第36話  勇者セルスの冒険

元の街に戻ってきた。


僕は早速、ギルドに報告にいった。


何時ものようにソフィさんの受付に並んだ。


依頼が無事に終わったのでサインがしてある報告書を提出した。


「凄いですねセレスさん、あの塩漬け依頼を達成するどころか討伐しちゃったんですか! うわぁ昇格の推薦状までありますよ..早速、マスターに報告です!」


ソフィさんが僕の腕に手をまわして引っ張っていく..周りの目が険しいものに変わる。


人気者の受付嬢に気に入られている仕方ない甘んじて受けよう。


《なんで行き遅れのソフィがセレスくんにべた付くのかな!》


《あれ公私混同だよね、今度やったら文句いってやろうかな?》


本当は自分がこの世界では美少年であることをセレスは知らない。






「凄いなセレスは、あの聖騎士様が倒せなかった魔物を倒すとはな、しかもあのケチで有名なあの町のギルマスからだ、異世界から召喚された聖騎士様ですら負けた魔物の討伐だ、文句なく2階級上げても良いだろうな、いや聖騎士トシ様が倒せなかった相手を倒したそう考えると金級にして、ミスリル級の申請を王宮に出す..それが妥当だな」


「そんな凄い事を僕はしていません!」


「あのなぁ..謙遜もしすぎると良くないぞ! セレスが謙遜すると、そんな弱い魔物に聖騎士が負けた事になるんだ、だから今回は金級は黙って受け取れ! これはギルマス権限で与えられる最高の階級だ。そこで終わらせたら今度は聖騎士のトシ様は召喚者だから王宮の立場がまずい、だから王宮にも花を持たせなければならない、まぁミスリルなんぞはこの世に20人と居ないからまず貰えないから安心しな..ただ王宮から何だかの報償はでると思うぞ、断るな! 断られて困るのは相手なんだからな」


「解りました」


「それじゃ、金級になった記念だ何か欲しい物はあるか?まぁ俺の懐からだから高い物は断るかも知れねがな」


特に無いな、そうだあれだ。


「勇者セルスについて何か知っていますか?」


「勇者セルスについてか? 知っているぜ何ならその書物をプレゼントそれで良いか?」


「はい、お願いします」


「解った、俺の子供の頃の宝物だ大切にしろよ」


「絵本ですか?」


「ああ、勇者セルスの冒険、子供の憧れの勇者の絵本だ」


「あの、勇者セルスは本当にいたんですか?」


「居たとか居なかったとかあるが正直わかんねぇ..ただすぐそこの森に錆びた剣が岩に刺さっていて、それがセルスの剣らしい」


「誰も抜かないんですか?」


「誰も抜けねえらしいな! 最も子供が遊びで挑戦する以外今じゃだれも抜こうとはしないぞ?」


「何でですか?」


「ああ、剣の価値を鑑定で調べたんだよ!価値があるなら岩を削岩しようって事になってな..そしたらなんと1スベルの価値だってよ..今時子供のおかし位しか買えねー...まぁ錆びた剣じゃ当たり前だな」


「確かにそうですね、だけど抜いたら自分の物にして良いんですか?」


「構わねぇよ 1スベルの剣だからな」


「へーセレスさん、勇者に憧れていたんですか? それで一文字違いの名前もその辺りに由来しているんですかね..もしかしてまだ憧れています?」


「その、はい」


「納得です...だからたまに凄く頑固になるんですね..可愛いですね」


「やめてください」


「案外、剣にもチャレンジしたりして」


「さぁ知りませんよ僕は」



生暖かい目で見られていたたまれなくなった僕は話が終わるとそそくさとギルドを後にした。


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