ある常連さんとの会話 夏休み編

 常連最年長のジンさんに言われてしまった。

不快そうな表情でも声のトーンでもない。


「最近、女子高生が多いですな」

「はい。彼目当ての女性が毎日、沢山押し寄せてきてしまって」


 クスクスと笑う最高齢のダンディなお客さん。

 キャイキャイと騒ぐJKにも気にしたそぶりはない。


「男前だからか。いつの時代もかっこいい人は得だねぇ」


「ジンさん。あなた男前側でしょう。

いい思いもたくさんしたはずですよねぇ」


 モテない自分はジンさんの困りごとを理解できない。

 相談されても妙案を返せたためしがない。


「まぁまぁ。若いころにはいろいろあったもんだ。

 ちょっと雰囲気かわったが、いいじゃないか?

 

賑やかで。孫が来たときの華やかさに似ているよ。

 嬉しくなってしまうんだよね!」


「そう言ってもらえると心が軽くなります」

 

本当に好意的な声が多くてホッとしている。


 うるさくて足が遠のく人が大勢いたらどうしょうかと思ったんだ。


 このお客様は夏でもロイヤルミルクティーだ。

 特別に調理して先にお出しする。

「ありがとう」

「夏休み限定なので楽しんでみてください」

 

そうしてメニューを渡す。


「じゃあ新作メニューを頼むよ」

 売れ行きは上々だ。

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