第14話実戦_銃口
かなりの露出スタイル。
通りの真ん中で。
しかも平日の真っ昼間に。
粟立つ素肌。
ワタシが、身に着けているのは?
腰までのキャミソール、そしてショーツ。
それにパンプスだけ。
通報されたら大変。
荒い息を整えながらも思う。
倒れた奴の頭に、手を伸ばす。
奴からバスローブを剥いで、煽って広げる。
奴の血の染み。
そこまで目立ちはしない。
バスローブに、袖を通して羽織る。
バスローブのポケットに両手を入れる。
開ける前を合わせて、通りの反対側を目指す。
奴の仲間が戻る前に。
そう思って歩き始める。
数歩と歩かないうちに、背後から声。
「そこで止まれっ、動くなっ」
振り返るワタシ。
倒れた奴の、仲間。
小柄な方の男。
息を切らして、銃を構えている。
ここは日本なのに。
思いながらも、銃から目が離せない。
奴が続ける。
「両手を出して、上げろ」
武器でも隠し持っていると思っているのかしら。
ワタシは、あなた達と違って、ただの女子大生なのよっ。
などと思いながらも、ポケットから両手を出せずにいる。
すると、促すように奴の銃口が動く。
止む無く、バスローブのポケットから両手を出す。
掌を見せるようにして、両手を肩の辺りまで上げる。
ポケットの抑えを失くしたバスローブ。
自然な形に戻る。
ゆっくりと、バスローブの前が開ける。
露になるワタシ。
キャミソールとショーツが、汗に塗れている。
涼しい季節にもかかわらず。
奴が、ニヤケた気がする。
銃を構えたまま近づいてくる。
途中で、倒れている大柄な男を足先でつつく。
倒れた男が呻いて答える。
仲間は、そのままにして、更に近づいてくる。
声の届く距離。
「手荒いことをしてくれるな」
「…」
「相応の礼を、させてもらうかな」
奴が、またニヤつくのも気にならない。
もう銃口しか目に入らない。
絶望の淵が、ワタシに大きく口を開けている。
よりによって、こんな…。
不安を倍増させるだけの格好。
キャミソールとショーツだけで。
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