ときどき思うんだ。僕なんか生きてたって何の役に立つんだろうかって。別に社会や人のために生きてるわけじゃないってことはわかっているけれど、それじゃ何のために生きてるんだろうかって。こんなふうに、何の目的もなく、ただダラダラと生きているだけで何かいいことがあるんだろうか。もし、いいことがあるとすれば、それは君と会えることぐらいかな。たとえ会えなくても、君と会えることだけ考えていればいいのかな。とにかく元気にならなくちゃね。でも、君に会えないとだんだん元気がなくなるような気がするし、どうすればいいんだろう。気持ちばかりでなかなか前に進めないね。今日は君に会おうと思って力をふりしぼったのに。いつもすれ違いばかりで、やっぱり僕と君は合わないんだろうか。もう出かける気力もなくなってきている。でも、お腹が空くと何か食べたくなるから、とりあえず僕の体はまだ大丈夫のようだ。眠ったまま、そのまま死んでしまうなんてことはなさそうだ。でも、その方が僕にとってはいいのかもしれない。僕の体が腐らないうちに、誰かが見つけてくれるだろうか。死ぬのはいいけれど、他の人に迷惑はかけたくない。死んだらちゃんと灰にしてもらわないとね。どっちにしろ土にかえるんだろうけど、においがしないうちに土にかえしてもらいたい。壺になんて入れなくていいから。壺になんか入ったら、コンクリートの壁に囲まれたままで、いつになっても土にかえれやしない。残った骨は粉々に砕いてほしい。形が残っていたのでは気持ち悪い。結局他人に迷惑をかけずに死ぬのは難しいよね。そんなこと考えているうちは、とても死ねそうにないけれど。死ぬ前にもう一度だけ君に会いたいな。それくらいのわがままは許してくれるよね。といっても、僕は今すぐ死ぬわけじゃないけれど。僕には死ねるほどの勇気がないから、病気になるとか、事故にでも合わないかぎり死ぬことはないと思う。僕には死ぬだけのパワーがないからね。生きていくにもパワーが必要だけど、死ぬことにもパワーが必要だよね。僕はいつも宙ぶらりんなんだ。何もできずに吊るされたままブラブラしている。僕の体重が僕を苦しめているだけなんだ。こんな僕じゃ君にはよく思われないかもしれない。でも、君はやさしいから、こんな僕でも「好きだよ」って言ってくれるよね。そんな君がいるから、ぼくはどうにか生きていられるんだ。その場限りでも別にかまわない。もしかしたら、他の人にも君はそんなことを言ってるかもしれないし。でも、それでいいんだ。こんな僕にはそれで十分だから。こんなこと考えちゃいけないよね。君はいつも本気でそう言ってくれてるんだよね。少なくても、僕と会っているときには真面目にそう思っているんだよね。もちろん、僕は君をしばりつけたりしないし、君にふさわしい人間じゃないってこともわかっている。でも、君に会えると元気になれるんだ。僕は君のことが好きだから。今度はいつ会えるんだろう。少しぐらい希望は持っていてもいいよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る