第2話

『やぁ、麗しきヴィクトリア嬢』

『その呼び方やめてって言ってるじゃない_____________

アレクサンダー。』

『堅苦しく呼ばないでよ〜!長年の仲でしょう?』


そう軽々しく呼んでくる澄んだ青い目に何か闇を抱えてそうな

この男は風の如く現れる・アレクサンダー。

彼はこの屋敷の住民であった。

だがとある事件により半強制的に屋敷を去ることになった。

そして何故か彼は私によく会いに来る。

それも、気まぐれに。


『まぁ、また来るめう』

『来なくていいよ、てか語尾なにそれ』

『俺のファン避け♡』

そう言って彼は帰っていった。何処へ行くのか、知らないが。



『コンコンコンッ失礼するわよ?』

白いショートヘアの現在で言うとこのギャルのような女性が立っていた。


『あら、シエナじゃないどうしたのこの時間に』

『いや、大した事じゃねぇんだけどさ。

ほらアレク来てたからあんた大丈夫かなって』

『私は大丈夫。もう終わった話だし引きづったってあの人が、

オリバーが望んでいる世界じゃないから』

『なら良かった。

とりあえず、ここにニコラスが作ったクッキー置いとくから。

食べないなら捨てていいってさ』


親友は、どこか儚い顔をして

私の気を紛らわしてくれる。


何も知らない彼は、それでも何かを察して

私の心を揺れ動かそうとする。



あら、もうそろそろオリバーが、

この世を去ってから、5年かしら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る