゴに関しては檸檬にアイスを委ねてしまい「あーん」をされた時だけ口を開く動作をしてアイスが乗せられていないと「騙されたと怒る」お約束をしながら携帯端末を操作しながらのトークまでこなしてしまう器用な中学生となっている。裕福な家庭に生まれたからか檸檬よりも早くに電子機器に触れ始めて、今では携帯端末の操作はお手のもので自分専用のPCまで買い与えてもらっている。そのイチゴが檸檬の満足気な表情を見ずに携帯端末を操作していた理由も、先程からの話題となる旅行について興味本位で検索しており。檸檬まで興味が湧いて炬燵から抜け出すとイチゴの背後に寄り添い、たわわな膨らみをイチゴの背中にあえて押し付ける遊びをしながら画面を一緒に覗いてはアイスを半分こにして交互にゆっくりと食べあい。夏の思い出を掘り起こした会話を続けて「恋人らしくもある」イチャイチャをしていました。


「なるほど。でも安心してください。私は・・・イチゴさんが・・・大好きです。キャッ♡」


「全然萌えません! ていうか、この流れはかき氷をネタにしたいがための前フリだろう」


イチゴとレモンという果実を名前にされていた二人はかき氷を食す機会があれば、自分の名前が飛び交う場面に遭遇することになりました。そうした苦い思い出はこの際思い出す必要はなく、檸檬は「イチゴが大好き」と言いたいがために、その前振りでカキ氷の話を冬にしていたのでした。こうして檸檬はわざとらしく恥じらいながらイチゴ味のかき氷が大好きだと告白をしつつ、甘酸っぱい感情を伝えたくても怖くて言えずに隠しながらも伝えてしまった乙女も演じてくれて、まったくもって遊びだからとやりたい放題の始末でありました。


「先輩も痩せたら海に遊びに行きましょう」


「何年後になるのやら・・・」


「志が低いです!」


「そもそもこの畑と山ばかりの大地に海なんてあるのかえ、婆さんや」


「四万キロ先の隣の県にはありますぞ、モン吉や」


「地球一周、モンキーラッシュ!」


「クフッ、今のツッコミはキレッキレでした」


「アイスパワーは偉大だね」


とりあえず二人は側から見ても普通であると流される体型までには早く戻りたいとは思っていた。そこからは各々の理想的な身体を目指してくれたらいい。それなら海で異性を誘惑する美ボディはいつになったら獲得できるのか。それもやる気次第でしたが、二人の現状からでは緩いペースになりそうだとイチゴは思っていたのでした。もしイチゴが初恋を経験してしまうような本気になれる理由を見つければダイエットにも励むのでしょうが、残念ながら檸檬ではその立場には不足している。


「そういえば一般的なかき氷のシロップは味が同じなんだって。初めて知った時は衝撃的で詐欺と思ったよ」


「はへ? 普通に味が違いますよね?」


「色とか匂いとかで誤魔化しているだけだとさ」


「つまりブルーハワイもイチゴも同じであると?」


「味に関してはね」


「そうなると先輩はイチゴもレモンもブルーハワイもイケる口なんですね。イチ檸檬の青姦を狙っている!?」


「繋がっただと!? すごいこじつけだな」


「岩場に連れ込んで声を我慢させながらも執拗に嬲るのですね。先輩、お願いですからホテルに戻りましょう?」


「どこまで見たの!? ねえ、ワタシの同人誌を全部見たの?」


「先輩と同じ高校に行きたくて参考書を見ていただけです。思わぬ収穫に出会いましたが」


「天使を汚して神様ごめんなさい・・・あんな場所に挟んでおいたワタシが悪かったです・・・」


イチゴは教材であれば親も手出しはしないという理由で猥褻物をシンプルな棚に隠していましたが、イチゴを密かに追うつもりでいた檸檬はイチゴの部屋を漁り、参考書を調べて同じ学力まで追いつこうと頑張るつもりでいました。しかし学生らしい勉強も頑張ってはいましたが、さらに好奇心に負けてしまい情操教育をするには「欲望に忠実すぎる」教材で違う勉強までもしてしまう。こうして檸檬もイチゴの性癖をひそかに学んでしまい、将来的には恋人として求めに応じると冗談で弄んであげたのでした。まったくもって中学生が笑い話にするには危ない会話が繰り返されて、二人の精神年齢はすでに大人に近づきつつあるのかもしれない。それでも身体はついて行けないために、一線だけはしっかりと引いてしまい。実体験だけは決してしないようにしていました。




「ぶっちゃけ自分がエロ展開になる想像ができん」


「たしかに」


 自分たちの体型を考えると男を手玉にとる未来が想像できなく、ずっと妄想ばかりで楽しんだ挙げ句に「退屈」だと後悔することもなく充実だと朽ちていく人生になると、中学生ながらに波瀾万丈はいらない低燃費生活を想像していた。さらに言えば性的な好奇心こそあれど、それを今すぐに体験したいのかは別問題となり。中学生らしくプラトニックな付き合い方から始めてゆくのが理想的とも考える。その一部を互いに「練習」として体験することにしたならば、許可なくするのはルール違反なので許可は必要となり。しかし例えば「練習のキスをしよう」と言い出したら微妙な空気感になるのも考えつくために、やはり「冗談」の域は越えられないのでした。


「むしろそれ以前に周りの人を不快にさせていないか心配しないとな」


「わかります。匂いがキツめのご飯を食べたら体臭とか気になりますものね」


行為の内容自体には明るいイチゴでも性交渉に対する不安は拭えていないので、自分がそうならば檸檬はより必要とはしていないはずとイチゴは見積もっている。つまり過度な触れ合いに挑戦するか否かの判断はもっと先でもよく、今は少女らしく恋愛の「れ」の字あたりの交遊で充分に好奇心は満たされる心境を抱えていました。ただそんな精神的な成長をしても姿が改善しなければ全てが台無しになると当人たちは考えていて、それさえ改善できればモテるという慢心をしてもいた。ただこれは実際に二人はスペックが高い分野もあるので、モテた事例があるからこその自信でもありました。


「水着姿はさておき、肉は落としたい。腹だろう、二の腕だろう、脚も股擦れとか死にたくなる」


「首周りのお肉も虚しくなりませんか?」


「下を向くと悲しくなるよな・・・」


ぽっちゃりあるあるを話し出すとキリがない。危機感があるからこそダイエットを決意したので、あとはやる気を出すだけ。そしてそれを継続できる根気を失わないこと。その条件を二人は自ら得ていたので、あとは準備運動を終えてスタートを合図するだけでした。こうして檸檬は蛇足しながらもイチゴに最終的な合図を送ることにしました。


「・・・・・・先輩、痩せましょう。痩せて美ボディでモテましょう!」


「よーし、見てろよ10年後の自分!」


「だから志が低いです!」


こうして二人はこの日から本格的な恋愛ごっこの攻防戦を始めることを宣言。いつ終わるのか分からないダイエット企画を本格的に始動することになるのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る