(第7話)諦めることって、できますか?
「自分がサキュバスだって知ったとき、私、死んでしまった方がよいのかなって思ったんです。」
僕を抱きしめる美咲の力か強くなる。
「もしも美咲に死なれたら、僕はとても辛いよ。」
僕も、美咲を強く抱きしめ返す。
「兄さん。サキュバスって、化け物だって思いますか。」
「美咲が、化け物のはずがない。」
僕は、強い口調で否定する。
「もしも、兄さんが、サキュバスは化け物じゃないって思うなら、サキュバスは化け物じゃないって、はっきりと口にだして言ってください。
兄さんに、はっきりと言ってもらったら、私、安心できます。」
「サキュバスは、化け物なんかじゃない。」
僕は、強い口調で断言した。
「兄さんにそう言ってもらえると、嬉しいです。
でも、サキュバスは、毎日、セックスしないと死んじゃうんですよ。」
「そんなの、化け物かどうかとは、関係ない。」
「でも、毎日、セックスするって、けっこう大変ですよ。毎日ですよ。毎日。」
「美咲みたいな美少女と、毎日とだなんて、男にとってはご褒美だよ。」
雰囲気を変えたくて、僕は、ちょっと明るい口調で言った。
そして、少し笑うと、美咲もちょっとだけ笑ってくれた。
「でも、毎日だから、いろいろと諦めてもらわないといけないこともあります。
そうですね。例えば、兄さん。修学旅行は、諦めてください。」
「修学旅行?」
「3泊4日ですからね。兄さんと離れたら、余裕で、私、死ねます。」
受験の関係で2年生で修学旅行ってところが多いみたいだけど、「学を修めるというなら、3年生でしょう。」ということで、うちの高校では、3年生の9月初旬に修学旅行に行く(まあ、私立の高校で、あんまり勉強しなくても附属の大学には行けるし。受験して、よりレベルの高い大学を目指すって人の方が多いけど。)。
修学旅行は、毎年、沖縄で、3泊4日。
自由時間のときに、海で泳ぐことも可能。
でも、毎年、泳ぐ人は少ないらしい。
特に、女子は、クラスメートの男子の前で、水着になるのが嫌だって人が多いみたい。
でも、今年は、クラスメートの天乃吏紗(あまの つかさ)さんとかが、「沖縄まで来て、泳がないなんて信じられないよ!」とか言って、海で泳ぎそうな気がする。
天乃さんの水着か……
「ナイスバディな天乃先輩の水着姿、見れなくなっちゃいますけど、いいんですか。兄さん。」
なんで、僕が、天乃さんの水着姿を妄想してたのが、バレてるの!?
「ちょっとだけだけど、巨乳の女の子の水着姿を妄想してるような顔をしてましたよ。兄さん。」
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