第24話 depression : そろそろ終わりか‥‥?
「失礼、入りますよ?」
「アッ‥‥アァァ‥‥!」
三人の口がパカパカと元気な二枚貝のように面白く開いている。
一体誰が来たと言うのだろう。
「いいですか?」
「アッ‥‥ハッはいぃ~」
リグフト君はゆっくりと諦めかけるような顔をして扉を開きにいった。
「失礼しますね‥‥ん、彼ですか?」
「あっ、はい彼で‥‥す」
リグフト君急に真顔になるやん、誰だろうこの人は。
「初めまして、おはようございます」
『おぉおはようございますッ‥‥!』
彼は部屋に入り僕を見つけるなり、話し掛けてくる。
白衣のようなものを着ている、優しげな男性の人だ。たぶん三十代くらいのまだ若い人だと思う。
「話をお聞きしてますよ、ミナト君」
不届き者の僕相手にも挨拶をして、ゆっくりと柔らかい表情で話してくれる辺り、優しさと余裕が伝わってくる。
『な、何で僕のことを‥‥?』
「アリアスさんから話は伺ってますよ」
「なっ‥‥あいつどこまで‥‥?」
『あ、あの‥‥居候しておいて、何ですが‥‥
僕は一体どうすれば‥‥!!』
「まぁまぁ、これから話しましょう。それ
よりリグフト君、彼の事は始めて聞きまし
たけど、届け出は‥‥?」
「あっ‥‥その、スイマセ‥‥出してないです」
「あぁ~? 本当ですか、駄目ですよ」
多分よろしくない状況だろうけど、この人はあくまで優しく許すように言っている。
「す、すいません‥‥! でも‥‥」
「でも! 俺たち、一応保護したっていう
か、倒れてたので介抱したというか‥‥!」
「そうですそうです‥‥!」
すかさずラインク君とツルナ君の二人が助言を入れる。
そうだ、この人らは僕を保護してくれたんだから‥‥!
「はは、ちゃんと教えてくださいよ~?」
「うっ、スマセン‥‥」
「それはそうと、ミナト君? あなたには
帰る所がありますか? 話せる範囲で構わな
いですからね」
強要せず強引でなく柔らかな口ぶり、たぶんこの人優しい人だぞ‥‥!
『あの‥‥えっと‥‥そう‥‥だ! 僕、実は旅
の者でして‥‥ハハ』
「え、おいミナト‥‥!」
「あれ? ミナト君‥‥」
「ミナトさん‥‥?」
流石に初対面で問題を解決してくれそうな人に向かって頭おかしな事は言えない。
「おや、他の世界から来たんじゃないので
すか笑」
『えェ!? なんでそれを‥‥!?』
「アリアスさんが押して言ってましたから
流石に一言かけるべきだと」
『実を言うと‥‥信じて貰えないと思います
けど‥‥本当にそうなんです‥‥!』
あぁ本当、自分でも何を言っているのかという感じだ。
「そ、そうなんすよ、彼ヘンな事ばっかり
で‥‥」
「何か魔法を知らないって言ってるんです
よねぇ‥‥」
「そうです‥‥! でも、彼の力は珍しくて
ですね! 紋章を解読できるかも知れなく
てですね‥‥!」
「あぁ‥‥一回落ち着きなさい、取り敢えず
最低限の情報だけでも‥‥ん?」
彼の視線が僕の単語帳に向く。
『これ‥‥ですか?』
「あなたの魔導具ですか? 珍しいですね
紋章っぽいのが沢山。」
『えと‥‥よく分からないですけど、ツルナ
さんやラインクさんは文字があるんですね』
「文字‥‥、面白いことを言いますね。」
『しかも、その文字に準じてなのか、二人
は何も無いのに物を曲げたり、繋げたり‥‥』
「‥‥‥‥? 本当ですか? 二人共」
「はい‥‥、俺の固有魔法、物を繋げれます」
「ぼ、僕は曲げたりとか‥‥ですが」
『一体何です‥‥? 僕も僕で不思議に思う
ことばかりで‥‥』
「えぇ‥‥これは驚いた、珍しい人ですね‥‥」
また難解な顔をされたが、この人はマジで何の人なんだ。
確かリグフト君が先生とか‥‥ん? あれ? もしかしてこの人‥‥!
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