第53話 旅立ちと ボーイズ

大樹と聖人の部屋にも来た。


「大樹さん 聖人さん居る!」


同じ様に音はするけど返事はない。


ならやる事は一緒だ。


無理やり入った。


「ひぃー助けてくれー俺だけで良いんだ、見逃してくれー そうだ、僕は魔族、魔族の勇者になる..だからもう辞めてくれないか..そいつらの事は忘れる、何だったら僕がそいつらを殺す..だから..許してくれ」


「僕は勇者じゃない! 勇者は彼奴だ僕じゃないんだ..そうだ魔族の為にこれからは働くだから、だからやめてくれ」



聞いてて嫌になった。


僕は前の世界では此奴らに憧れていたんだ。


此奴らがまぶしくて、輝いて見えた。


「スリープ」


「マギホーリア」


「トレース」


これで元通りとはいかないけど、普通には暮らせる筈だ。


それじゃあな、次に会う時は元に戻っていてくれよ。





「挨拶は済ませてきました」


「そうですか、それでは..」


「はい、略式で簡単に済ませて下さい..時間が惜しいです、あと4人の面倒をお願いします!」


「解りました、4人の事はお任せ下さい!」


「お願いします」


「さぁ、お父様の所に参りましょう!」


「はい」


略式なので王、宰相、公爵、侯爵 マリア王女の5人の全権委任承認で行われた。


セレスは書状と一振りの剣を貰った。


この剣は儀式用の剣なのでただのお飾りだ。


ただ、この剣を持っている時は王と同じ権利を行使できる。


「すまぬなセレス殿、この国いやこの世界の全てを背負わせて」



「この国は僕に優しかった、紹介状に金貨4枚..役立たずだった僕に本当に優しかった..だから、僕はこの国を守りたい!」


「そうか、この国は良い国か..頼みましたぞ セレス殿!」


「行って参ります!」




「私は少し解った気がします、これが気質という物なのですね!」


「あの目がな気になった、どこまでも澄んでいて絶望的なステータスにも負けていなかった!」


「そうですか! 私はまだまだですね」


「ああいう人間は一番手強い、どんな逆境からでも努力を積み重ねて這い上がってくる、大昔まだ召喚術が無かった時代にいた勇者や英雄と同じようにな」


「そこまで見込んでいたのですか?」


「いや、そこまでは思っておらんかったよ流石にな」


「ですが」


「彼に全部託した、サイは投げられた、後は運を天に任せて祈るだけじゃな」


「ええ、それしかありません..私も女神に彼の無事を祈る事にします」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る