(5)新しい魔法
ニーナ・カートは今大変困っていた。
上からずっとジルパパがニーナを眺めているのである。
(どうしよう、何か言った方がいいの? 動かない方が良いのかな?)ニーナの背中を冷や汗がダラダラと伝う。頭の中でぐるぐる考えていると……
「ーーージルフォードこうしゃくさま!」
「ああ、スマン。どうした?」
ジルパパの声と誰かの声がした。
(あれ? ジルパパの事を『こうしゃくさま』って呼んでた! うちが貴族なのは知っていたけれどカート家って『侯爵家』だったんだ!)
話し終わったようなので、ニーナはジルパパに話しかけた。
「お父様! 我が家は『侯爵家』だったのですね! 初めて知りました!」
「おや? ニーナは知らなかったのかい? そうか、ニーナに名前で呼んで欲しくて家の中では名前で呼ぶようにさせていたからな」
ジルパパはニッコリ笑いながら
「我が家は『公爵家』だ、ニーナ1人で塔になど行かせない位の権限はある。安心しなさい。
だが、今回の魔法の件は流石に王宮にも連れて行かねばならなくなったようだ」
ジルパパはしょんぼりしていた。
何でだろう? 王宮に何があるのかな?
ニーナは暫し考えていた。
その夜、ベットで1人今日の魔法を考えていた。
(イメージしながら、魔力を注ぐ……。そしてあの本。いつも魔法を覚えて使う時は……頭に残る魔法文字に魔力を流してた。
でも、もしかして魔法文字はイメージの代わりなの?)
「うーん」
「じゃあ、イメージしながら魔力を流したり混ぜれば新しい魔法が出来るの?」
ニーナは隣に寝かている、ウサギのぬいぐるみを見た。
「まさか、ねー」と言いながらウサギに縫い付けてあるポーチに魔力を注いだ。
「いやいや、ホントありえないよね〜(笑)」
『ズボッ』
「ーーーーー腕ー!?」
遊び感覚で試したはずが。自分の腕がウサギさんに縫い付けてあるポーチにありえない深さまで突っ込まれていた。
「どどと、どーしよー! またやらかしたの? これ、ゲーム的な〖アイテムバック〗作っちゃった感じ? 確かに想像はしたよ! でも簡単に出来るなんて思わないよ!」
ニーナは『コレ』をどうするか考えていた。ただでさえ、解決出来てない〖修復〗魔法の話があるのだ。
「うん、暫く『お気に入りのウサギが離せない』事にしよう!」汗をダラダラ流しながら手をそっと引き抜いたニーナだった。
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