第33話 真魔族のカギと魔神の卵

魔王ベルクは焦っていた。


「異世界人か?」


「はっ異世界から勇者を含む者が召喚され次々に魔族や魔物を殺しまわっています」


またか、つい、そう思ってしまう。


先代も、先々代の魔王もこの異世界から呼び出された者に倒されている。


我々は古の境界から先には攻め込む事はしていない。


それなのに、理不尽にも人間はそこから先の土地を求めて責めてくる。


今回もまた虐殺が始まるのだろうか..そしてまた大量虐殺の末、我は殺されるのか。


自分たちの力で攻めて来るなら仕方ない、そう思うが、態々神々の力を借り異世界から強い者を呼び出し攻めてくる...


毎日の様に魔王様、魔王様と助けの声が聞こえる。


流石にもう限界だ。


だが、勇者や異世界人相手に戦えるとなると我や四天王以外には居ない..


だから打って出る事が出来ない。


「我が倒れればまた魔族側が衰退する...そろそろ潮時か...四天王を呼んでくれるか」


「はっ」


「よくぞ来た四天王よ」



「我が剛腕は魔王様の為に」


魔族剛腕のマモウ


「我が英知は魔王様の為に!」


魔道王トール


「我が破壊は魔王様の為に!」


破壊王ズール


「我が風は魔王様の為に!」


天空女王モーラ


「四天王よ、この鍵を渡そう..この鍵で各地の封印を解くのだ」


「宜しいのですか魔王様..」


「モーラ良いのだ..魔族が滅ぶよりは良い..それに綻びも出来ておる..そのカギを開け、真の魔族を復活させよ!」


「「「はっ」」」


「それで、魔王様はどうするのですか?」


「カギを使い封印を解いたら..もう一度ここに戻って来てほしい..そして魔神と共に..勇者達を葬って欲しい...余の最後の願いだ..」


「魔神の卵..使うのですか?」


「どうせ死ぬなら..この世界の人類も道連れだ..」


「「「「さらばです..魔王様」」」」



「さぁ、魔神の卵を持て..余の命と引き換えに最強の魔神を誕生させてくれようぞ」





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