第55話 ガールズサイド

久々に廊下を歩いた。


今迄と違って全てが綺麗に見える。


「自分の容姿一つでここまで世界が違って見えるなんて思わなかった..」


「そうだよねー綾子ちゃん、昨日まで本当に死のうかと思っていたのに..今日は本当に違うよ」


「うん、うん食事も旨いし..心も弾むよね?」


「綺麗にして貰って言うのもなんだけどさ男の子の価値って外見じゃない..そう思わない?」


「そう思うよ..所詮外見なんて怪我一つで無くなる物じゃない? 今回の件でそう思った..」


「そうよね! 前はさ貴族の綺麗な男性や大樹達を見て、ときめいたけどもう無いわ」


「うん、男の子の価値は、困っている女の子を見捨てない、それだけだよね」


「そう言えば大樹達もちゃんと元に戻っていたわね!」


「残念ながらセレスくんボーナスは無しだったけど..元には戻っていたわ」


「流石に気まずそうに話してきたから、今後どうするのか聞いたら、呆れちゃうわ本当に!」


「その話は初耳です..どうするって言っていたの?」


「二人とも貴族の令嬢と結婚するそうよ...側室つきで」


「まぁ、前と違ってこっちに来てから ハーレムを作るなんて言っていたからね...」


「だけど、本当にアホとしか思えない、側室にならないか? だって「私は束縛するタイプだから無理」って言ったら、あっさり諦めたわ..まぁお互いに嫌な記憶があるから社交辞令だと思うけど?」


「それは社交辞令だと思う..私だって皮を剥かれた大樹の姿が浮かぶんだから、相手も同じだよ?」


「うん、そう思うな! もう好きでは無いけど、幼馴染として思うんだよね! その貴族の令嬢達、全員あんた達が醜い時にお見舞い一つしなかったし、気持ち悪がっていたんだけどね! それで良いの?って」


「それで言うの?」


「言わないよ! それでこっちに来られたら困るからさ」


「そうだよねー だけど、大樹や聖人にとってはハーレムエンドだから幸せそうで良いんじゃない? そこに私達が居なくても問題無なさそうだし」


「まぁお幸せにって所ね...だけど、本当に薄情だよね...」


「そう、大河くんが死んだのに..何も思わないなんて」


「親友だったの筈なのに」


二人して城の庭に来た。


ここには大河くんの遺品が埋められている。


花束を置いて手をあわせた。


だが、遅れて二人が来た、大樹と聖人だ。


「いよ、元気か?」


「昨日からわね!」


「ははは、そうだね...これセレスくんがしてくれたんだって?」


「そうよ..感謝しないとね」


「ああ、そうだな、結局彼奴に全部押し付けてしまった...本当に情けない」


「僕もそう思うよ...」


「そうよね...」


「それで俺たちなんだけど...ここに居ても仕方ないから明後日から..その婚約者の家に行く事になったんだ」


「そう、おめでとう!」


「だから、セレスが帰ってきたら伝えてくれ..ありがとうと.......」


「続きがあるのね! 怒らないから言ってごらんなさい!」


「あのな、お金は幾らでも出すから、俺の領地に来てくれって伝えてくれ」


「何でかしらね? お礼でもするの?」


「いや、婚約者が、セレスくんに整形魔法を掛けて貰いたい..そう言うんだ」


「本当に馬鹿ね! まだ、借りを作る気...まぁ良いわ! 昔のよしみで伝えてあげる!」


「悪いな!」


「最後だから大河にお別れをしていこう」


「そうだな」


「「俺(僕)はこれからハーレムで暮らすんだ...安らかに眠ってくれ」」


「「化けて出るからやめなさい」」



笑いながら、2人は去っていった。


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