詩『水飴』
意味がないって知らないままろ過していた
網目を通り越してずっと離れないんだ
黒髪の長さが時の流れを物語っている
今でもあの甘い水溶液に翻弄される
爪の先に残ったネイルが鬱陶しくて引っ掻いて剥がした
好きな色が嫌いになるなら最初から透明にしておけばよかった
甘い記憶だけ美化されて
離さないと糸で縛ってくる
気泡を潰すほど
すりガラスのように先が見えなくなる
時間が経つほど甘くなって
「好き」の気持ちがさらに募ってくる
こんなことになるのなら
最後くらいは思いっきり苦くしてほしかった
喫茶店の窓越しに君を見つけた
白いティーカップに注がれた温かそうなミルクティー
君は透明のガラス瓶が似合っていたのに
どうしてそんな幸せそうな顔をして笑っているの?
ハート模様のピンクの鉛筆で
日記に書いた「好き」の二文字
声にならなかったあの日の叫びを
音にしたいんだ
自分が知らない君がいて
自分はずっと花火大会にいる
「嫌い」って叫ぶほど
もっと好きになって先に進めなくなる
時間が経つほど甘くなって
「好き」の気持ちがさらに募ってくる
ガラス玉を取り出そうか
水飴みたいに甘すぎる君が嫌いで好きだ
ミルクティーを飲む君が好きだ
ラムネなんか忘れてしまってよ
炭酸入りの砂糖水
なんかより素敵な味を君に飲んでほしいから
どこにも行けないこの甘さが
「連れていってよ」と地図を示してくる
言えなかった「好き」の分
ミルクティーが甘くなるように水飴を溶かすから
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