第17話 事情聴取
「本当にセレスさんなの?」
ルル先輩が泣き顔で震える声でこちらを見つめてくる。
「僕以外に何に見えますか?」
「本当に、セレスさんだ、無事だったんだね! 良かったー」
メメ先輩が飛び込んできた。
「どうしたんですか?メメ先輩?」
「だって、だってセレスさんが死んじゃったと思ったから...心配で..えぐっ」
確かに死んでいたんだけど...
セレスはメメの頭を撫でながら話した。
「大丈夫ですよ...僕は死んでませんよ...ほらね」
「本当に心配したんだからな」
ルルが後ろから抱き着いてきた。
「有難うございます」
こんな時、気の利いた言葉も浮かばない...誰かに心配されるってこんなに嬉しい事なんだ。
「セレスさん、感動している所申し訳ないけど、ちょっと良いかしら?」
ソフィが声を掛けてきた。
周りを見回すと何故か他の人もこっちを見ている。
「解りました」
僕はメメとルルから離れソフィさんのカウンターへと向かった。
「私も話しを聞いて良いかな?」
「ええ、ミラさんは当事者の一人ですから同席した方が良いでしょう」
別室に通され、ソフィさん、ミラさん、ルル先輩、メメ先輩と話をする事になった。
「状況について教えて貰えますか?」
「それはルルたちが..」
「静かにして下さい! 私はセレスさんに聞いているんです!」
「採取していたら、ルル先輩がゴブリンの足跡を見つけて撤退しようとしていた所、ゴブリンに囲まれました」
「それで、何故一番未熟な貴方が残って食い止めようとしたのですか?」
「僕は男です、だったらゴブリンに負けても殺させるだけで済みます...女性の場合は地獄が待っています。 なら食い止めるのは僕が適任だと思いますが..違いますか?」
「冒険者の命は自己責任...ギルドにはどうこういう事は出来ません...ですが大切にして下さい」
「はい、これからは気をつけます」
「本当に気をつけてくださいね」
「解りました」
「私からも良いかな?」
「貴方は?」
「私の名前はミラ...今回、君を探しに行ったそちらの2人に同行した者だが...」
「それは大変迷惑を掛けました」
「礼はいい...依頼だからな、だけど何で君は生きているんだ...現場は君の血であふれていたぞ」
「気が付いたら教会に居たので、誰かが助けてくれたのだと思います」
《嘘はついていないないよ》
「そうか...運が良かったのだな」
「所でセレスさん、冒険者カードは持っていますか?」
「はい」
ソフィはセレスから冒険者カードを受け取るとカードをチェックした。
「セレスさん、ゴブリンを討伐したんですね 記録に4匹とあります」
「死に物狂いで戦いましたから」
「その様ですね、素材は無くてもゴブリンは常時討伐対象ですから報奨金がでます...後でお渡ししますから窓口に来てください」
「解りました」
「聞きたい事は以上です」
セレスとルルとメメが帰った後、ソフィとミラは残って話をしていた。
「なぁソフィさん、そんな奇特な人っていると思うか?」
「普通はいませんよ...何者なんでしょうね..皆目見当もつきません」
「お金を請求しないから冒険者じゃないだろうしさ...騎士や衛兵の訳もない」
「本当に誰が助けたのか解りません...」
だれがセレスを助けたのか、疑問に思う二人だった。
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