付き合いましょう 4話【中3 冬】

 いつまでも計画段階でいてはダイエットも進まないとあり、本格的な話し合いをするために檸檬は碓氷家を訪れていました。そうして檸檬が楽しい減量作戦を推奨したのが「せっかく恋人になれたのだから、互いに相手を萌えさせたら罰として運動をする」という恋人を胸キュンさせたら相手はさらに減量して美しくなるというお頭が可哀想になる方程式。それを聞いたイチゴは笑い飛ばして散々なほど檸檬を馬鹿にしてしまい、檸檬は拗ねてイチゴのベッドに潜り込み出てこなくなりました。するとイチゴはラッピングされたお肉でベッドが蒸し風呂状態になる前に、檸檬を引き剥がそうと行動に移すも全体重を動かすことは叶わず。仕方なしに檸檬の提案を受け入れてしまい、偽りの恋愛をしているぽっちゃり百合カップルは互いが惹かれ合うように積極的に行動して、罰ゲームという遊びを繰り返して痩せるように運動を強制させることになりました。


 罰となる運動は特に決めてもいなく、身体に負担のない範囲で都度考えながら運動をしてゆくつもり。それと同時に檸檬は氷川家の家族である飼い犬の散歩を習慣としているためにイチゴも「罰とは関係なく」誘って、これからはなるべく身体を動かす時間を増やしてゆく予定を組みました。そうした罰ゲームの基準は自己採点の申告制であり、意図的に罰を拒絶したり中断をすればさらなる罰則があるのでした。しかし難題を与えるつもりもなければ量も沢山発生すれば身体が悲鳴をあげてしまうので、そこには無理はさせない配慮はある。すると自己採点が甘くなってしまえば当然不正にもなりますが、そこは互いに信用しながらの綺麗な身体を手に入れたい本気度も試されているので、なるべく不正がないようにしながらの萌えさせ勝負にもなるのでした。




「先輩は罰を拒絶したり不正をしたらエロゲを一本廃棄してください。これは先輩が愛しの檸檬ちゃんをどれだけ愛しているのかの試練と考えて、真剣に取り組みましょう!」


「なんだと!? ワタシに死ねと言うのか!」


「どんだけエロゲを愛しているんですか・・・先輩はもはやエロゲそのものですね。エロゲさん、こんにちわ」


「もはや先輩どころか人間じゃねえ・・・」


 檸檬のダイエットにかける本気度はこれから判明してゆくことでしょうが、少なくともイチゴは愛した趣味を捨てられてしまうのは経済的損失も多ければ、精神的主柱を失うのは精神衛生上悪い。とはいえ目的自体はダイエットのためであるので、エロゲを処分させることに熱意を抱くのは本筋を見失った行為だけに慈悲はあるはずである。つまり無理難題がないとあればイチゴは必死に罰を与えながら、やり返されもする稚拙なダイエット大作戦が檸檬の巧みな舵取りにて開始されることが約束されてしまい。イチゴはこよなく愛するコレクションたちを捨てさせまいと固く罰をやり遂げると誓うのでした。


「先輩は私にどうして欲しいですか? やっぱり食事制限でしょうか」


「食べられなくなる物が増えたら檸檬ママンに迷惑をかけるでしょう。それに檸檬だってストレスで発狂するだろうし。だから檸檬は別に何もしなくていいよ」


一度了承をしたのだからイチゴも中途半端な気持ちではなく、真剣に「ダイエット」だけは取り組み諦めないようにすると誓っていた。そのアプローチ方法に一つクッションが入ってしまうことにも納得して、やる気がないわけでもなければ、そもそも相手を落としたくなる程の魅力がないと言いたいわけでもない。そこはおふざけだと割り切ってイチゴも檸檬を口説くことに遊び心で対抗してゆくことに熱意を抱いていて、楽しい時間の始まりだと檸檬の反応によっては「冗談に付き合ってよかった」と感じる「暇を解消」してくれるくらいには期待をしていました。


「うわお、先輩は後輩にあまあまですね」


「どうせ必要ないし」


二人もぽっちゃりなりに底辺からのスタートであることを考慮して採点をするつもりでいる。そうでなければ一行に萌えない不毛な争いが続いてしまい、萌え罰という制度はすぐに撤廃されて普通にダイエットに励む仲間にクラスダウンしてしまう。イチゴに関してはそれでも構わないと思っていましたが、提案者の檸檬は一定の達成感を得るまでは仮初の恋仲を続けて遊んでいたいとする考えのもと、実のところ檸檬はイチゴの性格面でのイケメン力には期待と警戒をしていました。一方でイチゴも「あざとさ」も含めた檸檬の「妹」としての可愛さを一部恋人同士の触れ合いとしてカウントしていくつもりであり。こちらも要警戒で、そこに新たに檸檬が恋人を誘惑しようとする特別なアプローチをしてくれるのは「どんなアクション」なのだろうかと、三次元のアプローチ方法を学べるのを俯瞰的にも捉えて楽しみにしていました。


(早くプルコギと散歩がしたいな。アイツは、ちびっ子時代からよくワタシに懐いてくれていたし。小悪魔に成長した檸檬とは違って駆け引きもなく大好きを伝えてくるから、可愛いんだよね♡)


「私を萌えさせないつもりですか? 先輩ならエロゲのテクでなんとかなりそうですけど」


恋に真剣になるのではない。あくまで相手を打ち負かして勝利をもぎ取りながら痩せられるという、ゲーム感覚での真剣勝負のダイエット大作戦である。つまり相手を面白おかしく減量させられる勝負のようなものでもあり、そこは駆け引きが繰り広げられそうだと楽しみにもなっていました。その上で相手を口説き堕とすことばかりやる気を出し過ぎてしまえば「拙い見積もりでは」相手は減量が進むも、口説いた自分が我に返り恥ずかしくもなりそう。そんな諸刃の剣のようなゲーム性にイチゴはどう攻めたものかと考えを巡らせていました。しかしながらそれを幼馴染の女の子である檸檬に対して頑張ろとするのはどうなのかとも冷静にもなっており、やはりここは遊びなのだから適度な付き合いで充分だと「やる気マックス、嫁指定して攻略する宣言」はせずに意識が檸檬との会話以外にも氷川家の飼い犬の散歩にイチゴは向かっていました。やはりそこは可愛い後輩よりも愛らしいワンコを愛でたいので、イチゴも運動を代償に犬との触れ合いを楽しみにしていました。


「リアルで全てが通用すると思うなよ!? 檸檬がそういうズルをする娘ではないことを知っているからだよ」


「うぐっ・・・少しキュンとしました。腕立て5回でいいですか?」


「おっ、早速だね」


言い出しっぺの法則。これも確立分母が増してもどうして引き寄せられるのか神様も悪戯心があるものだとしながら、しかし下手な豆鉄砲は技術もなければ玩具の鉄砲では威力だって弱すぎるので、最初のクリーンヒットは猟友会に所属する心を撃ち抜く「本物」の銃をもち、腕前も「認定書」つきのイチゴが先手をとってくれました。ただし、檸檬にも秘める才能はあり学べる環境は整っているために反撃するのは容易くもありそう。それでも一連の流れを映像で紹介をする気持ちで檸檬は罰執行までの流れを身をもって説明しながら「一回の工程は楽」ではありつつ「重なると」回数が地獄へと変化するので、その意地悪心と譲り合い精神のバランスを口には出さずに「息切れ」にてイチゴに「緊迫感」という駆け引きを委ねました。




 一度の運動量は少ないながらも、これから複数回の攻防があることを見越しての簡易な罰となっている。そうして一日のトータルした運動量が少なくなりそうなら、また考えを巡らすつもり。そこで運動を始めてから気がついたことがあり、部屋で頑張りすぎては下手をすれば汗や鼻水が飛散するダイエット会場になるために、二人は常にタオルを携帯するべきだと考えついて、二人の部屋に常備することになりました。こうした運動はその場でできそうなものなら始めてしまい。人目を気にする環境ならば帰宅してからの決行となりました。ノルマの達成に関してもパートナーに見せる必要はなく、個人的に体調を考えながら配分してくれて構わなく自宅で一人コツコツと消化して事後報告を絶対の決まりではないが「した方が」楽しくできるとしている。つまりこの萌え罰はゆるい監修の中で楽しみながらするダイエットになり、そこを本気になるか手を抜くのかも個人にお任せなのでした。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 スタートと同時にイチゴが振り回されるくらいに走り出すのも檸檬の「イチゴを楽しませたい」とする愛情の裏返しでしたが、檸檬も中学生になって落ち着いたのか駆け引きも使えるようになっている。今はまだ互いに牽制している段階で、一人が悪戯に相手を口説き落とそうものなら、相手もムキになり最後には収拾がつかなくなることも予想されるので、無益な争いはしないと暗黙のまま協定が結ばれていました。しかし減量が望めなければ身を削りながらの争いも時には必要になるので、運動不足のイチゴの身体が慣れてきたら激しい攻防もしようと檸檬は計画していました。その上でどちらがこの勝負に有利かといえば、互いの長所や弱点を比べたら拮抗しているのやもしれなく、その上で檸檬がイチゴを慕って離れたくないあまり、恋仲なんて繋がりを要求してしまったくらいに依存していたので檸檬が僅かに不利でもある。さらにイチゴは檸檬を「キュンキュン」だけでなく「ズキュン」とクリーンヒットをさせる優しさをくれることには長けているだけに、益々不利なのは間違いないと檸檬は自分で提案したダイエット方法に「早くも罰をもらった」ので、イチゴの落としテクの危うさも感じることになりました。


「リアル系のエロゲをされていたら先輩に殺されていました。これくらいならば軽傷ですみます」


「リアル系てなんぞや。そもそも檸檬の攻略にエロゲの知識を真面目には使わないよ」


「それはエロゲなんて姑息な手段を使わずに自然体で私を落としたいという決意表明ですね。先輩はそれ程かわいい後輩が好きなんですね。必死ですね。わかります。無理もないですよね。でもその余裕はもっとイケメンになってからにして下さい。その時ならプロポーズをお受けします。とりあえずスクワット10回しますね・・・」


(失敗したかも? 先輩は自然体でも強いからなぁ・・・)


「今日は一段とテンションが高いな!?」


「晩御飯にお呼ばれされたのでテンションマシマシです♡」


(普通に会話をしていたつもりなのに。普段通りでいいのならイージーすぎない?)


檸檬はこの後、碓氷家の晩御飯に参加する予定になっていました。そこでこの際、事前に運動をして腹を空かせる作業だと割り切り一方的な防戦を受け入れてスクワットを始めました。そんな後輩を余裕な雰囲気で眺めながら、イチゴはどうして「自然体」でいる自分が檸檬を萌えさせていたのか理解できないまま適当に会話を続けてくれました。


「今日はきりたんぽ鍋だっけ。だから兄貴が買い足しに向かったのね。うどんを十人前買いに行くどー!! とか言いながら出て行ったから、わんこそばでもあるまいし頭がとうとうイカれたのかと思いました」


「お兄さんも一人遊びの達人に馬鹿にはされたくないはずです。毎夜寝不足で困っているはずです。おいたわしや・・・」


「檸檬の被せ方は適当すぎない? そもそも毎日はしてないよ!? たぶん・・・週末くらいなら健全な範囲だからね・・・?」


「いや、先輩もわざわざ教えてくれなくてもヨカデスヨ」


「感覚がマヒしてます・・・はい・・・」


檸檬は一度下ネタを題材に扱ってからは以前にも増して取り扱ってくれるようになり、イチゴもヒラリとかわしていますがエグい角度から切り込まれることもあり、自分の趣味を見直すべきかとも考えつくがすぐに却下。代わりに檸檬がこれ以上性行為自体に好奇心が向かわないように趣味の収納の仕方に工夫をしようと考え付き、檸檬の目には触れないようにする最低限の改善は模索していました。


(檸檬をこちら側に呼び込むのは危険しかないよね。最悪の場合、親にバレて趣味を全部捨てられかねない)


もし本気でダイエットに取り組み成功して、健康的な美少女となれた暁に青春を共に過ごしてゆける恋人を獲得することも考えたならば。檸檬には同性を愛してしまう道や、付き合うイコール性交渉となるような貞操概念の欠如を招くような趣味を押し付けるのは危ういとする、そうした当たり前でもある危機管理への対策をイチゴは保持しているつもりでした。しかし檸檬が自然な流れで心変わりをしたら、イチゴは健全な範囲で見守ることを誓うのでしょうが、当人がよくても娘を少しでも不健全な道に導いた責任があるとする保護者目線のことも考えると「18禁」アイテムを見ようとすれば手に取れる環境に檸檬を置くのは拙いことで、そのアイテム提供源となる兄からも「補完方法」は自分という前例があるだけに注意する様に指摘されている。それを怠りイチゴは檸檬に趣味だけはバレてしまいましたが、その先まで檸檬に見られてしまえば親に言い訳なんて通用しないだけに、秘蔵品の保護のためにも檸檬の目の触れない保管方法を早くに検討する必要はありました。


「大声を出すと先輩の習慣まで家族にバレますよ。お兄さんには週の回数や開始時刻までバレていそうですけど」


「ハッスルしているところまでバレたら自殺案件だぞ・・・ていうか当たり前だけど、バレないように静かにやってます」


今から仮のパートナーとして檸檬はイチゴの未来に危機感を持ち、戻れる範囲に引き戻すのが必要でもあるのかもしれませんが、その趣味に理解がある交際相手を探すのも一つの手ではある。ただしイチゴの素材がいいだけに美しくなるために無駄な部分を削ぎ落とせるのならば、そうしてしまい。エロゲと一緒に肉も処分できればイチゴもなかなかに逸材にもなるはずでした。そうしたことを伝えるように檸檬は毒を吐きながらも先輩を想ってのことなのかもしれないが、イチゴの趣味に関しては「もう手遅れ」は決まっていました。


「そもそもお兄さんが可哀想ですから今すぐ家を出てください」


「おい、それは学生寮に行けと言っているんだよな? 高校生にしてフィールドワークは補導です。そんなことになったら氷川家に住むからね!?」


そんな檸檬は先輩の趣味に一定の理解をしながら付き合うために、知識を自分なりに集めて下ネタでも対応をしていました。その匙加減が危ういのは檸檬が最近まで「自己の性」という誰しもが、遅かれ早かれ興味を抱くはずの「性に目覚めた後の、次なるステップ」を体験していなかった為に「どこまでが適度」なのかわからずに危うい言葉を使い出してしまうと、イチゴはそれ以上にマセていたので檸檬の危うさを厳しく矯正してあげないまま今日まできていました。そうした理由は檸檬が幼い弟と最近まで同室にて過ごしていたのでイチゴよりは実体験は乏しく、多少は年相応に興味があり、実際に発育がいいので身体に触れて調べたい好奇心はありつつも、弟に隠れてこっそりなんて恐ろしくてできない。しかしそれに代わる楽しい日々が檸檬にはあったので「初めての本格的なお触り」が行えないまま知識だけは情操教育や友人たちとの内緒話にて仕入れてきて、つまり「口だけは達者」な性体験はからっきしの素人なのでした。そうした知識などの「偏り」が「恥じらうボーダーラインや種類」まで歪めてくれて、今ではイチゴを弄んでくれるのだから子供の好奇心や悪戯心というのは末恐ろしい。


「氷川イチゴになるつもりですね。私としたら碓氷檸檬がよかったのですけど、先輩が嫁ぎたいのなら私は寛容なので受け入れます。でも二人の愛の巣にはエロゲは10本までにしてください♡」


「手厳しい! でも妻がエロゲを許してくれたから、夫は腹筋を一回だけしたいと思います! 一回ごとにコレクションを10個追加ね!」


イチゴは感謝の腹筋をしようとしましたが、その志の低さに檸檬は呆れてしまう。しかし同時にイチゴの腹回りを見ながら、イチゴの身体能力の低下も知っているだけに「適量」だとは認めてあげました。それでもこれからは「減量」を目指さなくてはならないだけに「負荷」は必ず求められるために「一回」で許してあげるつもりはありませんでした。


「先輩は腹筋を一回もできないじゃないですか・・・」


「バカを言いなさんな。なにを見て勝手に決めつけた!」


「腹ですよ・・・それに筋力もなさそうですし」


「体育はしっかりやってますぅ!」


「それなら5回はして下さい。できないのですか?」


「やってやりますよ!」


こうしてイチゴの必死の挑戦が続き、やり遂げはしましたが腹にダメージを負い。この後の晩飯を食べる行為に支障がありそうで、しばらくは腹筋を罰に選択することを避けることになるのでした。

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