第54話 復活の美少女

私は朝が嫌いだ...否応なしに醜い顔を見ないといけないから。


幸いこの国では鏡は貴重品で手鏡しかない..だから見ないで済む。


ただ、それでもどうしても見てしまう者がある。


それは塔子ちゃんだ、魔族の拷問にあった日から私は1人が怖くなった。


それは塔子ちゃんも一緒だ、だが、私達は皮を剥がれて醜い、相手の醜い姿を見る度に自分の醜さも解る。


大樹と聖人? 


自分が助かりたいが為に私達を捨てようとした人間なんてどうでも良いよもう。


千年の恋も冷めたわ..本当に、まぁ向こうもこんな化け物どうでも良いでしょうけどね!


だが、この日は違った。


私が目を覚ますととびっきりの美少女が横で寝ている。


《何の悪戯なのかな》


正直腹が立った、こんな醜い私の傍に美少女を寝かすなんて..何がしたいんだ。


《だけど、この美少女どこかで見た気がする...あっ目を覚ました》


「あんた、何でここに居るの?」


「そういうあんたこそ何でここに居る訳? 醜い私への嫌味なのかな?」


「「あれっその声」」


「塔子ちゃん?」


「綾子ちゃんなのかな?」


「嘘、何この体、元の体より綺麗だよ..」


「本当だよね! ほくろ一つ無いし、よく見ると元の面影はあるんだけど、かなり可愛くない?」


「本当だよね、正直、お化粧で誤魔化していた部分がそのまま美化されているよ?」


「うん、何故かパッドでかさましした分も胸が大きく成っている..不思議」


「どうでも良いけど、服着ない?」


「そうだね、今迄擦れていたいから裸で生活していたもんね」


服をしっかり来てみた。


「うわっこのブカブカなんですけど?」


「等身が一つ違うんだから当たり前かな」


手鏡をとってみた。


「嘘、これがわたしなの...綺麗、私が成りたかった私じゃない!」


「私だって綺麗になったよ..自分比160%位」


「これセレスくんが治してくれたんだよね?」


「だけど、何で元の姿じゃないんだろう..」


「昨日は感動して聞かなかったけどセレスさん言っていたよね」




「トレース」


「ごめんね、元通りには出来ないんだ、だけど少しは癒えていると思う..力が無くてごめん」



「トレースって確か投影って意味だったと思う」


「っていう事はこの姿はセレスさんから見た私達じゃない?」


「セレスくんから見た私ってこんな美少女なんだね」


「私だって凄いよ?」


「あのさ..こんなに綺麗にセレスくんから見えていたって事は絶対に、私の事嫌いじゃないよね?」


「あのさぁ綾子ちゃん、それは綾子ちゃんだけでなく私もだからね!」


「そうだね、帰ってきたら約束通りハグして、それから私告白しちゃおうかな?」


「良いね、それ、私もそうしようっと」


「早く帰ってこないかな..」


「本当に...」



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