第45話 騎士と魔法使い...その死

「何故だ..何故..」


異世界から召喚された騎士、祐一は焦っていた。


本来なら簡単に倒せる筈の鎧サソリ相手に苦戦をしている。


目の前には魔法を使い果たして典子が倒れている。


俺たちがこんな奴らに負ける筈が無い...


だが実際には確実な死が襲ってきている。


俺や典子がこんな鎧サソリに負ける筈がない..実際に更に数段上のサーベルライオンを狩っていたんだ。


それなのに、何が起こっているんだ..


幾ら斬りつけてもたかが鎧サソリが斬れない..可笑しい。



しかも此奴ら今迄と違って逃げないし、見逃しもしてくれない。


確実に総力戦を挑んできている。


此奴らを皆殺しにするしか助かる道はない..だがそれは出来ないだろう。


俺だけなら可能性はあるかも知れないが..典子を抱えてじゃ無理だ。


「仕方ないか..」


「此処で死ぬしかないな..典子守ってやれなくてごめんな!」


典子は答えない..なぜなら死んでいるから...


「本当にごめんよ、俺がふがいないばかりに...俺はお前らには殺されないよ」


典子のバックから爆裂石を取り出した。


そして魔力を注ぎ込んだ。


爆裂石が赤に変わり爆発が起きた。


そして二人の体はバラバラになり吹き飛んだ。


その肉片を鎧サソリは美味しそうに食べていた。


希望の勇者

何が起こったのか解らない。


最近では、下位冒険者や元より上位冒険者にも犠牲が出ている。


幾つかの場所では冒険者のランクはあてにならず最早適正ランクが解らない。


あちこちのギルドで悲鳴があがっている。


沢山の素材や討伐の案件があるのにどのランクの冒険者に依頼を頼めば良いのか解らない。


かなりランクの下の依頼を受けさせても、それでも足りないと言わんばかりに犠牲が出ている。


しかも、絶対的な強さを持つ異世界人にも犠牲者は出ている。


こちらで確認が出来ただけで、心が折れて戦えなくなった者や怪我した者も多数出ている事が把握している。


そして、これは伏せているがとうとう死人まで出た。


こんな事は過去の歴史でも知っている限りない。


だが、こんな時こそ、希望の光がある。


勇者達だ。


「勇者の皆さん、お願いです、魔王の森の調査をして頂けないでしょうか?」


「解りました、所で何故一度戻るように王命が降ったのでしょうか?」


「それが、可笑しな事に魔族側の力が強まっています。 その事を伝えたかったからです」


「大丈夫ですよ、姫様、その強い魔族相手にあのセレスでさえ勝てるんですよ? 僕らなら楽勝です」


「そうですよね! 勇者様達なら大丈夫ですよね?」


「セレスからステータスを見せて貰ったけど..概ね1/30以下だったよ、余裕だって」


「そうですね、解りました、ですが、貴方達こそが世界の希望なのです、取り越し苦労なのは解っています。そのまま魔王を倒しに行くのではなく、今回は調査をお願いします...」


「解りました、今回は1週間位調査して帰ってくる、それで良いですか?」


「はい、それで問題が無ければ、その次こそは魔王討伐をお願いします」


「「「「解りました」」」」

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